到達目標
一連の設計、および製図の実技を通して以下の点を到達目標とする。
(1)具体的な渦巻きポンプの原理や構造設計、材料デザイン、性能や設計仕様等を理解することができる。
(2)ポンプ各部の性能・強度設計および寿命計算法だけでなく、動的システムを持つ組立機械ゆえ、危険速度や共振に対する考え方も理解した設計書を作成することができる。
(3)JIS規格の見方、真円度、表面粗さ、はめあい等の各種製図記号の記述の仕方、実際の加工を考慮した加工手順・寸法公差の決め方等を習得することができる。
(4)動的システムを持つポンプの全図面を作成することにより、総組立図、部品図の関係を理解すると同時に、Value Engineering (価値工学設計)等にも視点を置いた設計・製図を心掛け、実務への応用・発展能力を身につけることができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
| 渦巻ポンプの原理や構造・性能を理解し、的確に説明できる。 | 渦巻ポンプの原理や構造・性能を理解し、説明できる。 | 渦巻ポンプの原理や構造・性能を理解し、説明できない。 |
| 与えられた設計仕様を理解し、基
本的な性能・強度設計および寿命計算等を行って設計書を的確に作成することができる。 | 与えられた設計仕様を理解し、基
本的な性能・強度設計および寿命計算等を行って設計書を作成することができる。 | 与えられた設計仕様を理解し、基
本的な性能・強度設計および寿命計算等を行って設計書を作成することができない。 |
| JIS規格に則り、各種製図記号の記述の仕方、実際の加工を考慮した加工手順・寸法公差の決め方等を理解し的確に指示することができる。 | JIS規格に則り、各種製図記号の記述の仕方、実際の加工を考慮した加工手順・寸法公差の決め方等を理解し指示することができる。 | JIS規格に則り、各種製図記号の記述の仕方、実際の加工を考慮した加工手順・寸法公差の決め方等を理解し指示することができない。 |
| 設計書に基づいて動的システムを持つ機械の具体的な構造を理解し、装置全体として調和のとれた十分に完成度の高い図面を作成することができる。 | 設計書に基づいて動的システムを持つ機械の具体的な構造を理解し、装置全体として調和のとれた完成度の高い図面を作成することができる。 | 設計書に基づいて動的システムを持つ機械の具体的な構造を理解し、装置全体として調和のとれた完成度の高い図面を作成することができない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 B-1
説明
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JABEE d2
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教育方法等
概要:
この講義は本校の教育目標のうち専門分野における「応用力」を養う科目である。既に3学年までに学んだ設計製図の知識を基に、自然界に存在する流体のエネルギを利用するエネルギ変換機械として渦巻きポンプの設計製図を行う。各自の設計仕様は全て個別の仕様とし、前期に設計法を学び設計書を完成させる。後期には設計書を元に総組み立て図、部品図などを描画し、製図法と規則、加工方法等を考慮した現実の設計業務のルーティンを体験させる。本講義の担当教員は、企業で電動機(各種モータ)に関する開発設計業務に長年携わっており、その経験を活かした企業における機構設計や機械要素設計、品質管理手法、あるいは寿命計算手法などを盛り込んだ演習形式の講義を実施している。
授業の進め方・方法:
課題である「渦巻きポンプの設計・製図」の講義を基に、現実の機械設計に必要な知識、手順-ルーティンワークを身につけさせる。自らの設計仕様、設計課題に対して、何故こういった設計方法になるのかという問題意識を常に持ち、積極的に資料検索等を行うことにより、機械設計における各教科の関連性、知識を深めることが可能となる。これにより、現実の設計現場に則した設計法・製図法を身につけられる。なお、質問については水曜日以外の16:30時~17:30時の間に適時研究室に来訪のこと。
また、課題に対し次のような自学自習を120時間以上、各自で設けること。
・授業内容を理解するため,予め配布したプリントや教科書で予習する.
・授業内容の理解を深めるため,復習を行う.
・課題を与えるので,レポートを作成する.
