概要:
<前期>
これまでの授業で学んだ、構造・材料・環境・生産などの分野に関する実験や測定を行う。実験を通じ体験的することで、知識の定着をはかることを目的とする。
また、実務上の品質管理のあり方、原理、方法を体験的に学ぶ。
<後期>
(1)2級建築士製図課題の演習
2級建築士の製図試験の課題を、非常勤講師を招き解説、実技をおこなう。実際に2級建築士および1級建築士を受験する場合には、ある程度の製図のスピードが必要で、エスキスやプランなどだけでは合格しないため、製図のスピードに重点をおいて授業を行う。
(2)建築積算
設計図の内、意匠設計図と構造設計図をもとに、コンクリートの数量を積算する。
この科目は、企業で設計・施工等の業務に従事していた教員が、その経験を活かし、前期1~3週、5週、7週、10週、14週、後期1~15週の授業を担当し、実験・実習形式で授業を行う。
授業の進め方・方法:
環境実験では、学校を対象に実地で<前期>
実験は班単位で行い、教員などの指導の下、実験のポイントを押さえ、安全上の注意点などを守り、全員が協力して活動する。実験の結果は記入シートに記入し、毎回の実験の結果をまとめ、考察や感想を記入する。
レポートは、前期末に全部の実験結果をまとめて提出する。
<後期>
(1)2級建築士製図課題の演習
製図板は貸与する。毎回の授業では課題に対して必要図面の提示が行われる。授業時間中に書き上げることを目指し製図を行う。
授業の初期は解説と模写が中心である。最後は、実際の製図課題に対して、必要図面のすべてを書き上げる課題とする。
(2)建築積算
配布する図面は、意匠図と構造図である。この図面には必要な寸法がすべて書き込んであるわけではない。また不整合もある図面である。実際の図面にもこのような場面は多くあり、現場で設計者などと打合せを行い進めてゆくのが一般的である。
学生自らレベル(基準高さ)などを設定し、開口部まわり、基礎、梁、柱などの融合部を理解しながら、コンクリートの数量を積算する。
なお、学生別に基準線のスパンが異なっているの、全員計算式、結果が異なることに注意すること。環境要素を実測し、夏涼しい学校環境を考える演習を実施する。
構造実験では、コンクリートの調合・破壊の一連の実験を実施する。
二級建築士製図試験の課題を通じて実践的な設計演習を行う。
注意点:
<前期>
○服装は、原則、体操服とする。特に靴はヒール、サンダルなどは不可である。安全上服装などに問題がある場合は、授業の受講を認めないこともある。
○データの整理用の電卓は各自持参するように。
○授業計画は、班によって前後するので、例として示す。
<後期>
○製図板は貸与するが、破損の内容に管理し、最終課題提出後は返却すること。
○積算のため電卓は必要である。また積算結果を記入するレポート用紙はA4し各自用意すること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、班長選出 調合計算に関する説明・演習 |
コンクリートの調合設計が出来る。
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2週 |
調合の決定・骨材の準備 |
コンクリートの調合設計を完成させる。使用する骨材の量を把握し準備することが出来る。
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3週 |
コンクリートの練り混ぜ(加水影響) (翌日放課後、脱型・清掃・養生開始) |
班長の統率の基、役割に従い、材料の準備、計量、練り混ぜを行い、試験用の供試体を作成することが出来る。 加水によってコンクリートのワーカビリティーが違うことを目視、体験することが出来る。
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4週 |
測量実習・面積計算 (レベルによる高低差測量、トランシットによる角度測量、スチールテープによる長さ測量) |
測量機の操作、設置が出来る。 数学的な知識を基に面積の計算が出来る。
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5週 |
コンクリートの非破壊検査 (反発度法、超音波伝播速度法) |
非破壊検査の種類と検査方法を理解し、検査を行うことが出来る。
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6週 |
コンクリートの圧縮強度 (材齢28日) |
コンクリートの圧縮試験が出来る。 加水したコンクリートの強度の変化と、水セメント比と強度の関係について考察することが出来る。
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7週 |
教室における照度分布測定 |
照度の測定が出来、室内における照度の分布と実際の目視による感覚の違いについて理解することができる。
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8週 |
振動実験 (固有周期と振動周期) |
地震(振動)の大きさと周期について理解し、建物の固有周期との関係で建物の振動が変化することを理解することが出来る。
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2ndQ |
9週 |
前期中間試験 |
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10週 |
遮音の測定 (扉の遮音性能試験) |
騒音計の測定、結果の整理をすることが出来、遮音と音の周波数の関係について理解することが出来る。
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11週 |
熱の影響を受けた鉄筋の引張り試験用試験片の準備 |
800℃という温度の高温さと、金属の変化する色について理解することが出来る。
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12週 |
鉄筋の引張り試験 (高温の影響を受けた) |
800℃という温度の高温さと、金属の変化する色について理解することが出来る。
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13週 |
鉄骨の溶接の外観検査 (欠陥溶接部の目視検査) |
溶接部の検査方法について理解し、欠陥の出来る理由と抑制方法について理解する。
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14週 |
温熱環境測定 |
溶接部の検査方法について理解し、欠陥の出来る理由と抑制方法について理解する。
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15週 |
色彩測定 (色差計、標準色見本) |
人の目視による色の判別、比較の曖昧さについて理解し、測定器による色の評価法について理解する。
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16週 |
前期期末試験 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
二級建築士製図課題説明、二級建築士製図試験の傾向と対策 |
課題を理解する
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2週 |
木造住宅の配置図・平面図の演習 |
図面を正確にトレースできる
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3週 |
木造住宅の矩形図の演習 |
図面を正確にトレースできる
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4週 |
木造住宅の立面図・小屋伏図の演習 |
図面を正確にトレースできる
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5週 |
二級建築士製図のエスキスの進め方 |
課題を理解する
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6週 |
二級建築士製図のエスキス演習1 |
図面を時間内に作図できる
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7週 |
二級建築士製図の模擬演習 |
図面を時間内に作図できる
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8週 |
二級建築士製図課題・講評 |
図面を時間内に作図できる
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4thQ |
9週 |
課題説明 |
調査学習の主題説明
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10週 |
テーマ決定 |
各班で主題にすることを決定する。
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11週 |
課題取組み(1) |
課題の抽出と解決・事例調査
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12週 |
