工業化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 工業化学
科目番号 0144 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:無機工業化学パートは配布プリント
教科書:有機工業化学パート「現代有機工業化学」神戸,安田編(化学同人)および配布プリント
担当教員 下野 晃,山本 智代

到達目標

無機工業化学パート:無機化学工業の定義,歴史,資源と無機物質,無機工業製品および無機材料の特性,製造法,用途に関する専門的知識を理解している.
有機工業化学パート:有機化学工業における各種の製造原料および工業製品の性質・機能,製造原料から工業製品に至る化学反応および変換・製造プロセスの基本原理について習得し,有機化学工業の現状を把握できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1無機工業化学の定義、歴史、資源について十分理解している.無機工業化学の定義、歴史、資源について概ね理解している.無機工業化学の定義、歴史、資源について理解していない.
評価項目2無機物質,無機工業製品無機材料の特性,製造法,用途について十分理解している.機物質,無機工業製品無機材料の特性,製造法,用途について概ね理解している.無機物質,無機工業製品無機材料の特性,製造法,用途について理解していない.
評価項目3有機化学工業における基礎事項,および工業プロセスに関する化学反応・基本原理が説明できる.有機化学工業における基礎事項が説明できる.有機化学工業における基礎事項(原料資源,石油代替資源・エネルギー,環境保全,石油製品,石油精製工業プロセス,石油化学工業プロセス)を理解していない.
評価項目3染料,香料,油脂,化粧品,高性能材料・機能性樹脂などの基礎事項,およびそれら化合物の化学構造と機能との関連,製造・分析法等について説明できる.染料,香料,油脂,化粧品,高性能材料・機能性樹脂などの基礎事項が説明できる.染料,香料,油脂,化粧品,高性能材料・機能性樹脂などの基礎事項を理解していない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
無機工業化学パート:無機化学工業は,天然にある無機成分や人工的な無機原料を利用することによって実用性の有る化学・工業製品をつくる化学工業である.本講義では,無機化学工業の定義,歴史および化学・工業的に利用される代表的な無機物質,無機材料の性質や物性,製造方法,用途について習得させる.
有機工業化学パート:有機工業化学は,基礎産業である有機化学工業に関する基礎的事項を習得する科目である.各種の製造原料および工業製品の性質・機能,製造原料から工業製品に至る化学反応および変換・製造プロセスの基本原理について学ぶ.
授業の進め方・方法:
・第1週~第15週までの内容はすべて,学習・教育到達目標(B)<専門>に相当する.
・授業は講義・演習形式で行う.講義中は,集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の達成目標1~19を網羅した問題を後期中間試験,学年末試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成目標に関する重みは概ね同じである.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準>最終評価は後期中間までの無機工業化学パートと,後期中間試験以降の有機工業化学パートの平均点で評価する.無機工業化学パートは試験にて評価、有機工業化学パートは試験80%および課題レポートの結果を20%で評価する.後期中間試験および学年末試験において60点に達していない者には再試験を課し,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には,60点を上限として試験の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>無機工業化学パートは,無機化学ⅠおよびⅡの学習が基礎となる科目である.有機工業化学パートは,第2学年および第3学年の「有機化学」,第4学年の「高分子化学I」における学習が基礎となる.
<レポート等> 無機工業化学パート:特になし  有機工業化学パート:レポートあり.
<備考>無機工業化学パート:理解度を深めるために講義中に演習問題を行なうことがあるので電卓を持参のこと.無機工業製品の製造分野に携わる上でその基礎的知識を多く含む科目である.
