物質化学工学実験Ⅲ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物質化学工学実験Ⅲ
科目番号 0057 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質化学工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 作成テキスト
担当教員 片倉 勝己,松浦 幸仁,山田 裕久

到達目標

〔到達目標〕
1.実験態度について
実験前(実験衣や防護めがねなど適切な準備を整えて実験に臨む。予習して、実験ノートに準備する。)
実験中(実験器具を正しく取り扱い、真剣に取り組む。実験データ以外にも気になったことは細大漏らさず記録に残す。劇毒物及び危険物は特に注意深く取り扱うなど安全に対する配慮を怠らない。)
実験後(実験で使用した器具の洗浄・破損報告を怠らない。天秤・ドラフト・実験台・床も掃除する。)
2.実験報告書について
序・操作・結果・考察など適切に項目分けして、それに見合った内容の事柄を報告する。
序(これを読むだけで全てが分かるよう、5行~10行程度にまとめる。)
操作(自ら工夫した操作を中心に説明し、過去形で表現する。)
結果(適切な計算式を用いて実験データを整理し、適切な図表に整理する。キャプションの位置やグラフの記号など体裁にも配慮する。)
考察(実験結果の特徴を捉えて分析し、適切な文献や資料を調べて化学的事象と結びつけて説明する。)
3.ダイアログについて
理解力の育成(実験の意義を理解し、各操作の必要性についても理解を深める。)
積極性の育成(報告書作成過程で不明な事象は積極的に質問する。担当教官の説明や共同実験者の発言も聞き逃さず、新しく知った事項は必ず記録に残す。)
表現力の育成(理解した内容や疑問に感じた内容を担当教官や共同実験者に適切に説明する。)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験器具を正しく取り扱っている。予習を十分してきている。劇毒物の取り扱いが規則に基づいてできていない。実験終了後に実験器具や薬品の整理と掃除ができていない。
評価項目2実験結果の特徴を捉えて分析し、適切な文献や資料を調べて化学的事象と結びつけて説明できる。適切な計算式を用いて実験データを整理し、適切な図表に整理している。自ら行った実験操作を把握していない。
評価項目3理解した内容や疑問に感じた内容を担当教官や共同実験者に適切に説明している。担当教官の説明や共同実験者の発言も聞き逃さず、新しく知った事項は必ず記録に残している。実験の意義を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (4) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
実験操作の体得や安全意識の啓蒙は勿論、ダイアログを実施することにより、実験の意味を確実に理解させ、様々な角度から実験結果を検討・考察させる。報告書の書き方も体得させる。
授業の進め方・方法:
実験する前にはしっかり予習をしておくこと。また、報告書を作成する際、まずは実験書や関連科目の教科書やそのときのノートを参考にする。それでも足りない部分は、図書館での文献調査等が必要となる。さらに共同実験者とのディスカッションも有意義である。公欠および正当な理由があると認めた場合の欠課には追実験を認めるので、やむを得ず実験を欠席する場合には必ず実験担当者まで事前に連絡すること。
注意点:
関連科目
第1学年の化学、第2・3学年の無機化学、第3・4学年の物理化学などと関連する。
  学習指針
   物理化学及び無機化学実験として位置づけられるので、授業で習った内容を自主的に復習しておくこと。

学修単位の履修上の注意

その週の実験テーマについて、実験テキストをよく読んでおいて下さい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 前期の実験における安全指導・レポート指導・器具薬品の準備
2週 7組14項目の実験
(2週連続して実験し、その次週の実験開始時に2項目の実験についてレポートを提出する。原則として同日にダイアログを行う。)
基本物性測定
3週 同上 (水-アルコール系の粘度・密度測定)
4週 同上 電気化学実験
5週 同上 (溶液の電導度測定・酸-塩基の伝導度滴定)
6週 同上 相互溶解度曲線の作成
7週 同上 (二成分系の相互溶解度曲線・三成分系の相互溶解度曲線)
8週 同上 無機合成実験Ⅰ
2ndQ
9週 同上 (ゴールドシュミット反応、無機・金属化合物の合成)
10週 同上 反応速度定数の測定
11週 同上 (擬一次反応速度定数・2次反応速度定数)
12週 同上 界面化学実験
13週 同上 (活性炭への酢酸の吸着・界面活性剤溶液の表面張力)
14週 同上 データ整理、実験室の整理整頓
15週 同上 前期の実験のまとめと各班での話し合い
16週 同上 PBL実験および発表会の説明、テーマ選定の指導
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 後期の実験における安全指導・レポート指導・器具薬品の準備
2週 7組14項目の実験
(2週連続して実験し、その次週の実験開始時に2項目の実験についてレポートを提出する。原則として同日にダイアログを行う。)
ガラス細工
3週 (ガラス細工の基礎・ガラス細工の応用)
4週 同上 機器分析
5週 同上 (ガスクロマトグラフ分析1・2)
6週 同上 分配係数の測定
7週 同上 (水-エーテル系の分配係数、コハク酸および安息香酸)
8週 同上 熱化学実験
4thQ
9週 同上 (ヨウ化銀の熱転移の測定・塩酸と水酸化ナトリウムとの中和熱測定)
10週 同上 無機合成実験Ⅱ
11週 同上 (錯体合成実験、キレート錯体)
12週 同上 データ整理、実験室の整理整頓
13週 同上 PBLテーマ
14週 同上 (問題解決型テーマ 実験計画の立案および実行)
15週 同上 諮問とPBLテーマ発表会の準備
16週 PBLテーマ発表会 討論

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。4
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4

評価割合

実験報告書発表・ダイアログ相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力2010000030
専門的能力2015000035
分野横断的能力2015000035