水理学基礎

科目基礎情報

学校 徳山工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 水理学基礎
科目番号 0050 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 土木建築工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 神田佳一他 「PEL 水理学」 実教出版
担当教員 渡辺 勝利

到達目標

静水力学では、物体に作用する全圧力、作用点、浮力、浮体の安定が計算できる。動水力学では、ベルヌーイの定理、連続の式、運動量保存則を管路等に適用し計算することができる。
①静水力学について理解する。②ベルヌーイの定理について理解する。③運動量方程式について理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 静水力学静水力学について十分理解できる。静水力学について理解できる。静水力学について理解できない。
評価項目2 動水力学ベルヌーイの定理について十分理解できる。ベルヌーイの定理について理解できる。ベルヌーイの定理について理解できない。
評価項目3運動量方程式について十分理解できる.運動量方程式について理解できる.運動量方程式について理解できない。

学科の到達目標項目との関係

到達目標 A 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
静水力学では、次元、次元式について学習した後、圧力の3性質、全圧力、圧力の作用点、浮力、浮体の安定を学習する。動水力学では、完全流体として、エネルギー保存則(ベルヌーイの定理)、質量保存則(連続の式)、運動量保存則(運動量保存則)を基礎式の導出、問題演習を通して学習する。
授業の進め方・方法:
毎回の講義には、学習シートを用いて、その講義の目的(内容)を最初に示し、内容の理解度チェック項目をさまざま準備することで、理解度チェックを学生、教官双方向から可能とする。
注意点:
関連科目  水理学(4年)、河海工学(5年)、水理科学(専攻科1年)、応用水理学(専攻科2年)
成績評価:4回の試験の平均点×0.8+レポート課題評価点(20点)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 水理学基礎のガイダンスを行う。 水理学、流体力学では何を学ぶのか。また、学んで、どのような現象が理解できる。
2週 次元、次元式、単位系を学習する。 物理量を次元式で表すことを学習する。LMT,LFT系の相違、絶対単位、工学単位について理解できる。
3週 流体の物理的諸性質を学習する。 流体の密度、単位重量、圧縮性、粘性について理解できる。
4週 圧力体験を学習する。 プリントを用いて、圧力体験について学習する。理解できる。
5週 静水圧を学ぶ。 静水圧の強さ、静水圧の性質、絶対圧、ゲージ圧の相違について理解できる。
6週 鉛直な平面に作用する静水圧 鉛直な平板に作用する全静水圧、圧力の作用点を理解できる。
7週 液柱計(マノメーター) いろいろな液柱計の圧力の計算を理解できる。
8週 静水力学の総復習 第1~7週までの総復習、演習問題を行う。
2ndQ
9週 中間試験 次元式、圧力の性質、鉛直な平板に作用する力、液柱計の圧力を問う。
10週 解答と傾斜した平板に作用する静水圧 傾斜した平板に作用する全静水圧、作用点について理解できる。
11週 曲面に作用する静水圧 曲面に作用する全静水圧、作用点について理解できる。
12週 傾斜した平板、曲面に作用する静水圧の計算演習 傾斜平板、曲面に働く静水圧について演習により理解できる。
13週 浮力、アルキメデスの原理 浮力の導出、アルキメデスの原理について学習する。
14週 浮体の安定計算の導出と演習 浮体の安定計算の基礎式の導出、演習について理解できる。
15週 期末試験 傾斜した平板、局面に作用する全静水圧、作用点、浮力、浮体の安定について試験を行う。
16週 答案返却など 試験の解説をする。
浮体の安定計算を演習により理解できる。
後期
3rdQ
1週 浮体の安定計算の演習その2 浮体の安定計算を演習により理解できる。
2週 相対的静止の問題 流体静力学の基礎式と等圧面について理解できる。
3週 相対的静止の問題の演習 加速度の加わる流体の水面形を演習により理解できる。
4週 完全流体の流れの基礎 完全流体の分類、流線、流跡線、流脈線について理解できる。
5週 水の流れ(質量保存則)を学習する。 流体の時空間の運動の取り扱いについて学習する。その中でも、質量保存則である「連続の式」を理解できる。
6週 オイラーの運動方程式を導出する。 完全流体の運動方程式であるオイラーの運動方程式を導出できる。
7週 ベルヌーイの定理(エネルギー保存則)を学習する。 オイラーの運動方程式を積分して、ベルヌーイの定理を導出する。また、その演習ができる。
8週 中間試験 相対的静止、完全流体の流れ、質量保存則、エネルギー保存則(ベルヌーイの定理)について試験を行う。
4thQ
9週 貯水槽から排出する管の圧力分布ピトー管等 試験の解説をする。ベルヌーイの定理、連続の式よりいろいろな流れについて流速、圧力等を計算できる。
10週 ベンチュリ管、演習 連続の式、ベルヌーイの定理について、演習ができる。
11週 運動量保存則 流体の運動量保存則を導出できる。
12週 運動量保存則の演習1 平板に作用する力を計算できる。
13週 運動量保存則の演習2 局面に作用する力を計算する。オリフィス板に作用する力を計算できる。
14週 運動量保存則の演習3 運動量保存則の総復習ができる。(ベルヌーイ、連続の式も同時に用いる。)
15週 期末試験 運動量保存則について、ベルヌーイ定理、連続の式も用いて理解度を確認する試験を行う。
16週 答案返却など 試験の解答と解説を行う。1年間の学習について質問時間を設ける。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。2
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。2
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。2
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。1
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。1
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。1
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。2
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。2
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。2
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力のモーメントを求めることができる。2
角運動量を求めることができる。2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。2
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。1
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。1
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。1
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。1
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。1
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理水理学で用いる単位系を説明できる。4
静水圧の表現、強さ、作用する方向について、説明できる。4
平面と曲面に作用する全水圧の大きさと作用点を計算できる。4
浮力と浮体の安定を計算できる。4
完全流体の運動方程式(Eulerの運動方程式)を説明できる。4
連続の式を説明できる。3
ベルヌーイの定理を説明でき、これを応用(ベンチュリーメータなど)した 計算ができる。3
運動量保存則を説明でき、これを応用した計算ができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力200000020
専門的能力6000020080
分野横断的能力0000000