有機工業化学パート:技術者として有機化学工業に関する理解を深めるために必要な専門知識を学んでいることを自覚すること.また,本教科は有機化学系科目の「有機化学特論」(専攻科),「高分子化学特論」(専攻科)等の基礎となるため,授業内容を確実に習得する.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験および課題レポート作成のための学習も含む)に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.自己学習時間アンケート結果により,自己学習時間が不足している結果が得られた時は,課題等を与えて自己学習を促す.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 無機工業化学の定義、歴史、資源 1.無機化学工業の定義,歴史,資源論について説明できる.
2週 水素,無機薬品の性質,水素、アンモニアの製造方法,用途
2.水素,アンモニア,硝酸,硫酸,塩素,塩酸,水酸化ナトリウム等の性質や物性,製造方法,用途について把握している.
3週 酸アルカリ(硝酸、硫酸、塩素,塩酸、ソーダ工業
の)性質,製造方法,用途
2.水素,アンモニア,硝酸,硫酸,塩素,塩酸,水酸化ナトリウム等の性質や物性,製造方法,用途について把握している.
4週 金属(鉄、銅、アルミニウム)の性質、製造方法 3.鉄,銅,アルミニウム,ケイ素無機材料,炭素材料等の性質や物性,製造方法,用途について把握している.
5週 ケイ素系無機材料、炭素材料の性質、製造方法 3.鉄,銅,アルミニウム,ケイ素無機材料,炭素材料等の性質や物性,製造方法,用途について把握している.
6週 セラミックスの歴史、セラミックス(アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム)の性質、製造方法 4.セラミックスの歴史について把握している.
5.セラミックスの製造方法について把握している.
6.アルミナやジルコニアなど代表的なセラミックスの性質や物性,用途を把握している.
7週 セラミックスの製造方法、セラミックス(アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム等)の用途 5.セラミックスの製造方法について把握している.
6.アルミナやジルコニアなど代表的なセラミックスの性質や物性,用途を把握している.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 有機化学工業の原料資源,石油代替資源・エネルギー,環境保全 7.有機化学工業の原料資源,石油代替資源・エネルギー,地球環境問題等について説明できる
10週 石油精製工業: 石油精製,接触改質,接触分解,熱分解,その他の転化法,水素化精製法 8.石油留分の接触改質,接触・熱分解,その他の転化法および水素化精製法について説明できる.
11週 石油化学工業:ナフサの分解による合成基礎原料の製造,エチレン,プロピレン,C4以上のオレフィン,パラフィンおよび芳香族炭化水素からの誘導体の製造,C1化学 9.ナフサの分解による合成基礎原料の製造について説明できる.
10.エチレン・プロピレン,C4以上のオレフィン,パラフィンおよび芳香族炭化水素からの誘導体の製造について説明できる.
11.C1化学について説明できる.
12週 染料:染料の条件,染料の化学構造と色,染料-繊維間の相互作用.
香料:香粧品香料,食品香料,合成香料の使用規制・安全性,香料の分析
12.染料の条件,染料となるための化学構造,染料-繊維間の相互作用,代表的な染色法について説明できる.
13.天然香料の種類・製法,合成香料の種類・製造,香粧品・食品香料の役割,香料の法規制・安全性,香料の分析法について説明できる.
13週 油脂:油脂の構造・分類・化学的特性,油脂の加工
化粧品:定義,品質基本特性,原料素材
医薬品:開発および製造プロセス,薬物-受容体相互作用
14.油脂の構造・分類・化学的特性,油脂の加工について説明できる.
15.化粧品の定義,化粧品の持つ品質基本特性,原料素材について説明できる.
16.医薬品の開発および製造プロセス,薬物-受容体相互作用について説明できる.
14週 高分子:合成高分子の重合反応,熱可塑性樹脂(五大汎用樹脂,五大汎用エンプラ),熱硬化性樹脂,ゴム・エラストマー,三大合成繊維,接着剤 17.合成高分子の重合反応,熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂,ゴム・エラストマー,三大合成繊維,接着剤について説明できる.
15週 高分子:高性能材料(スーパーエンプラ,耐熱性高分子,高強度高分子,高吸水性高分子),機能性樹脂(光ファイバー,導電性高分子,感光性樹脂) 18.高性能材料の代表例,構造・機能,分子設計について説明できる.
19.機能性樹脂の代表例,構造・機能について説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4
高分子の熱的性質を説明できる。4
無機化学代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4

評価割合

試験課題レポート相互評価態度ポートフォリオ合計
総合評価割合9010000100
総合評価割合9010000100
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