国語Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 国語Ⅰ
科目番号 0001 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 機械工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 『新 精選 国語総合』(現代文編・古典編)(明治書院) / 「新国語便覧(新版四訂)」(第一学習社)、「常用漢字ダブルクリア」(尚文出版)、「新精選 古典文法 改訂版」(東京書籍)、「『論理の力』を育てるシリーズ 1日10分 言語力ドリル『読む』」(第一学習社) ※国語辞典を1冊準備しておくとよい(電子辞書でも可)
担当教員 鍵本 有理,中西 潔

到達目標

1. 高等学校1年生相当の漢字力や語彙力を身につけている。
2. 評論文について、筆者の意見を的確に把握し、正確に要約することができる。また、筆者の意見に対して、自身の意見を、根拠をもって表現することができる。
3. 小説について、登場人物の心情の変化を読み取ることができる。また、自身の経験にひきつけて感想を述べることができる。
4. 日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。
5. 文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりを身につけている。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1話し手の指示や意見を的確に聞き取り、正確にまとめることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、適切な声の大きさ、明瞭な発音で、述べたり読んだりすることができる。話し手の指示や意見を的確に聞き取ることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、述べたり音読したりすることができる。話し手の指示や意見を聞くことができない。 聞き手を意識せずに、自身の意見や与えられた文章を、声の大きさや発音に気を留めずに述べたり音読したりする。もしくは活動時に発言しない。
評価項目2書物や文献に対して、批判的に読解し、自身の意見を抱き、正確に表現することができる。書物や文献に対して、自身の意見を抱き、表現しようと工夫することができる。書物や文献に対して、自身の意見を表現することができない、もしくは文章表現として著しい誤りがある。
評価項目3初見の文章について、内容を理解しながらスムーズに音読することができる。初見の文章について、句としてのまとまりを意識しながら音読することができる。初見の文章について、単語ごとに細切れに音読する。
評価項目4言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を即座に調べ、習得することができる。 高校在学程度の語彙力(漢検3級~準2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を自主的に調べることができる。 中学卒業程度の語彙力(漢検3級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心がなく、初見の語であっても自主的に調べることがない。 小学卒業程度の語彙力(漢検5~4級程度)を有しており、高校在学程度の語彙を誤って運用することがある。
評価項目5日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。日本の伝統的な言語文化について、興味・関心を持つことができる。日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができない。
評価項目6文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりを身につけている。文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりについて、調べることができる。文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりについて、全く理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
国語には二つの面がある。一つは、文章を読んでその登場人物の気持ちや、書いてある内容に共感できる・あるいは筆者の主張を理解するということ。これにはまず受講生一人一人が人間として「生きている」ということが必要である。そして、残念ながら自分の心の中で「わかった」と思っていても人には伝わらない。「こういう気持ちだ」「つまりこういうことだ」と、自分の言葉で表現できて、初めて「わかった」ということになる。この二つをふまえて、「考える」「読む」「書く」「話す」ことを目指す。
授業の進め方・方法:
高等学校第1学年に相当する学力を身につけるため、高等学校用の教科書を使用し、様々な文章を読んで多角的な思考力を養っていく。また学生同士で「話し合う」、考えた内容をノートや文章に自分で「まとめる」ことを通して自分の考えを深める。
週3時間のうち、2時間を現代文、1時間を古典(古文・漢文)の時間に当てる。
注意点:
関連科目
国語の運用能力は、人文科学や社会科学系の科目だけでなく、自然科学系科目の科目の基礎ともなる。
学習指針
まず授業を「聞く」こと、自分の考えを「書く」こと。授業中の発問を自分で考え、簡単な言葉でもよいので文字にし、答えにたどり着く過程を残した「わかる」ノートを作る。人の発言を聞くことも重要である。漢字や語句についての課題があれば必ずすませておく。配付されたプリントは各自でよく読んでおくこと。2週間に1回、漢字テストをする。
自己学習
教科書に目を通し、分からない語句や漢字は各自で調べること。プリント課題を済ませておくことはもちろんであるが、日頃から教科書以外の本や新聞を積極的に読み、身近なことがらにも問題意識を持っておくこと。
古典については毎時間、予習をすること。教科書の本文を写し、大事な注なども写しておく。そして、意味や訳のわからなかったところを授業で補い、ノートに記入するようにするとよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 現代文 ガイダンス 随想「『ふと』と『思わず』」①
古典 ガイダンス
本科目の目的や授業の進め方を理解する。ノートの取り方を確認する。
随想を読み、構成を考え、内容を的確にとらえる。
古典の表記について理解する。
2週 現代文 随想「『ふと』と『思わず』」②
古典 説話(1) 児のそら寝①
随想を読み、日本語と外国語との違い、日本の文化について考える。
古文の文体に親しむ。旧仮名遣いに慣れる。
3週 現代文 小説「羅生門」①
古典 説話(2) 正直の徳①
小説「羅生門」を読み、主人公のおかれた状況を理解する。作者について知る。
古文のおもしろさを味わう。
4週 現代文 小説「羅生門」②
古典 説話(2) 同上②
表現に注意しながら主人公の心情を読みとる。
古文の文の構造を理解する。
5週 現代文 小説「羅生門」③
