概要:
一般に計測とは、センサを用いて計測対象の状態を表す物理量を電気信号に変換して計算機に取り込み、人間や機械が計測対象の状態を把握できるデータに変換することである。本講義では、この一連の処理に用いられる各種センサの原理、センサ出力を計測するためのアナログ回路と計算機に取り込むためのA/D変換器、およびD/A変換器などに関して、具体例を示しながら学習する。
授業の進め方・方法:
座学による講義を主体とし、適宜、レポートや学習シートにより理解度を確認する。
注意点:
授業の進み具合によって計画が多少前後する。関連科目は、基礎電気回路(1年)、電気回路(2年)、アナログ回路(3年)、ディジタル回路(3年)、電子工学実験(3年)等である。
成績評価式=0.9×(前期中間試験+前期末試験+後期中間試験+後期末試験)÷4+演習レポート(10点)
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
計測の基礎(1) |
計測方法とその特徴について説明できる。
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2週 |
計測の基礎(2) |
測定した値の評価方法、計測器の確度および単位系について説明できる。
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3週 |
直流・交流回路の性質 |
直流・交流回路で、直並列回路を含む回路解析ができる。
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4週 |
直流電源の性質 |
内部抵抗を含む直流電源の性質について説明できる。
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5週 |
電気計測(直流計測)(1) |
直流計測の基本は、電磁石と永久磁石との間に働く力を表示することである。可動コイル形電流計や分流器等の計測器について説明できる。
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6週 |
電気計測(直流計測)(2) |
直流計測の基本は、電磁石と永久磁石との間に働く力を表示することである。分圧器、電圧降下法、直流ブリッジ回路等の計測器について説明できる。
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7週 |
演習 |
直流計測に関する演習問題の説明・計算ができる。
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8週 |
前期中間試験 |
指定した範囲で、理解度が確認できる。
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2ndQ |
9週 |
交流回路・交流電源の性質 |
交流回路におけるキルヒホッフの定理、重ねの定理、テブナンの定理、交流ブリッジについて説明でき、計算できる。
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10週 |
電気計測(交流計測)(1) |
交流用指示計器は、極性にかかわらず同じ方向に指針が振れるよう工夫されている。整流回路、可動鉄片形電流計等の計測器について説明できる。
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11週 |
電気計測(交流計測)(2) |
交流用指示計器は、極性にかかわらず同じ方向に指針が振れるよう工夫されている。交流電力、積算電力計、交流ブリッジ等の計測器について説明できる。
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12週 |
結合回路(1) |
相互誘導について説明し、相互誘導回路の計算ができる。
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13週 |
結合回路(2) |
理想変成器について説明できる。
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14週 |
演習 |
交流計測、相互誘導、理想変成器に関する演習問題の説明・計算ができる。
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15週 |
前期末試験 |
指定した範囲で、理解度が確認できる。
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16週 |
答案返却など オペアンプの基本回路(1) |
答案の返却と解説から、再確認と修正ができる。 反転増幅回路、非反転増幅回路について説明できる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
オペアンプの基本回路(2) |
バッファアンプ、差動増幅回路、2電源と単電源での使用方法、振幅の最大値、オフセットとドリフト等について説明できる。
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2週 |
演習 |
OPアンプに関する演習問題の説明・計算ができる。
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3週 |
センサによる物理量の計測(1) |
電気・磁気センサ等について説明でき、回路の計算ができる。
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4週 |
センサによる物理量の計測(2) |
光センサ、圧力センサ等について説明でき、回路の計算ができる。
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5週 |
演習 |
演習問題を解くことで、理解度が確認できる。
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6週 |
信号のフーリエ級数展開 |
任意の波形がフーリエ級数で表現できることを説明できる。
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7週 |
信号の解析と合成 |
矩形波には、基本波や高調波が含まれること、又、基本波と高調波を合成すると種々の信号が得られることを説明できる。
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8週 |
後期中間試験 |
指定した範囲で、理解度が確認できる。
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4thQ |
9週 |
信号のディジタル化(1) |
信号の表現、標本化定理について説明できる。
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10週 |
信号のディジタル化(2) |
エイリアシング、量子化について説明できる。
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11週 |
A/D変換 |
サンプル&ホールド、二重積分型A/D変換器について説明ができる。更に、逐次比較型と並列比較型A/D変換器について説明できる。
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12週 |
演習 |
演習問題を解くことで、理解度が確認できる。
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13週 |
D/A変換 |
重み付き加算、電流加算D/A変換器について説明ができる。更に、テブナンの定理について説明でき、はしご型D/A変換器が説明できる。
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14週 |
演習 |
演習問題を解くことで、理解度が確認できる。
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15週 |
後期末試験 |
指定した範囲で、理解度が確認できる。
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16週 |
答案返却など |
期末試験の解答と解説から、再確認と修正ができる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 分数式の加減乗除の計算ができる。 | 3 | 前2 |
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。 | 3 | 前2 |
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。 | 3 | 前2 |
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。 | 3 | 前9 |
角を弧度法で表現することができる。 | 3 | 前3 |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | 前3 |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 3 | 前3 |
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。 | 3 | 前3 |
一般角の三角関数の値を求めることができる。 | 3 | 前3 |
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。 | 3 | 前11 |
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。 | 3 | 前11 |
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。 | 3 | 前11 |
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。 | 3 | 前11 |
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。 | 3 | 後6 |
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。 | 3 | 前2 |
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。 | 3 | 前3 |
自然科学 | 物理 | 波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | 前3,前9 |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 3 | 後6 |
波の独立性について説明できる。 | 3 | 後6 |
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 3 | 後7 |
電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | 前3 |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | 前3 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 4 | 前3,前6 |
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。 | 4 | 前12 |
理想変成器を説明できる。 | 4 | 前13 |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 4 | 前11 |
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。 | 4 | 前3,前9 |
網目電流法を用いて回路の計算ができる。 | 4 | 前3,前9 |
節点電位法を用いて回路の計算ができる。 | 4 | 前3,前9 |
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。 | 4 | 前3,前9 |
計測 | 計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。 | 4 | 前1 |
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。 | 4 | 前1 |
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。 | 4 | 前2 |
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。 | 4 | 前2 |
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。 | 4 | 前5,前10 |
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。 | 4 | 前6,前10 |
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。 | 4 | 後11 |
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。 | 4 | 前6 |
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。 | 4 | 前11 |
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。 | 4 | 前10,前11 |
電力量の測定原理を説明できる。 | 4 | 前10,前11 |
情報系分野 | その他の学習内容 | 情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。 | 4 | 後9,後10 |