情報通信工学

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 情報通信工学
科目番号 0104 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 田坂修二著 「情報ネットワークの基礎 [第2版]」 数理工学社
担当教員 原田 徳彦

到達目標

1. 信号をベクトルに見立て、その特徴をフーリエ変換によって表せることを理解する。
2. 変調による多値化・多重化の方法を学ぶとともに、伝送速度に応じて必要な信号強度・帯域について理解する。
3. 誤り制御、フロー制御、順序制御の仕組みを理解する。
4. LANのアクセス方式とインターネットの交換方式を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
信号の概念信号の概念が身についており,大きさや形状を分析的に考察することができる。信号の概念が身についてのおり,大きさや形状を比較できる。信号の概念が身についていない。
変調の概念伝送速度に応じて必要な信号強度・帯域を説明できる。変調による多値化・多重化の方法を理解している。変調の概念が身についていない。
伝送制御誤り制御、フロー制御、順序制御の仕組みを説明できる。誤り制御、フロー制御、順序制御の仕組みを理解している。誤り制御、フロー制御、順序制御の仕組みを理解していない。
ネットワーク制御LANのアクセス方式とインターネットの交換方式を説明できる。LANのアクセス方式とインターネットの交換方式を理解している。LANのアクセス方式とインターネットの交換方式を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

到達目標 C 1 説明 閉じる
JABEE d-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
情報を遠くへ瞬時に伝える通信システムの仕組みを理解する。電気、電波、光波を伝える媒体とその特性、アナログメッセージとディジタルメッセージの相互変換、変調による信号多値化・多重化、LAN の多元接続、データの伝送制御、誤り検出に用いる冗長符号、ネットワークを構成する交換機の働き、インターネットを構成するためのプロトコルについて議論する。
授業の進め方・方法:
通信システムを構成する要素技術の理解に重点をおく。数学・物理との関連、技術の発展過程、方式間の対照性を広い視野から理解できるようにする。
注意点:
授業内容を理解するために、予習復習を必ず行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 情報ネットワーク 情報ネットワークの構成要素とその機能を規定する。次に、情報ネットワークを構築する上の課題を提示し、本講義の学習対象を明確にする。
2週 情報ネットワーク 情報ネットワークの分類を行い、複数の評価尺度をもとに特徴を説明する。
3週 伝送路と物理層 信号の大きさとして、信号エネルギー、信号パワーについて定義する。信号間の相関について定義し、相関係数を求める。
4週 伝送路と物理層 信号をベクトルに見立て、信号の直交系の信号による近似を行う。
5週 伝送路と物理層 フーリエ級数からフーリエ変換を導き、その物理的意味について議論する。また、フーリエ変換の様々な性質について説明する。
6週 ネットワークアーキテクチャ 通信プロトコルの基礎概念について説明する。伝送方向、送達確認、誤り制御、フロー制御について説明する。
7週 ネットワークアーキテクチャ 順序制御、ピギィバックACK、コネクション制御、分割・組み立ておよび連結・分離、交換方式、ルーティング、MACプロトコル、アドレス方式、マルチキャストについて説明する。
8週 ネットワークアーキテクチャ 階層化の考え方について説明し、OSIとインターネットプロトコル・スイートを紹介する。
2ndQ
9週 中間試験 1週から8週までの授業で学習した範囲で試験を行う。
10週 変調方式 パスバンドの振幅変調として、DSB変調とAM変調について説明する。
11週 変調方式 パスバンドの角度変調として、周波数変調と位相変調について説明する。
12週 パルス符号変調方式 標本化定理をもとに、アナログメッセージとディジタルメッセージの相互変換について説明する。パルス符号変調(PCM)について説明する。
13週 伝送符号方式 ベースバンドのパルス信号として、伝送路符号の特徴について説明する。
14週 誤り制御符号 誤り訂正・検出の原理について述べ、サイクリック・チェック方式、CRC符号化回路について説明する。
15週 期末試験 10週から14週までの授業で学習した範囲で試験を行う。
16週 答案返却など 答案の返却と解説を行う。
後期
3rdQ
1週 MACプロトコル MACプロトコルの基礎概念について述べ、固定割当方式とランダムアクセス方式の性能を比較する。純アロハ、スロット付アロハについて説明する。
2週 MACプロトコル 要求割り当て方式、適応方式、IEEE802.3 LAN について説明する。
3週 MACプロトコル IEEE802.11 無線LAN、Bluetoothを例に、DSSSおよびFHSSについて説明する。
4週 データリンク層プロトコル 基本形データ伝送制御手順とHDLCの規格と特徴、HDLCフレーム構成について説明する。
5週 データリンク層プロトコル HDLC手順要素、HDLC手順クラス、HDLCフレーム送信例、PPPについて説明する。
6週 データ交換とネットワーク層 回線交換、パケット交換を例に、交換方式の種類と特徴について特徴を述べる。
7週 データ交換とネットワーク層 パケット交換におけるコネクション制御、ATM交換について説明する。
8週 中間試験 1週から7週までの授業で学習した範囲で試験を行う。
4thQ
9週 データ交換とネットワーク層 距離ベクトルルーティング、リンク状態ルーティング、ブロードキャスト、マルチキャストについて説明する。
10週 TCP/IP IPの特徴とIPデータグラムフォーマットについて説明する。
11週 TCP/IP IPルーチングについて説明する。TCPの特徴とTCPセグメントフォーマットについて説明する。
12週 TCP/IP TCPによるコネクション制御、フロー制御について説明する。
13週 TCP/IP ウィンドウフロー制御、フレーム送信例
14週 TCP/IP DNSについて説明する。
15週 期末試験 9週から14週までの授業で学習した範囲で試験を行う。
16週 答案返却など 答案の返却と解説を行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報通信ネットワークプロトコルの概念を説明できる。2前6,前7,前8
プロトコルの階層化の概念や利点を説明できる。2前6,前7,前8
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。3後1,後2,後3
インターネットの概念を説明できる。3後6,後7
TCP/IPの4階層について、各層の役割を説明でき、各層に関係する具体的かつ標準的な規約や技術を説明できる。3後10,後11,後12,後13,後14
無線通信の仕組みと規格について説明できる。3前10,前11,後3
有線通信の仕組みと規格について説明できる。3前10,前11,前13,後2
基本的なルーティング技術について説明できる。3後9
その他の学習内容基本的なアクセス制御技術について説明できる。3後1,後2,後3
メディア情報の主要な表現形式や処理技法について説明できる。3前1,前2,前12
ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。3前1,前2,前12
情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。3前1,前2,前12

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000