電気電子材料

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電気電子材料
科目番号 0071 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕プリントを配布して講義を行う。 〔補助教材・参考書〕西永 頌: 『電子物性工学の基礎』 (東京、昭晃堂、1994年). A. R. West: 『ウエスト 固体化学入門』 (東京、講談社、2003年).
担当教員 關 成之

到達目標

1. 電気電子材料の基礎事項を理解すると共に、応用問題が解ける。
2. 材料内における電子の挙動が物性を決めていることについて例を挙げ説明できる。
3. 技術の発展には、新材料の開発とそのデバイスの出現が必要不可欠であることを説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電気電子材料の基礎事項を理解すると共に、応用問題が解ける。電気電子材料の基礎事項を理解すると共に、基本的な問題が解ける。電気電子材料の基礎事項を理解することができない。
評価項目2材料内における電子の挙動が物性を決めていることについて例を挙げ理論的に説明できる。材料内における電子の挙動が物性を決めていることについて例を挙げ説明できる。材料内における電子の挙動が物性を決めていることについて例を挙げ説明することができない。
評価項目3技術の発展には、新材料の開発とそのデバイスの出現が必要不可欠であることを具体的な事例を挙げて説明できる。技術の発展には、新材料の開発とそのデバイスの出現が必要不可欠であることを説明できる。技術の発展には、新材料の開発とそのデバイスの出現が必要不可欠であることが説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-1) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現在、電気電子材料はエレクトロニクス産業や情報通信分野において大きな役割を担っており、今後もより一層その重要度が増すものと考えられる。本講義では、電気電子材料に関する基礎的な現象を定性的に記述することより、原子オーダーで定量的に取り扱うことに重きを置く。そして、学生が演習等を通して自学自習することで物性値を把握し、電気電子材料の諸特性を本質から理解できるようにする。

※実務との関係
この科目は、企業や研究センター等で表示素子および透明導電性半導体の研究・開発を担当していた教員が、その経験を活かし、電気電子材料の種類、物性、製法、応用例等について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
新規材料の開発やシステムの創成のために必要となる基本的な物質 (導体、超伝導体、半導体、誘電体、磁性体) の諸特性に関して、ミクロな観点から講義を行なう。各章の終わりでは、演習やレポートを学生に課し、自学自習を行うことで理解度の向上に繋げる。さらに、目に見えない現象を把握するために動画教材や実験器具を利用し、直感的に電気電子材料の本質が学習できるようにする。
注意点:
関連科目:1~3年の数学、物理、電磁気学、電子工学を基礎として講義を行う。
学習指針:普段の講義は板書と配布したプリントをベースに行い、重要な箇所についてはレポートを提出してもらう。また各章の終わりでは演習を実施して理解の手助けとする。講義中は関連事項に関する発問を多くするので、応答ができるように予習と復習をしっかりとしておくこと。また、ノートを上手にまとめるように各自が工夫すること。
事前学習:予め講義内容に該当する参考書を読み、理解できる部分とそうでない部分を明らかにしておく。
事後発展学習:講義で出された演習課題を自ら解き、次回の講義開始前までに提出する。

学修単位の履修上の注意

自学自習時間では演習課題に取り組み、到達目標を達成するために理解を深め、定期試験に臨むこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気電子材料とは 講義の目標、進め方を理解し、電子の挙動が物性を決めることについて説明できる。
2週 物質の構造(1) 構造理解に向けた量子論導入の必要性を説明できる。
エネルギー準位と原子内の電子配置について説明できる。
3週 物質の構造(2) 不確定性原理、化学結合、結晶構造について説明できる。
σおよびπ結合のエネルギーの違いを説明できる。
4週 金属の性質(1) 金属中のキャリアの挙動について説明できる。
電子のドリフト速度、移動度、緩和時間を導出できる。
5週 金属の性質(2) 抵抗率が種々の衝突原因の和で示せることを説明できる。
6週 エネルギー帯理論 帯理論から金属・半導体・絶縁体について説明できる。
電子のエネルギー分散曲線とバンド構造を説明できる。
7週 超伝導材料 超伝導体の基本現象と応用について説明できる。
クーパー対が超伝導を引き起こす原理の説明ができる。
8週 半導体の性質(1) 直接遷移と間接遷移の違いについて説明できる。
2ndQ
9週 半導体の性質(2) 半導体のショットキー接触をバンド構造から説明できる。
半導体のオーミック接触をバンド構造から説明できる。
10週 誘電体の性質(1) 誘電体材料の基礎特性と応用について説明できる。
11週 誘電体の性質(2) 強誘電体の分極特性のメモリー利用について説明できる。
複素誘電率からコンデンサの品質係数を導出できる。
12週 磁性体の性質 各磁性体材料の基礎特性と応用について説明できる。
強磁性体内部の挙動とヒステリシス曲線を説明できる。
13週 演習問題(1) 物質構造および金属の性質に関する演習を行い、その成果を提出する。
14週 演習問題(2) エネルギー帯理論および超伝導体・半導体・誘電体・磁性体の性質に関する演習を行い、その成果を提出する。
15週 期末試験 講義内容を理解し、試験問題に対して正しく解答できる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前2
原子の構造を説明できる。4前3
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前3
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4前4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4前9,前10
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前11
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前11

評価割合

試験受講課題演習問題合計
総合評価割合504010100
基礎的能力504010100