到達目標
材料学の最終的な到達目標は機械の設計において的確な材料に適切な熱処理を行って使用できるようになることである。3年次の材料学では機械電気工学分野の基礎となる基本的素養を身につけるため、
1. 機械材料に関する基礎的な知識が理解できる。
2. 鉄鋼材料に関する熱処理が理解できる。
3. 種々の鉄鋼材料の化学組成や利用法が理解できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
機械材料の基礎的知識 | 機械材料に関する基礎的な知識を理解している | 金属学的なマクロな特徴については理解している | 機械材料の基礎項目を理解していない |
鉄鋼材料の熱処理 | 代表的な熱処理について,プロセスや原理などを理解している | 代表的な熱処理について,そのプロセスを理解している | 鉄鋼材料の熱処理を理解していない |
鉄鋼材料の化学組成や利用法 | 代表的な鉄鋼材料について化学組成や利用法について理解している | 代表的な鉄鋼材料の機械部品への適応について理解している | 鉄鋼材料について化学組成や利用法について理解していない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
機械や構造物の開発や設計・製作に携わる技術者には、目的とする機械部品に適した材料を選定し、設計の意図を満足する方法を選んで適切な加工することが可能な知識が必要である。そこで、材料学では材料の性質、とりわけ強度などの機械的性質の本質を理解し、必要に応じてその材料に適した加工や熱処理などの処置が行えるようになることを目的に、材料の基礎的事項および、材料の変形、加工、熱処理など、主として機械的性質にかかわる処理法とその意味を学習する。
授業の進め方・方法:
前期は機械材料の基礎的性質、後期は鉄鋼材料について学習する。授業の進め方はおおむね教科書に沿って講義形式で進めるが、教科書だけでは説明不足の箇所に関しては適宜プリントを配布して説明する。また、各時間ごとに学習シートを配布し、授業で学んだ内容の確認を行う。
注意点:
最終成績=(前期中間+前期末+後期中間+後期末)/4×0.8+課題評価(20点満点)
新型コロナウイルス感染症の影響により、評価方法を以下のように変更した。
最終成績=各授業における課題の平均(70%)+中間・期末試験(30%)
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
オリエンテーション 構造材料としての金属材料
|
オリエンテーションを行った後、金属材料の性質と材料に求められる力学的性質について学習する。
|
2週 |
結晶構造とミラー指数 |
原子が規則的に配列する結晶について学び、結晶格子における面と方向の表し方を知る。
|
3週 |
純金属の結晶構造 |
純金属における代表的な三つの結晶構造(体心立方構造、面心立方構造、最密六方構造)について学習する。
|
4週 |
格子欠陥 |
金属の機械的性質に大きな影響を及ぼす格子欠陥の種類と特徴について学習する。
|
5週 |
強化機構 |
材料の塑性変形に大きな影響を及ぼす転位の定義を学び、転位の運動を理解する。
|
6週 |
相律および平衡状態図 (1) |
相律および全率固溶体型平衡状態図について学び、全率固溶体型合金の特徴を理解する。
|
7週 |
平衡状態図 (2) -共晶、共析型平衡状態図- |
共晶、共析型平衡状態図について学び、共晶、共析型合金の特徴を理解する。
|
8週 |
中間試験 |
前期中間までに学習した基本的な事項について出題。
|
2ndQ |
9週 |
平衡状態図 (3) -包晶、包析型平衡状態図- |
包晶、包析型平衡状態図について学び、共晶、共析型合金の特徴を理解する。
|
10週 |
Fe-C 系平衡状態図 |
鉄鋼材料の熱処理に必要不可欠なFe-C 系平衡状態図について学習する。
|
11週 |
炭素鋼の標準組織 |
それぞれの炭素濃度で観察される標準組織と、その生成過程について理解する。
|
12週 |
鉄鋼精錬 |
鉄鉱石から鋼材がどのように製造されるか基礎的なことを学習する。
|
13週 |
環境と鉄 |
鉄のリサイクル体制および鉄スクラップの問題点について学習する。
|
14週 |
鉄鋼材料について(ビデオ視聴) 【レポート作成】 |
鉄鋼材料に関するビデオを見て、炭素濃度の違いによる鉄鋼材料の性質変化に対する理解を深める。
|
15週 |
期末試験 |
前期末までに学習した基本的な事項について出題。
|
16週 |
解答返却など |
前期末試験の答案を返却し解説を行う。
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
炭素鋼の基本的な熱処理工程 |
炭素鋼の基本的な熱処理工程について学び、ミクロ組織と冷却速度の関係を理解する。
|
2週 |
焼入れおよび焼もどし |
鋼のマルテンサイト変態を理解した後、焼入れおよび焼もどしの目的および方法について学習する。
|
3週 |
焼なましおよび焼ならし |
鋼の焼なましおよび焼ならしの目的および方法について学習する。
|
4週 |
合金鋼および熱処理 |
鋼に及ぼす合金元素の影響を理解し、合金鋼に対する熱処理方法を学習する。
|
5週 |
高張力鋼 |
一般構造用鋼の性質および用途について理解した後、高張力鋼について学ぶ。
|
6週 |
構造用合金鋼 (1) |
機械構造用鋼の種類、性質およびそれらを実際に使用する場合の選択方法について学習する。
|
7週 |
工具鋼 |
炭素工具鋼および合金工具鋼の種類、性質および用途について学習する。
|
8週 |
高速度鋼、超硬合金 |
高速度鋼、超硬合金の種類、性質および用途について学習する。
|
4thQ |
9週 |
中間試験 |
後期中間までに学習した基本的な事項について出題。
|
10週 |
ステンレス鋼 (1) |
鋼の腐食および耐食性について理解し、ステンレス鋼の基礎を学習する。
|
11週 |
ステンレス鋼 (2) |
フェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼の性質および用途について学習する。
|
12週 |
ステンレス鋼 (3) |
オーステナイト系の性質および用途を理解し、ステンレス鋼の使用上の留意点を学習する。
|
13週 |
鋳鉄の組織と状態図 |
鋳鉄の基本的な性質および用途をミクロ組織と関連づけて理解する。
|
14週 |
実用鋳鉄とその性質 |
ネズミ鋳鉄、可鍛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄の性質と用途について学習する。
|
15週 |
期末試験 |
後期末までに学習した基本的な事項について出題。
|
16週 |
解答返却など |
学年末試験の答案を返却し解説を行う。
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 材料 | 機械材料に求められる性質を説明できる。 | 4 | |
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。 | 4 | |
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。 | 4 | |
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。 | 4 | |
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。 | 4 | |
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。 | 4 | |
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。 | 4 | |
金属と合金の結晶構造を説明できる。 | 4 | |
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。 | 4 | |
合金の状態図の見方を説明できる。 | 4 | |
塑性変形の起り方を説明できる。 | 4 | |
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。 | 4 | |
鉄鋼の製法を説明できる。 | 4 | |
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。 | 4 | |
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。 | 4 | |
焼きなましの目的と操作を説明できる。 | 4 | |
焼きならしの目的と操作を説明できる。 | 4 | |
焼入れの目的と操作を説明できる。 | 4 | |
焼戻しの目的と操作を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 各授業における課題 | 中間・期末試験 | | | | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門基礎 | 70 | 30 | 0 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |