物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物理Ⅱ
科目番号 0066 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『物理基礎・物理』(数研出版)、『セミナー物理基礎+物理』(第一学習社)
担当教員 中村 康晴

到達目標

本講義では以下の3点を身につけることを到達目標とする
(1) 静電気力や電位について理解し、公式を使って問題を解くことができる
(2) コンデンサーなどを含む電気回路に関して公式を使って問題を解くことができる
(3) 電場と磁場についての知識を有し、誘導電流などの計算をすることができる。
(4) 交流電流と直流電流の違いを理解し、交流電流におけるインピーダンス、電流、電圧を計算することができる
(5)「粒子と波動の二重性」について理解し、いくつかの実験について説明できる
(6)原子核物理に関する知識をつけ、核反応によるエネルギーの計算などができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
静電気力電場や電位、静電気力について理解し、それによって引き起こされる現象について説明および計算ができる電場や電位、静電気力について理解し、それによって引き起こされる現象について計算ができる電場や電位、静電気力について理解が不十分で現象について説明および計算ができない
回路コンデンサーと抵抗の性質を理解し、複雑な問題に対して指示された物理量を計算することができるコンデンサーと抵抗の性質を理解し、簡単な問題に対して指示された物理量を計算することができるコンデンサーと抵抗の性質の理解が不住bぬんであり、指示された物理量の計算ができない
磁場磁場と電場の性質を理解し、各種の物理量を複雑な条件下でも導出できる磁場と電場の性質を理解し、各種の物理量を簡単な条件下で計算できる磁場と電場の性質を理解が不十分であり物理量の計算ができない
交流電流交流と直流の違いを理解し、基本原理から物理量を計算することができる交流と直流の違いを理解し、公式を使って問題を解くことができる交流と直流の物理的な違いについて説明ができない
前期量子論光や電子の持つ隠れた性質について知識をつけ、歴史的な実験について説明及び計算ができる。光や電子の持つ隠れた性質について知識をつけ、歴史的な実験について説明できる。光や電子の持つ隠れた性質について理解できず実験の説明ができない。
原子核原子核や放射線について知識を有し、現象についての説明及び物理量の計算ができる原子核や放射線について知識を有し、現象についての説明ができる原子核や放射線について知識がなく、説明および計算ができない

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目では電磁気学と前期量子論に関する基本的な理論を学ぶ。電磁気学では身の回りの様々な現象や身近にある電子機器に使用されている基本的な物理法則について講義を行う。また前期量子論では極小の世界に目を向け、物質が持つ我々の理解とは異なる性質についての説明を行う。加えて様々な点で注目を集めている原子力エネルギーなどの原子核に関する範囲も取り扱う。
授業の進め方・方法:
基本的に教科書を使用した座学を行う。授業内では現象についての実例を説明し、できる限りの範囲で演示実験を行う。「問題を解けるようになる」ことよりも「現象を理解する」ことに着目し授業を進行する。
注意点:
物理学は「公式を理解する」ことが少なからず求められます。そのため、事前に教科書に目を通し授業後にはノートを中心に事後の学習を心がけること。また、前期は中間試験が行われないため、講義ノートの提出を20点(最終評価への加算は10点)、全4回の課題プリントを20点(最終評価への加算は10点)、期末試験の成績を60点(最終評価への加算は30点)とし、後期は毎回の講義の課題を20点(最終評価への加算は10点)、中間及び期末試験の成績を80点(最終評価への加算は40点)として成績をつける

