概要:
物理学は、身の回りの自然現象を解明するための基礎的な学問である。特に、力学はその最も基礎となるものである。1、2、3年で学んだ物理基礎、物理I、II の学習を基礎として、ニュートン力学を中心に、微積分を応用した物理学の方法について講義する。また、力学の他に、現代物理の基礎となる波動及び前期量子論、量子力学の基礎的な内容についても講義する。
授業の進め方・方法:
授業は基本的には教科書を中心として座学で行う。講義内容にはこれまでに勉強してきた数学や物理の知識を含むが授業内での復習は最小限に抑える。
通年の講義の中で学習内容についての演習を7回行う。この演習に関してレポート課題を出し、授業内では順番により決められた学生が黒板で問題を解き、その他の学生に対して説明をしてもらう。
この科目は学習単位であるので予習復習を自学・自修の内容として課する。
・予習と復習(毎回の授業に関してそれぞれ30分程度、計30時間)
注意点:
この科目ではこれまでに学んだ数学及び物理の知識が必要となる。その全てを授業で復習はできないので各自で自分に足りない部分を補うこと。
最終成績は全4回の定期試験の点数を60点分、演習およびレポートの点を40点分として計算する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、運動の表し方 |
・本科目で学ぶことの確認 ・速度や加速度などの基本事項の理解
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2週 |
運動方程式(1) |
速度・位置に依存しない力がある場合について運動方程式を立て、物理量を計算できる
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3週 |
運動方程式(2) |
速度・位置に依存する力がある場合について運動方程式を立て、物理量を計算できる
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4週 |
仕事と保存力 |
仕事と力学的エネルギーについて理解し、エネルギーの計算をすることができる
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5週 |
力学的エネルギーの保存 |
・運動方程式からエネルギーを導出できるようになる ・保存力と非保存力について学び力学的エネルギー保存則を理解できる。
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6週 |
作用・反作用の法則、運動量保存則 |
運動量を力積から計算できるようになり、運動量保存則を理解できる
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7週 |
力のモーメントと角運動量保存則 |
角運動量の概念を理解し、角運動量保存則が導出できる。
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8週 |
各種保存則と力学体系 |
これまで学んできた保存則を通して力学の体系を理解することができる
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2ndQ |
9週 |
ここまでの学習の復習と演習 |
ここまで学んだことについて問題を解いて理解することができるか確認する
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10週 |
重心の計算 |
物体の重心を求めることができる
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11週 |
2体系の運動方程式 |
実験質系と重心系について理解し、2体系に対して運動方程式を建てることができる
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12週 |
2体系の運動(1) |
相対運動する相互作用している系について計算を行うことができる
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13週 |
2体系の運動(2) |
2体系におけるエネルギーと角運動量について計算することができる
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14週 |
ここまでの学習の復習と演習 |
ここまで学んだことについて問題を解いて理解することができるか確認する
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15週 |
期末試験 |
9~14回の講義内容の理解度を確認する
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16週 |
答案返却など |
試験についての解説、まとめ
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後期 |
3rdQ |
1週 |
多体系と剛体 |
多体系における問題および剛体の特性について理解できる
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2週 |
慣性モーメントの計算 |
慣性モーメントについて理解し、様々な剛体について重心を通る回転軸に関する慣性モーメントを計算することができる。
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3週 |
平行軸の定理と直交軸の定理 |
重心を通らない回転軸に関する慣性モーメントを求めることができる
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4週 |
剛体の運動(1) |
固定された回転や滑りのない剛体の運動を解析することができる
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5週 |
剛体の運動(2) |
滑りを含む剛体の運動を解析することができる
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6週 |
剛体を含む二体系の運動 |
剛体の衝突などについて理解し、計算することができる
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7週 |
ここまでの学習の復習と演習 |
ここまで学んだことについて問題を解いて理解することができるか確認する
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8週 |
振動の解析 |
強制振動および共振現象の計算ができる
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4thQ |
9週 |
中間試験 |
1~7回の講義内容の理解度を確認する
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10週 |
波動(1) |
・波動方程式について理解する ・波の運動を計算することができる
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11週 |
波動(2) |
波の様々な性質について説明することができる
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12週 |
前期量子論 |
いくつかの量子現象について説明することができる
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13週 |
シュレーディンガー方程式 |
定常状態のシュレディンガー方程式と波動関数を導出できる
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14週 |
トンネル効果 |
確立解釈を理解し、トンネル効果を説明できる
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15週 |
期末試験 |
8~14回の講義内容の理解度を確認する
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16週 |
答案返却など |
試験についての解説、まとめ
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 3 | |
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。 | 3 | |
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。 | 3 | |
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。 | 3 | |
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 3 | |
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。 | 3 | |
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | |
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | |
物体に作用する力を図示することができる。 | 3 | |
力の合成と分解をすることができる。 | 3 | |
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。 | 3 | |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 3 | |
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。 | 3 | |
慣性の法則について説明できる。 | 3 | |
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 3 | |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 3 | |
運動の法則について説明できる。 | 3 | |
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。 | 3 | |
最大摩擦力に関する計算ができる。 | 3 | |
動摩擦力に関する計算ができる。 | 3 | |
仕事と仕事率に関する計算ができる。 | 3 | |
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | |
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。 | 3 | |
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。 | 3 | |
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 3 | |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | |
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる. | 3 | |
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
力のモーメントを求めることができる。 | 3 | |
角運動量を求めることができる。 | 3 | |
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。 | 3 | |
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。 | 3 | |
重心に関する計算ができる。 | 3 | |
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。 | 3 | |
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。 | 3 | |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | |
横波と縦波の違いについて説明できる。 | 3 | |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 3 | |
波の独立性について説明できる。 | 3 | |
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。 | 3 | |
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。 | 3 | |
ホイヘンスの原理について説明できる。 | 3 | |
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。 | 3 | |