電力系統工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電力系統工学
科目番号 0092 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「電力システム工学の基礎」数理工学社 加藤政一・田岡久雄 / 適宜プリントを配布、「新インターユニバーシティ 電力システム工学」オーム社 大久保仁
担当教員 池田 陽紀

到達目標

発電,送変電,配電によって構成される電力系統について,既習の電気基礎技術に基づき理解するとともに,電気エネルギーを運ぶネットワークで生じ得る諸現象とそれを解決するための計算技術を習得することを目標とする。さらに,今後の発電方式の多様化や電力事業の自由化などに伴う電力系統の課題について認識する。
後期中間試験: (1)電力系統の特徴と構成,(2)送電線路の等価回路,(3)潮流計算
学年末試験: (1)安定度計算,(2)電圧制御,(3)周波数制御,(4)経済運用

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
電力系統の潮流分布を知るための問題を解くことができる送電系統の等価回路を作成し、潮流計算を行うことができる。送電系統の等価回路や潮流計算をについての基本的な問題を解くことができる。送電系統の等価回路や潮流計算をについて、基本的な事項を理解していない。
電力系統の安定性を知るための問題を解くことができる電力系統の動揺方程式を作成し、安定度計算を行うことができる。電力系統の動揺方程式や安定度計算についての基本的な問題を解くことができる。電力系統の動揺方程式や安定度計算について、基本的な事項を理解していない。
電力系統の運用についての問題を解くことができる電圧制御、周波数制御、経済負荷配分のそれぞれの方法の問題をほとんど解くことができる。電圧制御、周波数制御、経済負荷配分のそれぞれの方法の基本的な問題を解くことができる。電圧制御、周波数制御、経済負荷配分について、基本的な事項を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電力系統はきわめて多数の発電所,変電所,開閉所,需要家などが送配電線によって接続された巨大なネットワーク・システムの一つであり,新しい技術を取り込みながら常に進歩を続けている。本講義では,持続可能社会の形成を担う「エネルギー・環境」にかかわるすべての技術者に必須と思われる電力系統の基本的な構成・設備・特性・運用・制御などに関する基礎知識を学習する。
授業の進め方・方法:
・基本的には教科書に沿って講義することとし,プリントにより補足する。
・理解度確認のため適宜小テストや課題(演習)レポートを課す(レポートは必ず提出すること)。
注意点:
関連科目
2 年 電気回路Ⅰ 3 年 電気回路Ⅱ,計測工学
4 年 電気回路Ⅲ,電力変換回路,電気機器工学,システム制御工学Ⅰ
5 年 環境エネルギー工学,電気法規・設備工学,高電圧工学,システム制御工学Ⅱ
学習指針
これまでに学んできた科目に基づく内容であり,関連科目の復習が適宜必要
自己学習
授業以外にも十分な予習・復習を行うこと

事前学習:次回講義内容について予習をし、不明な点を明確にしておくこと。
事後発展学習:適宜講義内容について演習問題を課すので取り組む。

学修単位の履修上の注意

成績評価のレポート等により,自学自習の取り組みを評価することに注意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電力系統とは・講義 電気の流れおよび電力系統の概要について理解する。
2週 交流回路及び変圧器・講義 交流回路の基礎を復習するとともに,平衡三相交流回路の解析法及び変圧器の等価回路について理解する。
3週 三相交流回路・演習 電力系統の送電方式として三相交流送が広く採用されていることから,送電網の解析に必須の三相交流回路計算が理解で
きていることを確認する。
4週 送電系統・講義 送電線の等価回路及び単位法について理解する。
5週 潮流計算(1)・講義 電力系統の特性を表現するノードアドミタンス行列について理解する。
6週 潮流計算(2)・講義 電力方程式の導出およびその計算手法について理解する。
7週 潮流計算(3)・講義 直流法潮流計算により,概略の潮流分布を求めることができることを確認する。
8週 後期中間試験
2ndQ
9週 安定度計算(1)・講義 安定度の種類および同期発電機の動揺方程式について理解する。
10週 安定度計算(2)・講義 安定度評価手法および安定度向上対策について理解する。
11週 電圧制御(1)・講義 電力系統の電圧特性および電圧制御方法について理解する。
12週 電圧制御(2)・講義 無効電力の発生源および無効電力制御方式について理解する。
13週 周波数制御(1)・講義 周波数維持の必要性および電力系統の周波数特性について理解する。
14週 周波数制御(2)・講義 連系系統の周波数特性および負荷周波数制御について理解する。
15週 経済運用・講義 / 演習 電力系統をできるだけ低コストで運用するための方法について理解する。
ラグランジュの未定乗数法により,各時間帯で最も経済的となる発電機の出力分担を求めることができることを確認する。
16週 学年末試験、答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100