応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 0062 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ビジュアルアプローチ力学(森北出版)
担当教員 榊原 和彦

到達目標

1. 運動量と力積の一般的な関係の導出および運動量保存則の物理的な理解ができ、それらを用いた応用問題が解けるようになること。質量が変化する運動の問題が解けるようになること。
2. 広義のエネルギー保存則を導出し、仕事の計算ができるようになること。力学的エネルギー保存則の物理的意味を理解し、その応用問題が解けるようになること。
3. 慣性力および極座標を理解できること。また、角運動量とトルクの概念を理解し、質点系の運動について理解できるようになること。惑星の運動について説明できること。
4. 剛体の概念を理解し、慣性モーメントの計算および剛体の運動に関する具体的な問題が解けるようになること。流体あるいは波動の扱いを理解し、現代物理の考え方に慣れること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1運動方程式から運動量と力積の一般的な関係式を導出することができ、それを具体的な力学現象の考察に応用できる。運動量保存の法則について説明ができ、それを用いて2次元以上の空間での衝突現象を解析できる。運動量と力積の関係や運動量保存を用いて質量の変化する物体の運動に関する問題が解ける。運動方程式から運動量と力積の一般的な関係式を導出することができ、また運動量保存の法則について説明ができる。2次元以上の空間における衝突現象において成り立つ運動量の保存を式で示すことができる。質量の変化する物体の運動について、その運動方程式をたてることができる。運動方程式から運動量と力積の一般的な関係式を導出することができず、また運動量保存の法則について説明することができない。さらに、1次元における衝突現象においてもそこで成り立つ運動量保存則を式で示すことができず、かつ質量の変化する物体の運動の運動方程式をたてられない。
評価項目2運動方程式から運動エネルギーと一般的な仕事の関係式(広義のエネルギー保存則)を導出できる。一般的な運動(力)に対する仕事を計算することができる。保存力の概念を理解して広義のエネルギー保存則から力学的エネルギー保存則を導出することができ、それを具体的な力学現象の考察に応用できる。簡単な力の位置エネルギーを計算で求めることができる。慣性力や極座標を使った簡単な問題が解ける。トルクと角運動量の関係式の導出、および角運動量の保存則の説明をすることができる。質点系の並進運動・回転運動について、その意義を説明することができる。重心の定義式を説明することができる。運動方程式から運動エネルギーと一般的な仕事の関係式(広義のエネルギー保存則)を導出できない。また、保存力とそうでない力の区別ができず、広義のエネルギー保存則から力学的エネルギー保存則を導出することができない。かつ、偏微分の計算ができない。
評価項目3慣性力の導出について説明することができ、極座標の扱いができる。トルクの数学的な表現について説明することができ、トルクと角運動量の関係式を導出できる。角運動量の保存則について説明することができ、それを応用して中心力が働く問題を解くことができる。質点系の並進運動・回転運動について、具体的な計算を用いて説明することができる。重心の計算ができる。慣性力や極座標を使った簡単な問題が解ける。トルクと角運動量の関係式の導出、および角運動量の保存則の説明をすることができる。質点系の並進運動・回転運動について、その意義を説明することができる。重心の定義式を説明することができる。慣性力がどのような力であるのかを説明できない。また、極座標がどのようなものであるかを説明することができない。かつ、トルク・角運動量の概念を説明することができない。さらに、質点系の並進運動・回転運動について、その意義を説明することができない。重心の定義式を説明することもできない。
評価項目4剛体の概念を理解し、慣性モーメントの計算および剛体の運動に関する具体的な問題(運動方程式・運動量/各運動慮保存、エネルギー保存)を解くことができる。流体・波動・現代物理の基礎事項を説明することができる。慣性力がどのような力であるのかを説明できない。また、極座標がどのようなものであるかを説明することができない。かつ、トルク・角運動量の概念を説明することができない。さらに、質点系の並進運動・回転運動について、その意義を説明することができない。重心の定義式を説明することもできない。慣性力がどのような力であるのかを説明できない。また、極座標がどのようなものであるかを説明することができない。かつ、トルク・角運動量の概念を説明することができない。さらに、質点系の並進運動・回転運動について、その意義を説明することができない。重心の定義式を説明することもできない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-1) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
4年次は、3年次までに学習したことをより一層発展させ、5年次になって本格的な研究を行うための準備期間として重要な時期である。そのような時期にあたっては、専門科目の基礎となる物理の基本法則をより高度な数学的知識(特に微分や積分)を用いて学ぶことが不可欠であり、また、そのような学習を通して自分自身の理解力や洞察力を高めることは、「技術者が責任ある行動や決断を行う」ことの基礎の構築へと繋がっていく。以上をふまえ、本講義では、物理学の
① 数理的理解(数式、特に微分積分を用いて基本法則を理解すること)、
② 系統的理解(物理学的理解が自然界のいろいろな現象を統一的に説明すること)
を得ることを目標とする。
授業の進め方・方法:
 4年次の応用物理では、力学(座標変換、運動量/エネルギー保存則、質点系/剛体の力学)、流体力学あるいは波動現象、現代物理学の講義を行い、それぞれの内容を共通に貫く数理的理解、ならびに物理概念の系統的理解を念頭においた講義を行う予定である。なお、理解をより深めるために授業中にこちらから質問を投げることがあるので、それらに答えられるよう、理解が不十分な点を早めに解消しておくようにして欲しい。また、物理の基本法則を学ぶ上では“演習”や“実験”をすることも重要であり、必要に応じてそれらを講義に組み入れていくことを予定している。
注意点:
関連科目 3年次までに履修する物理学、数学、および応用数学
事前学習 あらかじめ講義内容に該当する部分の教科書を読み、理解できるところ、理解でき ないところを明らかにしておく。 また3年次までの物理分野と数学の知識が必要となるので、できる限る復習をしてから授業を受ける事。しかしながら、複雑な数学的取扱いに関しては可能な限り講義中に補完していく予定である。
事後展開学習 進度に合わせ、教科書の問題や問題集を参考にして自学・自習で解いておくこと。

