流体力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 流体力学Ⅰ
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕「教科書名:機械系教科書シリーズ15 流体の力学」,出版社 コロナ社,著者 坂田光雄・坂本雅彦 /〔補助教材・参考書〕「機械工学演習シリーズ 演習 水力学」,生井武文校閲 国清・木本・長尾共著,森北出版,1982,「JSMEテキストシリーズ 演習 流体力学」,日本機械学会,丸善出版,2012,「演習 流体工学」,井口・西原・横谷共著,電気書院,2010,「基本を学ぶ 流体力学」,藤田勝久著,森北出版,2009 等
担当教員 坂本 雅彦

到達目標

1. 流体工学で使用する密度・比重などの物理量の意味を理解し,計算ができる.粘性と圧縮性の性質を理解し,粘度・動粘度・表面張力係数・圧縮率・体積弾性係数などの物理量の意味を理解し,粘性力や毛管現象に関する計算,状態方程式を用いた計算ができる.流体モデルの意味を理解できる.
2. 静止流体に働く力を求めるにあたり静水圧平衡の式,マノメータによる圧力測定方法を理解し,計算ができる.パスカルの原理・アルキメデスの原理を理解し、静止流体中にある固定壁に作用する全圧力・圧力中心の計算ができ、浮揚体の安定性について説明できる.
3. 理想流体の運動として,質量保存則・エネルギ保存則・運動量保存則の意味を理解し,連続の式・ベルヌーイの定理を用いて流量,速度,圧力,全ヘッドの計算ができる.運動量の式を適用して流体から受ける力や各種流体機械の原理について理解し計算ができる.
4. 粘性流体の運動の支配方程式から導出できる流体現象とその厳密解を理解し計算ができる.次元解析と相似則の意味を理解し,計算ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1基本的性質である粘性と圧縮性を十分に理解・考慮した上で,液体と気体の流動に関連した各種の物理量を用いた計算ができる.粘性と圧縮性の性質を考慮した上で,液体と気体の流動に関連した各種の物理量を用いた計算ができる.粘性と圧縮性の性質を理解できず,液体と気体の流動に関連した各種の物理量の意味ができていない.
評価項目2圧力の3大性質を十分に理解し,マノメータを用いて」静圧の値や静止液体中の壁に働く全圧力・圧力の中心を十分に計算で求めることができる.浮揚体の安定性について説明できる.圧力の3大性質を理解し,マノメータを用いて静圧の値や静止液体中の壁に働く全圧力・圧力の中心を計算で求めることができる.浮揚体の安定性について説明できる.マノメータを用いて静圧の値や静止液体中の壁に働く全圧力・圧力の中心を計算で求めることができない.浮揚体の安定性を理解していない.
評価項目3理想流体における質量保存則・エネルギー保存則・運動量保存則の意味を十分に理解した上で応用して計算ができる.理想流体における質量保存則・エネルギー保存則・運動量保存則を理解した上で計算ができる.理想流体における質量保存則・エネルギー保存則・運動量保存則が理解できず,計算もできない.
評価項目4クエット流れ,ポアズイユ流れなどに対しNS方程式を解析して厳密解として全ての値を求めることができる.次元解析と相似則の意味を十分に理解し,目的の関係式や無次元値を求めることができる.クエット流れ,ポアズイユ流れなどに対しNS方程式を解析して厳密解の幾つかを求めることができる.次元解析と相似則の意味を理解し,目的の関係式や無次元値の幾つかを求めることができる.クエット流れ,ポアズイユ流れなどに対しNS方程式を解析して厳密解求めることができない.次元解析と相似則により関係式や無次元値を求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体の運動である流れを力学的に取り扱う科学技術の分野は極めて広く多岐にわたっている.本講義では,流体現象の基礎的な知識・考え方を修得して,実際の流体が及ぼす力の作用が理解でき,応用・展開が図れる能力の育成を目的とする.4年次では,流体工学の基礎である流体の基本的性質,静止流体の力学,そして,理想流体の運動を理解し,基礎方程式を用いて解析ができる事を目的とする.
授業の進め方・方法:
流体工学の基礎的事項である流体の基本的性質や静止流体の力学をしっかりと理解することが重要である.その上で、各種保存則から導かれる各種方程式の物理的な意味や応用力を養う.理解を深めるため,適宜,簡易な器具を用いての机上実験や実例解説,さらには演習問題を例示しながら講義を進める.
注意点:
関連科目:
 エネルギー基礎力学.応用物理などとの関連が深い.
学習指針:
 数学的な取扱いも多いが,各自の様々な経験や身近な体験を通して説明できるまで理解することが重要である.
自己学習:
 目標を達成するためには,授業以外にも下記の補助教材・参考書を適宜使用し復習に努めるとともに理解を深める必要がある.関連する図書も参考に自学・自習すること.

事前学習:講義資料は事前に閲覧が可能です。適宜、活用してください。講義中は集中して受講してください。
事後展開学習:演習問題を自分で解くことが重要です。また、不明な点があれば、教員に質問することが大事です。

学修単位の履修上の注意

章末問題および他に提供する各章毎の問題(プリント)を講義で説明した後に各自自分で解くことが必要である。解らない場合には、教員に聞きに来るようにしてください。テストでは全く同じ問題は出さないが、同程度の問題を出すようにしています。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体工学とは(総論) 流体工学の意義・目的を理解し,説明できる.
2週 流体の物理的性質(1) 密度,比重,粘性の物理的な意味を理解し,計算ができる.
3週 流体の物理的性質(2) 圧縮率,表面張力,気体の性質の意味を理解し,粘性力の計算ができる.
4週 実在流体のモデル化 粘性と圧縮性の有無による流体モデルについてについて理解し,説明できる.
5週 静止流体の力学(1) 静水圧平衡の式および圧力の性質について理解し計算ができ、かつ液柱計の原理を理解し、計算できる.
6週 静止流体の力学(2) 静止流体中にある平面壁に作用する全圧力と圧力中心の計算ができる.
7週 静止流体の力学(3) アルキメデスの原理を理解し、浮力の計算ができる。
8週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に正しく解答することができる.
2ndQ
9週 静止流体の力学(4) 浮揚体の安定性について説明できる。ダランベール原理を理解し、計算ができる。
10週 理想流体の運動(1) 定常流と非定常流,連続の式について理解し,計算できる.
11週 理想流体の運動(2) 流線・流跡・流脈および渦運動について理解し,計算できる.
12週 理想流体の運動(3) オイラーの運動方程式を理解し,説明できる.
13週 質量保存とエネルギー保存(1) ベルヌーイの式およびその成立条件について理解し,計算できる.
14週 質量保存とエネルギー保存(2) トリチェリの定理を理解し、計算できる。ピトー管による流速測定の原理について理解し、計算できる。
15週 質量保存とエネルギー保存(3) ベンチュリー・オリフィスによる流量測定の原理について理解し、計算できる。
16週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に正しく解答することができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4
パスカルの原理を説明できる。4
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4
物体に作用する浮力を計算できる。4
定常流と非定常流の違いを説明できる。4
流線と流管の定義を説明できる。4
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4
オイラーの運動方程式を説明できる。4
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4
層流と乱流の違いを説明できる。4
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4

評価割合

試験演習レポート授業態度など合計
総合評価割合602020100
基礎的能力30102060
専門的能力3010040
分野横断的能力0000