古典 説話(3) 尼、地蔵を見奉ること①
表現に注意しながら各登場人物の心情を的確にとらえる。
古文での活用・活用形を理解する。
6週 現代文 小説「羅生門」④
古典 説話(3) 同上②
小説全体の構成や主題を確かめる。
それぞれの登場人物の心情を理解する。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 現代文 試験返却・スピーチ準備
古典 試験返却・文法(1) 品詞①
試験解説/教科書p232を参考に、「物」に関するスピーチの準備をする。
中間試験返却。古典文法の知識を身につける。
2ndQ
9週 現代文 スピーチ
古典 文法(2) 動詞①
クラスで各自がスピーチをし、また他の人のスピーチに対する評価をする。
古典文法の知識を身につける。
10週 現代文 詩を読む①「甃のうへ」話し合い 
古典 文法(2) 同上②
近代詩についての知識を身につけ、グループで読解作業を行い、詩に親しむ。
古典文法の知識を身につける。
11週 現代文 詩を読む②「サーカス」
古典 文法(3) 形容詞・形容動詞①
中原中也の詩について、グループで鑑賞し、まとめる。
古典文法の知識を身につける。
12週 現代文 詩を読む③「I was born」
古典 漢文入門(1) 訓読①
吉野弘の詩について、グループで鑑賞し、まとめる。
漢文訓読の基本的な知識を確認する。
13週 現代文 評論「ネットとリアルのあいだ」①
古典 故事成語(1) 守株②
評論を読み、全体の構成や筆者の主張を理解する。
漢文の訓読に慣れる。
14週 現代文 評論「ネットとリアルのあいだ」②
古典 故事成語(1) 同上①
評論を読み、現代社会の問題について考える。/夏期休業中の課題説明。
「守株」の由来を読み、おもしろさを理解する。
15週 前期末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 現代文 手紙の書き方(礼状)
古典 物語(1) 『竹取物語』「かぐや姫の生ひ立ち」①
社会工場見学先への礼状を作成し、手紙の形式や用語を身につける(教科書p234)。
古典常識を身につける。
2週 現代文 小説「城の崎にて」①
古典 物語(1) 同上②
「城の崎にて」の作者、志賀直哉について知る。主人公の心情を的確にとらえる。
本文の内容を読み取る。
3週 現代文 小説「城の崎にて」②
古典 物語(1) 同上③
小説を読み、表現に注意しながら人物の心情を的確にとらえる。
同上。翁の心情を正確に読み取る。
4週 現代文 小説「城の崎にて」③
古典 物語(1) 同上④
小説全体の構成や主題を確かめる。
登場人物の心情を理解する。かぐや姫の通常の人と異なる点を理解する。
5週 現代文 評論「世界中がハンバーガー」①
古典 物語(2) 『伊勢物語』「芥川」①
評論を読み、全体の構成や筆者の主張を理解する。
本文の展開を読み取る。
6週 現代文 評論「世界中がハンバーガー」②
古典 物語(2) 同上②
評論文の論旨を読みとり、現代社会の問題について考える。
登場人物の心情を正確に理解する。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 現代文 試験返却・太宰治について
古典 試験返却・文(1) 「桃花源記」①
中間試験解説。「富岳百景」の作者、太宰治について知る。
中間試験返却。正しく書き下し文にする。
4thQ
9週 現代文 小説「富嶽百景」①
古典 文(1) 同上②
小説を読み、主人公の心情を的確にとらえる。
内容を読み取る。重要な句形を理解する。
10週 現代文 小説「富嶽百景」②/百人一首大会
古典 文(1) 同上③
小説の表現に注意しながら人物の心情を的確にとらえる。百人一首に親しむ。
同上。
11週 現代文 小説「富嶽百景」③
古典 文(1) 同上④
小説の表現に注意しながら人物の心情を的確にとらえる。
主人公の行動について考える。
12週 現代文 小説「富嶽百景」④
古典 思想(1) 『論語』①
小説全体の構成や主題を確かめる。
『論語』の思想について理解する。
13週 現代文  短歌・俳句を読む①
古典 思想(1) 『論語』②
文学史の知識を身につける。近代短歌・俳句に親しむ。
『論語』の学問観について考えを深める。
14週 現代文  短歌・俳句を読む②
古典 思想(1) 『論語』③
グループで読解作業を行い、短歌・俳句に親しむ。
『論語』の人生観について考えを深める。
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。2後2,後3,後10,後13
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。2前3,前9,前10,後2,後3,後9,後10
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。2前4,前5,前6,前11,前12,前13,前14,後5,後6,後11,後12,後13,後14
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。2前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。2前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。2前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。2前3,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。2後14
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。2前3,前9,後2,後3,後8,後9,後10,後11,後13
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。2前3,前9,後2,後3,後6,後8,後9,後10,後11,後13
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。2前10,後2,後3,後10,後13
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。2前6,前10,後14
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。2前3,前6,前9,前10,前11,前12,前13,後1,後9,後14
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。2前2,前3,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,後1,後2,後3,後6,後8,後9,後12,後14
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。2前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14

評価割合

試験課題小テストその他合計
総合評価割合6624100100
現代文能力451510070
古典能力2190030