電子材料工学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電子材料工学
科目番号 0137 科目区分 専門 / 選択必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子情報工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:『基礎電気・電子工学シリーズ5 電気・電子材料』 日野 太郎, 串田 正人, 森川 鋭一(森北出版)
担当教員 伊藤 明

到達目標

1. 材料中の電子の振る舞いの基本を説明できる.
2. 材料の電気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明できる.
3. 材料の磁気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1材料中の電子の振る舞いの基本を説明し応用できる.材料中の電子の振る舞いの基本を説明できる.材料中の電子の振る舞いの基本を説明できない.
評価項目2材料の電気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明し応用できる.材料の電気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明できる.材料の電気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明できない.
評価項目3材料の磁気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明し応用できる.材料の磁気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明できる.材料の磁気的特性の違い,およびその製造方法と特性評価方法の概要を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
大幅な技術革新の背景には,しばしば材料の作成・加工などの革新的な技術発展が見受けられる.電子情報工学を支える電子材料の幾つかを取り上げ,それらの物理的性質をどのように利用して多くの基盤技術が成立しているかを理解する.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」に関する問題を中間試験,定期試験,レポート課題および小テストで目標の達成度を評価する.各到達目標に関する重みは概ね均等とする.評価結果が百点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>中間・期末の2回の試験の成績の平均点を60%,レポートを20%,小テストを20%として学業成績を評価する.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は電子工学が基礎となる教科である.また、物理,化学の基礎的事項も理解している必要がある.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験,小テストのための学習も含む)およびレポート課題提出に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<注意事項>電気・電子・情報を支える各種デバイスの材料物性に関する幅広い知識は,その開発,設計などに携わる技術者にとって有用であるから,電子材料に関する基礎的な内容を十分理解すること.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学結合(イオン結合,共有結合,ファンデルワールス力,水素結合,金属結合) 物質の結合状態の概要を説明できる.
2週 結晶構造(格子点,単位格子,結晶系) 物質の結合状態の概要を説明できる.
3週 結晶による回折・反射(ブラッグ反射),ミラー指数,逆格子 物質の結合状態の概要を説明できる.
4週 格子振動(光学モード,音響モード),格子欠陥の種類(点欠陥,線欠陥,面欠陥) 結晶欠陥の概要が説明できる.
5週 金属中の電気伝導と特性(銅と銅合金,アルミニウムとアルミニウム合金) 金属内の電子の振る舞いと電気抵抗について説明できる
6週 電線とケーブル(裸船,絶縁電線,ケーブル) 実際に用いられている導体に関して,その特徴を理解している.
7週 金属導電材料の特性(銅と銅合金,アルミニウムとアルミニウム合金)超導電材料(超伝導現象,超伝導体の反磁性) 実際に用いられている各種導電材料に関して,その特徴を理解している.
8週 金属導電材料の特性(銅と銅合金,アルミニウムとアルミニウム合金)超導電材料(超伝導現象,超伝導体の反磁性) 実際に用いられている各種導電材料に関して,その特徴を理解している.
2ndQ
9週 抵抗材料(電流による抵抗体の発熱,金属の電気抵抗と温度,合金の電気抵抗,抵抗材料) 実際に用いられている各種導体の抵抗率に関して,その特徴を理解している.
10週 熱電効果(ゼーベック効果,ペルチェ効果,トムソン効果) 半導体材料の熱特性,歪特性を理解し,それらの特徴を用いた利用例が説明できる.
11週 熱抵抗効果(サーミスタ) 半導体材料の熱特性,歪特性を理解し,それらの特徴を用いた利用例が説明できる.
12週 原子・分子の双極子モーメント,誘電分極(電子分極,イオン分極、配向分極,界面分極),交流電解における分極と緩和(緩和時間),エレクトレット 誘電材料の分類とそれらの特徴を比較し,分極現象と緩和現象について説明できる.
13週 各種磁性(反磁性,常磁性,強磁性,反強磁性,フェリ磁性) 磁性材料の反磁性,常磁性,強磁性などの性質について説明でき,それらの特徴を理解している.
14週 強磁性材料特性(強磁性体の磁化特性,交流磁化と損失 磁界を変化させた場合の,ヒステリシスカーブと損失の関係が説明できる.
15週 固体絶縁材料試験(抵抗率・絶縁抵抗試験),絶縁材料の劣化試験法(トリー劣化試験法,耐トラッキング精試験法 絶縁材料の各種劣化試験方法について理解し,その実施方が説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4

評価割合

試験発表レポート小テスト平常点その他合計
総合評価割合75020500100
配点75020500100