実験操作を通じて,熱力学,電気化学,機器分析化学,培養工学に必要な基礎知識を習得しており,物理化学,分析化学,微生物学などの専門分野に適用できる.
概要:
物理化学,機器分析化学,培養工学に関する実験の基本操作の習熟を図る.物理化学実験は生物応用化学実験の基礎実験として,物理化学Ⅰ・Ⅱで学習した(学習する)内容の中の典型的なテーマが選定されている.機器分析化学実験は迅速かつ正確に測定するための知識や技術を習得する.培養工学実験は生物化学や細胞生物学および微生物学に関する実験の基本操作の習熟を図る.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業計画に記載のテーマについて実験を行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」に向けた達成度を報告書の内容により評価する.評価に対する「知識・能力」の各項目の重みは同じである.満点の60%の得点で,目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期の物理化学・機器分析化学・培養工学実験の評価を50%,後期のコース別実験(応用化学コース実験,生物化学コース実験)の評価を50%とする.それぞれの評価を総合したものを最終評価とする.
<単位修得要件>実験テーマ毎の実験レポート(100点満点)9割、実験スキル評価シートを1割の重みで評価し、これらの平均点を本実験の成績とする。本実験と後期に行うコース別実験,応用実験のそれぞれの目標を達成し,学業成績で60点以上を取得すること.また,課された全てのレポートを指定された期限までに提出すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は「分析化学(2C)」「物理化学I(3C, 4C)」, 「物理化学II(4C)」, 「機器分析化学(3C)」, 「環境分析化学(4C)」, 「微生物学(4C)」の学習が基礎となる教科である.
<自己学習>実習で保証する学習時間と,予習・復習,レポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が180時間に相当する学習内容である.
<備考>化学実験で最も注意しなければならないことは,薬害,ガラス器具による「けが」である.これらを未然に防ぐためには,使用する薬品の性質や器具及び機器の取り扱いを熟知しておくことである.実験に先だってガイダンスでこれらの諸注意を説明するが,各自でも試薬の諸性質などの注意事項などを十分予習しておくこと.また,実験室に入る場合,必ず保護メガネを着用すること.英文による記述もあるので,十分予習しておくこと.
各テーマのレポートを定められた期限以内に各自が提出すること.考察の不十分なものは提出したとは認めない.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
実験ガイダンス |
実験を行うにあたって必要な事前知識について説明できる
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2週 |
P-1 液体の蒸気圧測定による蒸発熱の決定 |
クラペイロンークラウジウスの式を理解している
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3週 |
P-2 固有粘度の測定 |
ウベローデ粘度計を用いて高分子溶液の粘度を測定し,固有粘度を算出し,粘度平均分子量を求めることができる
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4週 |
P-3 溶解熱の測定 |
溶質を溶媒に溶解した時の熱量の出入りより,積分溶解熱及び微分溶解熱を求めることができる
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5週 |
P-4 電量分析 |
電解電流と電解時間より電気量を求め,ファラデーの法則より物質量を求めることができる
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6週 |
P-5 平衡電位測定 |
参照電極を用いて酸化還元電極系の平衡電位を測定でき,ネルンストの式を理解している
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7週 |
P-6 反応速度の測定 |
反応次数と反応速度定数,反応の活性化エネルギーの測定方法を理解している
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8週 |
物理化学実験のまとめ |
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2ndQ |
9週 |
A-1 有機微量不純物の分析(GC) |
ガスクロマトグラフ装置による混合成分の分離操作と定量方法を修得している
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10週 |
A-2 HPLCによる試料中の有機酸の定量(HPLC) |
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使った混合成分の分離操作と分析方法を修得している
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11週 |
A-3 原子吸光度計を用いた水溶液中の定量 |
原子吸光度計を用いた水溶液中の金属濃度の定量が出来る
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12週 |
微生物のスクリーニング
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スクリーニングの概念を理解している
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13週 |
微生物のスクリーニング・微生物の純粋培養
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培養実験と無菌操作ができる
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14週 |
微生物のスクリーニング・微生物の観察
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分離した微生物の顕微鏡観察を行うことができる
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15週 |
機器分析化学実験・培養工学実験のまとめ |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術 | 工学実験技術 | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野(実験・実習能力) | 分析化学実験 | 代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 4 | |
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。 | 4 | |
物理化学実験 | 粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 | 4 | |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。 | 4 | |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | |
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。 | 4 | |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。 | 4 | |
生物工学実験 | 光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。 | 4 | |
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。 | 4 | |