・適宜設計レポート作成や図面作成を行う。
・課題に対し、VE等の視点を盛り込んだ新規加工手順やライフタイム推定といった工夫を設計に盛り込む。
注意点:
授業時間内で課題が終了できない場合は、適宜各自で主体的に設計レポート作成や図面作成を行う。各提出課題の期限が決まっているので、この期限に遅れないように注意する。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
I)設計(前期)……各自の設計仕様の決定、及び設計スケジュールの説明。 授業ガイダンス、ポンプ設計の概要:ポンプの分類と構造、比速度、相似則など(講義)。 |
年間の設計書・図面制作のスケジュールの認識。ポンプの種類や用途、渦巻きポンプの構造を理解し、設計書に適用できる。
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2週 |
ポンプの基本設計:エネルギ量の計算と動力、各種効率、電動機の決定(講義)。 |
ポンプの基本設計として、必要エネルギ量の計算と動力、各種効率、使用する電動機等を理解し、設計書に適用できる。
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3週 |
第1,2週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務。 |
同上
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4週 |
第1,2週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務と設計書作成および提出。 |
同上
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5週 |
羽根車の設計:オイラーのエネルギ変換式の導入と羽根車特殊曲線の作図(講義)。 |
オイラーのエネルギ変換式と羽根車特殊曲線の作図法を理解し、設計書に適用できる。
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6週 |
第5週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務と設計書作成および提出。 |
同上
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7週 |
ポンプ本体の設計:渦巻室の渦巻き線・断面形状、吸い込み・吐き出し口の設計(講義)。 |
ポンプ本体の設計として、渦巻室の渦巻き線・断面形状、吸い込み・吐き出し口の設計を理解し、設計書に適用できる。
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8週 |
第7週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務と設計書作成および提出。 |
同上
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2ndQ |
9週 |
主軸の設計:曲げ、捻り、危険速度等を考慮した軸径の決定(講義)。 |
ポンプ主軸の設計として、曲げ強度、捻り精度、危険速度等を考慮した軸径の設計を理解し、設計書に適用できる。
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10週 |
第9週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務と設計書作成および提出。 |
同上
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11週 |
軸受の設計:軸受の選定、軸封装置、及び軸継ぎ手の設計(講義)。 |
軸受の選定、軸封装置、及び軸継ぎ手の設計を理解し、設計書に適用できる。
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12週 |
第11週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務と設計書作成および提出。 |
同上
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13週 |
その他各部品の設計、設計寿命などを考慮し経済性,軽量化,リプレース等を判断した設計(講義)。 |
軸受やオイルシール等、その他の部品の設計寿命などを考慮・理解し、設計書に適用できる。
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14週 |
第13週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務。 |
同上
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15週 |
第13週で学んだ各自の仕様に対する実設計業務と設計書作成および提出。 |
同上
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16週 |
最終的に各設計書全ての提出。 |
具体的に渦巻ポンプを設計して行く手順を理解し、全ての設計書を提出する。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
II)製図(後期)……実際に製作する手順などを念頭におき製図する。(製図記号の確認) 総組立図作成への注意、および総組立図の製図1。 |
JIS製図法や製作する手順などを念頭におき作図することを理解し、総組立図面の作成に適応できる。
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2週 |
総組立図の製図2。 |
同上
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3週 |
羽根車図面作成への注意、および羽根車の製図1。 |
羽根車特殊曲線の作図法などを理解し、羽根車図面の作成に適応できる。
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4週 |
羽根車の製図2。 |
同上
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5週 |
ポンプ本体図面作成への注意、およびポンプ本体の製図1。 |
渦巻き線の作図法などを理解し、ポンプ本体図面の作成に適応できる。
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6週 |
ポンプ本体の製図2。 |
同上
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7週 |
ポンプ本体・吸い込みカバーの製図3。 |
ポンプ本体と吸い込みカバーの同軸度やはめ合いなどを理解し、吸い込みカバー図面の作成に適応できる。
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8週 |
ポンプ本体・吸い込みカバーの製図4。 |
同上
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4thQ |
9週 |
主軸図面作成への注意、および主軸の製図1。 |
特に主軸の加工工程や粗さ指定、はめ合いなどを理解し、主軸図面の作成に適応できる。
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10週 |
主軸の製図2。 |
同上
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11週 |
軸受台図面作成への注意、および軸封装置、軸受台の製図1。 |
軸受のスラスト荷重の受け方や渦巻き室との同軸度・はめ合いなどを理解し、軸受台図面の作成に適応できる。
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12週 |
軸封装置、軸受台の製図2。 |
同上
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13週 |
軸封装置、軸受台の製図3。 |
同上
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14週 |
その他の部品図面作成への注意、およびその他の部品の製図1。 |
その他の部品(軸受蓋、パッキン押さえ、台座など)のはめ合いや精度指示(同軸度・円筒度・平面度等)を理解し、部品図面の作成に適応できる。
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15週 |
その他の部品の製図2。 |
同上
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16週 |
設計変更を含めた全ての設計書、および全ての図面の最終提出。 |
設計変更を含めた最終的な全ての設計書・図面を提出する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 製図 | 製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。 | 3 | 後1,後2 |
公差と表面性状の意味を理解し、図示することができる。 | 3 | 後1,後2 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの機械要素の図面を作成できる。 | 3 | 後3,後9,後11,後14 |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。 | 3 | 前1,前2,前5,前7,前9,前11,前13,後1,後2,後5,後7,後11,後14 |
評価割合
| 設計書・図面の内容 | 課題提出状況 | 授業態度・積極性 | | | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 30 | 10 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 0 | 10 |
専門的能力 | 60 | 30 | 0 | 0 | 0 | 0 | 90 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |