アナログ回路

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 アナログ回路
科目番号 0045 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報電子工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 阿部克也「本質を学ぶためのアナログ電子回路」(共立出版), 田丸ら「ポイントマスター 電子回路トレーニングノート」(コロナ社), 参考図書: 藤井信生「アナログ電子回路-集積回路化時代の-第2版」(オーム社)
担当教員 増井 詠一郎

到達目標

エレクトロニクスの中枢を成すアナログ電子回路の基礎的な素養を身につけるため, 以下の到達目標を掲げる.
(1) 線形素子と非線形素子 (能動素子) の違いを理解し, 適当な近似を用いて計算をおこなえる.
(2) トランジスタを用いた基本増幅回路について理解し, 種々の等価回路の導出とそれに基づく解析・設計ができる.
(3) オペアンプを用いた帰還増幅回路について理解し, 種々の演算回路について理解し, 解析・設計ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
達成目標1 線形素子と非線形素子の違いが理解でき, その特性を線形近似に基づいて計算できる. 線形素子と非線形素子の違いが理解でき, その特性の線形近似が理解できる. 線形素子と非線形素子の違いが理解できない.
達成目標2トランジスタを用いた基本増幅回路を理解でき, hパラメータを用いた等価回路を用いて特性解析・設計ができる. トラントランジスタを用いた基本増幅回路を理解でき, hパラメータを用いた等価回路の概念を理解できる. トラントランジスタを用いた基本増幅回路を理解できない.
達成目標3オペアンプを用いた帰還増幅回路について理解でき, 加算や微分といった演算回路の特性解析・設計ができる. オペアンプを用いた帰還増幅回路について理解でき, 加算や微分といった演算回路の動作を理解できる. オペアンプを用いた帰還増幅回路について理解できない.

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
ダイオードやトランジスタといった非線形特性を持つ電子素子を用いたアナログ電子回路の動作原理を理解する. また, それに基づき種々の増幅回路の基本動作を理解し, 小信号等価回路やhパラメータといった基礎的な電子回路解析技術を習得することを目的とする. 特に, 等価回路といった概念に親しむことにより, 工学者に必要となるモデリングの概念の素地を養う.
授業の進め方・方法:
座学の講義が主体であるが, 自宅でトレーニングノートによる復習をしていることを前提として講義を進める. 適宜小テストを実施し, 理解度を確認する.
注意点:
最終成績={(前期中間試験+前期期末試験+後期中間試験+後期期末試験)/4}×0.6 +小テスト(30)+その他(取り組み)(10)

定期試験と小テスト及び, 授業への取り組みにより評価する.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気回路の基礎事項の復習 (直流)
電気回路の基礎を理解し, キルヒホッフ則に基づいて計算ができる.
2週 電気回路の基礎事項の復習 (交流)
RLC回路のインピーダンスや周波数特性を計算できる.
3週 半導体の性質
半導体の性質とp型, n型半導体について説明できる.
4週 pn接合ダイオード
pn接合ダイオードの基本原理について説明できる.
5週 ダイオードの整流作用・スイッチング作用
ダイオードの整流作用とスイッチング作用について説明できる.
6週 トランジスタの動作原理 (BJT)
バイポーラトランジスタについて動作原理を理解し説明できる.
7週 トランジスタの動作原理 (FET)
電界効果トランジスタについて動作原理を理解し説明できる.
8週 中間試験 ダイオード及び2種のトランジスタの動作原理, 基本的な電気回路のの計算について演習課題, トレーニングノートから類題を出題する.
2ndQ
9週 ダイオードの交流特性
pn接合ダイオードの小信号等価回路を理解し回路を計算できる.
10週 BJTの交流特性と等価回路
バイポーラトランジスタの交流特性を理解し説明できる.
11週 hパラメータと小信号等価回路
トランジスタのhパラメータを用いた表現と小信号等価回路を習得する.
12週 BJTの基本増幅回路
エミッタ接地回路について動作を理解し説明できる.
13週 入出力インピーダンスと整合
増幅回路の入出力インピーダンスの概念について理解し説明できる.
14週 バイアスの設定
バイアスの考え方と計算方法について習得する.
15週 前期末試験 等価回路, 基本増幅回路について, 演習課題, トレーニングノートから類題を出題する.
16週 答案返却など 答案の返却と解説をおこなう.
後期
3rdQ
1週 BJT回路の周波数特性
バイポーラトランジスタの周波数特性について理解し説明できる.
2週 エミッタ接地回路の高周波数特性の解析
エミッタ接地回路の高周波特性について理解し説明できる.
3週 エミッタ接地回路の低周波数特性の解析
エミッタ接地回路の低周波特性について理解し説明できる.
4週 FETの基本増幅回路
ソース接地回路について動作を理解し説明できる.
5週 FETの周波数特性 電界効果トランジスタの周波数特性について理解し説明できる.
6週 差動増幅回路
差動増幅回路について動作を理解し説明できる.
7週 カレントミラー回路
カレントミラー回路について動作を理解し説明できる.
8週 中間試験 バイポーラトランジスタ, 電界効果トランジスタの周波数特性, 差動増幅回路について, 演習課題, トレーニングノートから類題を出題する.
4thQ
9週 オペアンプの動作原理
オペアンプの動作原理について理解し説明できる.
10週 オペアンプを用いた増幅回路
オペアンプを用いた反転増幅回路や非反転増幅回路について理解し計算できる.
11週 オペアンプを用いた演算回路
オペアンプを用いた加減算回路や微積分回路について理解し計算できる.
12週 帰還増幅回路
負帰還の概念について理解し説明できる.
13週 発振回路 正帰還と発振回路の基礎について理解し説明できる.
14週 変調・復調回路
振幅変調, 周波数変調の原理について理解し説明できる.
15週 期末試験 オペアンプ, 発振回路, 変調復調回路について, 演習課題, トレーニングノートから類題を出題する.
16週 答案返却など 後期末試験の解答・解説を行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前1
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前1
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前1
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前14
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4後9
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4後9
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4後9
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4後9
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4前1
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4前14
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後9
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前4
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4前13
FETの特徴と等価回路を説明できる。4後6
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。4前14
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4前11
演算増幅器の特性を説明できる。4後11
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。4後12
発振回路の特性、動作原理を説明できる。4後7
変調・復調回路の特性、動作原理を説明できる。4後13
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前2
原子の構造を説明できる。4前2
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4前2
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前3
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前3
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4前6
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後4
情報系分野その他の学習内容オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。4前1
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。4前5

評価割合

試験小テストその他(取り組み)合計
総合評価割合603010100
基礎的能力1001020
専門的能力4030070
分野横断的能力100010