材料学3

科目基礎情報

学校 松江工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 材料学3
科目番号 0018 科目区分 専門 / 必履修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 【教科書】工業材料,文部科学省,実教出版
【参考書】材料技術基礎,里達雄,実教出版
     機械・金属材料学,黒田大介,実教出版
担当教員 新野邊 幸市

到達目標

1) 鉄鋼の製錬過程とその反応過程を理解する.
2) 鉄-セメンタイト系2元系状態図を理解して,連続冷却における鋼のミクロ組織の形成過程を理解する.
3) TTT線図とこれを用いた熱処理の原理、ならびに熱処理の作業工程の原理と特徴を理解する.
4) 炭素鋼と合金鋼の分類を理解し,用途ごとに分類された鉄鋼材料の特性を理解する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鉄鋼の製錬過程とその反応過程を正しく理解できる.鉄鋼の製錬過程とその反応過程を理解できる.鉄鋼の製錬過程とその反応過程を理解できない.
評価項目2鉄-セメンタイト系2元系状態図を理解して,ミクロ組織の形成過程を正しく理解できる.鉄-セメンタイト系2元系状態図を理解して,ミクロ組織の形成過程を理解できる.鉄-セメンタイト系2元系状態図を理解して,ミクロ組織の形成過程を理解できない.
評価項目3TTT線図とこれを利用した熱処理、ならびに熱処理の作業工程を正しく理解できる.TTT線図とこれを利用した熱処理、ならびに熱処理の作業工程を理解できる.CTTT線図とこれを利用した熱処理、ならびに熱処理の作業工程を理解できない.
評価項目4炭素鋼と合金鋼の分類を理解し,用途ごとに分類された鉄鋼材料の特性を正しく理解できる.炭素鋼と合金鋼の分類を理解し,用途ごとに分類された鉄鋼材料の特性を理解できる.炭素鋼と合金鋼の分類を理解し,用途ごとに分類された鉄鋼材料の特性を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 M1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 すべての構造物は「材料」で構成されていて,強さが強く,美麗さがあり,かつ再生が可能であるなどの理由から「金属」が多く用いられる.金属のうちで「鉄」は古代から最も身近に使われてきていて,加熱・冷却などの熱処理することにより,またわずかに他の元素を合金することにより多種多用な性質が得られる.そこで材料学では機械工学を学ぶ上で基礎知識となる鉄鋼材料の材料強度・組織学を主として学習する.本講義は材料学2に続いて,鉄鋼材料の製造プロセス,鉄-セメンタイト系2元系状態図と熱処理を学習して,鉄鋼材料のミクロ組織の形成過程に加えて、鋼種ごとの特性の違いを理解する.
授業の進め方・方法:
中間試験は到達目標1) と2) の項目,期末試験は到達目標3) と4) の項目について,学習内容の理解度を評価するため実施する.レポート等の課題提出は5-7回程度実施する.最終成績は中間試験,期末試験ならびにレポート等を評価対象として,次の式により計算する.50点以上を合格とする.
中間試験:期末試験:レポート等の課題 = 40% : 40% : 20%
注意点:
再評価試験は総合成績が50点未満の学生に対して実施して,70点以上を合格とする.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 Trial 1 鉄鋼の製錬過程
鉄鉱石がコークスにより還元反応を起こして,鉄と鋼ができるまでのプロセスを理解する.
Keyword : 製銑, 製鋼, 高炉, 転炉, ベッセマー, パドル法
鉄鋼の製法を説明できる.
2週 Trial 2 鉄鋼の製錬過程
前回に続いて,鉄鉱石がコークスにより還元反応を起こして,鉄と鋼ができるまでのプロセスを理解する.さらに,連続鋳造と電気炉法を理解する.
Keyword : 製銑, 製鋼, 高炉, 転炉, ベッセマー, パドル法
鉄鋼の製法を説明できる.
3週 Trial 3 鋼の状態図
鉄-セメンタイト系2元系状態図を学習して,ミクロ組織の形成過程を理解する.
Keyword : オーステナイト,フェライト,セメンタイト,A1点,A1線,A3点,A3線,A4点
鉄-セメンタイト系2元系状態図の見方を説明できる.
4週 Trial 4 鋼の状態図
前回に続いて,鉄-セメンタイト系2元系状態図を学習して,ミクロ組織の形成過程を理解する.
Keyword : パーライト,初析フェライト,初析セメンタイト,亜共析鋼,共析鋼,過共析鋼
鉄-セメンタイト系2元系状態図の見方を説明できる.
5週 Trial 5 鋼の状態図
前回に続いて,鉄-セメンタイト系2元系状態図を学習して,ミクロ組織の形成過程を理解する.
Keyword : パーライト,初析フェライト,初析セメンタイト,亜共析鋼,共析鋼,過共析鋼
鉄-セメンタイト系2元系状態図から組織の形成過程を説明できる.
6週 Trial 6 鋼の状態図
連続冷却中に生成するミクロ組織の特徴を理解する.
Keyword : 熱膨張曲線,CCT線図,マルテンサイト
連続冷却における組織の形成過程を説明できる.
7週 Trial 7 鋼の状態図
マルテンサイト変態とマルテンサイト組織の特徴を理解する.
Keyword : 無拡散変態,過飽和炭素,転位,双晶
連続冷却における組織の形成過程を説明できる.
8週 中間試験
第1週~第7週までの学習理解度について期末試験により評価する.
4thQ
9週 Trial 8 鋼の熱処理
TTT線図の図読を理解して,組織の形成過程を理解する.
Keyword : TTT線図,ベイナイト,オーステンパー,マルテンパー,オースフォーミング
等温冷却における組織の形成過程を説明できる.
10週 Trial 9 鋼の熱処理
熱処理の焼入れに関する実用試験とその原理を理解する.
Keyword : ジョミニー試験,焼き入れ性曲線,質量効果,サブゼロ処理,残留オーステナイト
焼きなまし,焼きならし,焼き入れの目的と操作を説明できる.
11週 Trial 10 鋼の熱処理
前週に続いて、熱処理の実用試験とその原理を理解する.
Keyword : ジョミニー試験,焼き入れ性曲線,質量効果,サブゼロ処理,残留オーステナイト
焼きなまし,焼きならし,焼き入れの目的と操作を説明できる.
12週 Trial 11 鋼の熱処理
熱処理の実用試験とその原理を理解する
Keyword : 焼きならし,焼きなまし,球状化焼き鈍し,応力除去焼き鈍し
焼きなまし,焼きならし,焼き入れの目的と操作を説明できる.
13週 Trial 12 鉄鋼の分類
炭素鋼と合金鋼の違いを理解するとともに,JISによる鋼種分類を理解する.
炭素鋼および合金鋼の性質を理解して,分類することができる.
14週 Trial 13 鉄鋼の分類
炭素鋼と合金鋼の違いを理解するとともに,JISによる鋼種分類を理解する.
炭素鋼および合金鋼の性質を理解して,分類することができる.
15週 期末試験
第9週~第14回までの学習理解度について期末試験により評価する.
16週 総括

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野材料鉄鋼の製法を説明できる。3後4
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。3後3,後14
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。3
焼きなましの目的と操作を説明できる。3後4
焼きならしの目的と操作を説明できる。3
焼入れの目的と操作を説明できる。3
焼戻しの目的と操作を説明できる。3

評価割合

中間試験期末試験小テスト・レポート課題合計
総合評価割合404020100
基礎的能力0000
専門的能力404020100
分野横断的能力0000