高電圧工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 高電圧工学
科目番号 0094 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 花岡 良一「高電圧工学」(森北出版)
担当教員 池田 陽紀

到達目標

 1.各種電極に高電圧を印加した場合に電極周囲に生ずる電界の計算ができる。
 2.気体中における放電までの基礎課程の理解し、各種気中放電の特徴が説明できる。
 3.液体および固体の電気伝導特性と絶縁破壊特性を理解する。
 4.高電圧の発生、測定方法、各種絶縁特性試験について理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (電極配置と電界分布)各種電極形状において電界集中を生じる部位を指摘することができ,その根拠を説明することができる。また,各種電極まわりの電界を適した手法で計算することができる。各種電極形状において電界集中を生じる部位を指摘することができる。また,適した公式をあてはめ,各種電極まわりの電界を計算することができる。各種電極形状において電界集中を生じる部位を指摘することができない。また,各種電極まわりの電界を計算することができない。
評価項目2 (放電の基礎現象の理解)気体中における気体分子の振る舞い,電解中における荷電粒子の振る舞いについて,適切な用語を用いて説明することができる。また,気体分子の励起・電離に必要なエネルギーの求め方を理解し,実際に計算することができる。気体中における気体分子の振る舞い,電解中における荷電粒子の振る舞いについて説明することができる。また,気体分子の励起・電離に必要なエネルギーを計算することができる。気体中における気体分子の振る舞い,電解中における荷電粒子の振る舞いについて説明することができない。
評価項目3 (気体中の放電現象)タウンゼントの破壊前駆理論,パッシェンの法則について適切な用語を用いて説明することができる。また,気体の電気伝導特性および絶縁破壊機構を上記の理論・法則とからめて説明することができる。タウンゼントの破壊前駆理論,パッシェンの法則について説明することができる。また,気体の電気伝導特性および絶縁破壊機構を説明することができる。タウンゼントの破壊前駆理論,パッシェンの法則について説明できない。気体の電気伝導特性および絶縁破壊機構を説明できない。
評価項目4 (各種放電現象)コロナ放電,グロー放電,アーク放電,火花放電について,各放電の特長について,その原因となる現象と合わせて説明することができ,その他の放電現象について考察することができる。コロナ放電,グロー放電,アーク放電,火花放電について,各放電の特長について,その原因となる現象と合わせて説明することができる。コロナ放電,グロー放電,アーク放電,火花放電について説明できない。
評価項目5 (液体・固体中の放電現象)液体・固体誘電体の電気伝導特性・絶縁破壊現象について,その原因となる現象と合わせて説明することができる。また,任意の系において,印加電圧等の条件から,計算を交えて絶縁破壊に至る過程を説明することができる。さらに,各種誘電材料の特長について理解し,説明することができる。液体・固体誘電体の電気伝導特性・絶縁破壊現象について,その原因となる現象と合わせて説明することができる。また,任意の系において,印加電圧等の条件から,計算を交えて絶縁破壊に至る過程を説明することができる。液体・固体誘電体の電気伝導特性・絶縁破壊現象について説明できない。
評価項目6 (高電圧絶縁試験と高電圧の発生・観測)各種高電圧絶縁試験について,その目的と評価方法について説明することができる。シェーリングブリッジ回路を用いて誘電正接(tanδ)を求めることができる。また,試験に用いられる交流・直流・インパルスの各種高電圧の発生方法と観測方法について,その原理も含めて説明することができる。また,各種高電圧回路の特性について理解し,所望の波形を出力できる電源回路のパラメータを求めることができる。基本的な高電圧絶縁試験について説明することができる。シェーリングブリッジ回路を用いて誘電正接(tanδ)を求めることができる。また,試験に用いられる交流・直流・インパルスの各種高電圧の発生回路と適切な観測方法について説明することができる。高電圧絶縁試験の種類や各試験の目的が説明できない。交流・直流・インパルスの各種高電圧の発生方法と観測方法について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-1) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
各媒体(気体、液体、固体、真空)の高電圧現象に関する基礎過程(高電界電気伝導と絶縁破壊現象)から、高電圧の発生と測定・試験方法および高電圧応用機器に至る内容を、電気技術者として具備すべき事項について講義する。また、電気主任技術者第Ⅲ種以上の問題が充分解答できることを目標に、高度な理論解析よりもむしろ基礎に重点をおいて講義する。
授業の進め方・方法:
教科書を主とする講義形式で進めることとし、重要な箇所については小試験やレポート課題を課すことで理解を深める手助けとする。
注意点:
関連科目
応用物理、電磁気学、電気回路、電気電子材料、電力系統工学

学習指針
電磁気学、電気回路学に基づき、高電圧工学の本質を理解する。

自己学習
教科書による予習や復習を怠らないこと。
電気主任技術者第Ⅲ種の過去問題を積極的に解くこと。

事前学習:次回講義内容について予習をし、不明な点を明確にしておくこと。
事後発展学習:適宜講義内容について演習問題を課すので取り組む。

学修単位の履修上の注意

成績評価のレポート等により,自学自習の取り組みを評価することに注意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 高電圧工学概論 高電圧工学に関わる技術体系について理解する。
2週 静電界 高電圧工学に関わる静電界の性質について理解する。
3週 気体中の分子運動 気体中の分子の運動について理解する。
4週 気体の高電界電気伝導 放電に至る気体中の高電界電気伝導について理解する。
5週 タウンゼント理論 気体放電の基礎であるタウンゼント理論について理解する。
6週 パッシェンの法則・ストリーマ放電理論 自続放電に至るパッシェンの法則,および電子なだれとストリーマ進展について理解する。
7週 前期中間試験 授業内容についての試験問題に正しく解答できる。
8週 気体中の各種放電現象(1) コロナ放電,アーク放電,グロー放電について理解する。
4thQ
9週 気体中の各種放電現象(2) 気体の全路破壊現象について理解する。
10週 液体絶縁体の高電界電気伝導 液体絶縁体の高電界電気伝導特性について理解する。
11週 液体の絶縁破壊 液体の絶縁破壊および絶縁破壊特性について理解する。
12週 固体中の高電界電気伝導 固体絶縁体の高電界電気伝導特性について理解する。
13週 固体の絶縁破壊 固体の絶縁破壊および絶縁破壊特性について理解する。
14週 複合誘電体の絶縁破壊 固体/気体等の複合誘電体の絶縁破壊について理解する。
15週 高電圧絶縁試験 各種高電圧絶縁試験の方法と意味について理解する。
16週 高電圧の発生と観測 高電圧の発生方法と観測方法について理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

レポート・小テスト定期試験合計
総合評価割合3070100
基礎的能力103040
専門的能力204060