講義内容は予定であり、学生の理解度を考慮して多少の変更があることに注意して頂きたい。

学修単位の履修上の注意

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入 講義の方針や授業方法、成績評価について理解する。
2週 物理数学① 微分や積分など、応用物理Ⅱに必要な数学の計算ができる。
3週 物理数学② ベクトル解析等、応用物理Ⅱに必要な数学の計算ができる。
4週 運動量 運動量の変化と力積の一般的な関係式を導出できる。
5週 質量が変化する運動 質量が変化する物体の運動に関する問題が解ける。
6週 運動量の保存則 運動量の保存則とその成立条件を理解する。
7週 演習① 運動量、運動量保存則に関する演習を解くことができる。
8週 運動エネルギー1 運動方程式からエネルギーと仕事の関係を導出できる。
2ndQ
9週 運動エネルギー2 運動エネルギーの保存する力の条件を求めることができる。
10週 仕事 一般的な仕事の定義を理解し、その計算ができる。
11週 力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存則が成り立つ条件を理解できる。
12週 保存力 保存力と位置エネルギーの概念、およびそれらの関係が理解できる。
13週 ポテンシャルの計算 種々の保存力と位置エネルギーの関係を計算して求めることができる。
14週 同上 ポテンシャルの視点から保存力の判定条件を理解する。
15週 座標変換① 見かけの力(慣性力)の導出を理解する。
16週 前期期末試験・返却 総合的な問題が解け、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 座標変換② コリオリ力・遠心力について理解し、極座標の考え方を学ぶ。
2週 回転とトルク 回転を生み出す力のモーメントの数学的表現を理解する。
3週 角運動量 角運動量とトルクの関係、および角運動量保存則を理解できる。
4週 質点系の力学① 質点系の並進運動および重心について理解する。
5週 質点系の力学② 質点系の回転運動について理解する。
6週 万有引力 万有引力について学び、惑星の運動を説明できる。
7週 実験 実験を行う。
8週 後期中間試験・返却 総合的な問題が解け、理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 剛体の力学① 「剛体」の概念を理解し、静止剛体に関する計算ができる。
10週 剛体の力学② 慣性モーメントの概念を理解し、その計算ができる。
11週 剛体の力学③ 剛体の運動に関する基本問題が解ける。
12週 演習③ 剛体の運動の具体的な演習問題を解くことができる。
13週 波動 波動力学の基本的な考え方が理解できる。
14週 流体 流体力学の基本的な考え方が理解できる。
15週 現代物理 相対性理論、量子力学の基礎が理解できる。
16週 学年末試験・返却 総合的な問題が解け、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学力の合成と分解をすることができる。3前2,前3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前2,前3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前9,前10,前11,前12,前13,前14
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前4,前5
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前6
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後1,後2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前13,前14,後6
力のモーメントを求めることができる。3後2
角運動量を求めることができる。3後3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3後3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3後9
重心に関する計算ができる。3後9
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後10
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後11,後12

評価割合

試験レポート,小テストなど合計
総合評価割合7030100
基礎的能力421860
専門的能力281240