課題取組み(2) |
同上
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13週 |
課題取組み(3) |
同上
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14週 |
発表資料作成 |
パワーポイントでまとめる
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15週 |
発表会 |
各班7分+質疑3分 自己・相互評価
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16週 |
学年末試験 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術 | 工学実験技術 | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | 前16 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | 前16 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | 前16 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | 前16 |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | 前16 |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | 前16 |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | 前16 |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | 前16 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | 前16 |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | 前16 |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | 前16 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建築系分野 | 設計・製図 | 製図用具の特性を理解し、使用できる。 | 4 | 後8 |
線の描き分け(3種類程度)ができる。 | 4 | 後8 |
文字・寸法の記入を理解し、実践できる。 | 4 | 後8 |
建築の各種図面の意味を理解し、描けること。 | 4 | 後8 |
図面の種類別の各種図の配置を理解している。 | 4 | 後8 |
図面の尺度・縮尺について理解し、図面の作図に反映できる。 | 4 | 後8 |
立体的な発想とその表現(例えば、正投象、単面投象、透視投象などを用い)ができる。 | 4 | 後8 |
分野別の工学実験・実習能力 | 建築系分野(実験・実習能力) | 建築系分野(実験・実習能力) | 実験の目的と方法を説明できる。 | 4 | 前1 |
建築に用いる構造材料(例えば木、コンクリート、金属など)の物理的特性を実験により明らかにすることができる。 | 4 | 前1,前5,前6,前12 |
実験結果を整理し、考察できる。 | 4 | 前5,前6,前12 |
実験の目的と方法を説明できる。 | 4 | 前8,前13 |
構造材料(例えば木、コンクリート、金属など)によるいずれかの構造形式(ラーメン、トラスなど)の試験体を用い、載荷実験を行い、破壊形状と変形の性状を観察することができる。 | 4 | 前8,前13 |
実験結果を整理し、考察できる。 | 4 | 前8,前13 |
実験の目的と方法を説明できる。 | 4 | 前7,前10,前14 |
建築を取巻く環境(例えば音、光、温度、湿度、振動など)を実験により把握できる。 | 4 | 前7,前10,前14 |
実験結果を整理し、考察できる。 | 4 | 前7,前10,前14 |
建築生産で利用されている測量(例えば、レベル、トランシット、トータルステーション、GPS測量など)について機器の取り扱いができる。 | 4 | 前4 |
測量の結果を整理できる。 | 4 | 前4 |
分野横断的能力 | 基盤的資質・能力 | 自己理解 | 自己理解 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | 後15 |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | 後15 |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | 後15 |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | 後15 |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 3 | 後15 |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 3 | 後15 |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | 後15 |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | 後15 |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | 後15 |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | 後15 |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | 後15 |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | 後15 |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | 後15 |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | 後15 |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | 後15 |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | 後15 |
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。 | 3 | 後15 |
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。 | 3 | 後15 |
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。 | 3 | 後15 |
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。 | 3 | 後15 |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。 | 3 | 後15 |
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。 | 3 | 後15 |
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。 | 3 | 後15 |
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。 | 3 | 後15 |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 3 | 後15 |
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。 | 3 | 後15 |
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。 | 3 | 後15 |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 3 | 後15 |
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。 | 3 | 後15 |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 3 | 後15 |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 3 | 後15 |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | 後15 |
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。 | 3 | 後15 |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 3 | 後15 |