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 物理Ⅱで学ぶ内容についての確認を行う
【実験】箔検電器
2週 静電気力 電子が持つ性質について学び、帯電した物体同士に働く力について理解する。
3週 電場 「電場」の概念について学び、点電荷の作る電場について理解する。また複数の点電荷がある場合の電場の計算ができる。
4週 電気力線とガウスの法則 「電気力線」と「ガウスの法則」について学び、点電荷以外の帯電体が作る電場について計算することができる
5週 電磁気における仕事と位置エネルギー エネルギーと仕事の観点から電位と電位差について理解する
6週 点電荷による電位と電位差 点電荷の周りにできる電位について学び、複数の点電荷がある空間の電位について理解する。
7週 物質と電場 導体および絶縁体内部の電場と電位について学ぶ。またそれを通して「静電遮蔽」、「誘電分極」、「静電誘導」の意味を理解する。
8週 これまでの学習の復習と演習 1~7週の授業内容についての理解の確認
2ndQ
9週 コンデンサーの基本的性質 コンデンサーの基本的な性質について理解する。
10週 コンデンサーの直列と並列 複数のコンデンサーが回路内に存在する場合の計算ができるようになる。
11週 電流とオームの法則 電荷と電流について数式を使って理解ができるようになる。
またオームの法則の意味を理解する。
12週 ジュール熱と電力 物質と抵抗率について学び、その上で回路内で発生する熱について理解する。また、日常生活でも目にする電力や電気量について知識をつける。
13週 抵抗の直列と並列、キルヒホッフの法則 複数の抵抗がある場合の回路について、合成抵抗や電流などの法則について理解する。また、キルヒホッフの法則について学び、複雑な回路に関して計算ができるようになる
14週 コンデンサーを含む直流回路 コンデンサーと抵抗を含む回路の計算ができるようになる
15週 期末試験 試験を行うことにより1~14週の授業内容についての理解シているかを確認する。
16週 答案返却など 答案の返却と解説
後期
3rdQ
1週 電流が作る磁場 「磁場」という概念について学び、静電気力と磁力の関係について知識をつける。また、電流がつくる磁場を計算することができるようになる
2週 電流が磁場から受ける力 電流が磁場から受ける力を計算することができる
3週 電磁誘導と誘導起電力 ファラデーの電磁誘導の法則に従い、誘導起電力に関する計算ができる
4週 自己誘導と相互誘導 電気回路内におけるコイルの役割である自己誘導および相互誘導について理解する
5週 交流の発生 交流の発生について電磁誘導に基づいて理解する。
抵抗、コイル、コンデンサーに流れる交流をそれぞれ計算できるようになる
6週 交流回路 電子機器が直列または並列しているときの交流回路においてインピーダンスなどの物理量を計算することができる。
7週 変圧器と電磁波 変圧器の原理を学び、交流の有用性を理解する。
電磁波についての知識をつける
8週 電子の発見と電気素量の測定 電子の発見の歴史について理解できる
4thQ
9週 中間試験 1~7週の授業内容についての理解の確認
10週 光の粒子性 光電効果の実験により得られた結果を光量子仮説により理解する。「仕事関数」や「阻止電圧」の計算ができる
11週 X線と物質波 X線の性質(ブラッグ反射、コンプトン効果)を通してX線が粒子としての性質を持つことを理解する。
また、それとは逆に電子などの粒子も波としての声質を持つことを理解する。
12週 ラザフォードの原子模型とボーアの量子条件 ボーアの量子条件によりエネルギーが連続的ではなく離散的になることが導出できる。また、それが実験によって示されていることを知る。
13週 原子核崩壊 放射線の種類(α、β、γ線、中性子線)について学び、原子核の崩壊の種類について理解する。
半減期やベクレルの計算ができるようになる。
また、上記を踏まえて放射線について正しい知識をつける
14週 核反応と核エネルギー 「核反応」、「核分裂」、「核融合」について核反応式を書くことができる。また、それぞれについて発生するエネルギーを計算することができる
15週 期末試験 8~14週の授業内容についての理解の確認
16週 答案返却など 答案の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
電場・電位について説明できる。3
クーロンの法則が説明できる。3
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3
安全を確保して、実験を行うことができる。3
実験報告書を決められた形式で作成できる。3
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。3
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。3
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。3
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。3
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。3
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3
静電エネルギーを説明できる。3
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。3
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
自己誘導と相互誘導を説明できる。3
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。3
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前10
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4

評価割合

試験演習・レポート講義ノート合計
総合評価割合702010100
基礎的能力50101070
専門的能力205025
分野横断的能力0505