概要:
土木構造物の主要材料である鉄筋コンクリート部材の材料的・力学的特性を理解し、本科で学んだ基礎的知識を応用した実践的な設計・製作技術を学修する。また、自分たちで設計・製作したRC部材の載荷実験を計画・実施することで、構造部材としての性能を適切に評価し、技術者としての見解を適切な資料やプレゼンによって他人に伝える術を学ぶ。併せて、コンクリートの養生期間中などに現場見学(工種は問わない)や工場見学を実施し、建設現場における改善すべき課題を見出すとともに、その解決策に関する技術提案書を作成することで、土木工事における総合評価落札方式のしくみを理解する。
授業の進め方・方法:
本授業は、①RCばりの設計・製作・曲げ載荷実験および②建設現場における技術提案演習の2項目から構成される。①については、複数人のグループで協力して取り組むことにより、要求される耐荷性能および破壊形態を満足するRCばりの設計・製作および曲げ載荷実験を実施する。実験後には自分たちが設計・製作したRCばりについて、構造部材としての保有性能や破壊形態を適切に評価・分析し、自分たちの技術者としての見解を適切な表現方法によって分かりやすく伝える。ここでは、RCばりの設計資料、CAD図面、実験結果のデータシートおよびプレゼン資料を教員に提出する。②については、①で製作する供試体の養生期間(4週程度)に工種を問わない現場見学または工場見学を実施する。現場の状況や企業・官公庁の担当者からの説明およびディスカッションを通じて対象とする現場で改善すべき課題を見出し、各自で技術提案書を作成する。技術提案書は担当教員の他、協力頂いた担当者にも評価・コメントして頂くことがある。なお、本授業には30時間程度の時間外学習を想定しており、上記①②を遂行する上で必要となる専門知識の復習・調査・データ整理・資料作成などに充てること。
注意点:
実験や現場見学の際には安全に関する指導教員の指示に従うこと。本科時代に学んだ専門科目および卒業/応用研究で修得した情報技術を活かし、メンバー全員で協力して効率的に進めること。
本授業内容の一部は天候や外部機関とのスケジュール調整に左右される特性があるため、授業計画に変更が生じた場合には柔軟に調整しながら実施する。
成績評価:設計・製作資料(30%)、プレゼン(30%)、技術提案書(20%)、取り組み姿勢&チームワーク(20%)とする。
取り組み姿勢については、主に積極性・主体性・チームワークの観点から担当教員が総合的に評価する。
評価基準:60点以上を合格とする。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス 授業内容目的と進め方の説明、全体計画の確認・調整 |
授業の目的・進め方・全体計画や調整方法等を理解できる。
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2週 |
RCばりの設計① 設計条件の提示と復習 |
RCばりを設計する上で、目標とする耐荷性能や破壊形態(曲げ破壊)に関連する設計条件を理解できる。
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3週 |
RCばりの設計② 供試体寸法と断面計算 |
使用する載荷試験機のスペックを理解した上で供試体の断面寸法を決定し、設計計算に必要な断面諸量を計算できる。
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4週 |
RCばりの設計③ コンクリートの配合設計、型枠・配筋図、 |
要求される性能を満足するコンクリートの配合設計ができる。 型枠図面、配筋図、使用材料一覧表を作成できる。
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5週 |
RCばりの製作④ 型枠の製作・配筋 |
型枠を製作し、図面に基づいて配筋できる。
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6週 |
RCばりの製作⑤ コンクリートの打設・養生 |
コンクリートの打設と養生を行うことで、品質管理の方法を理解できる。
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7週 |
技術提案① 総合評価落札方式の流れと技術提案について学ぶ |
公共土木工事における総合評価落札方式の流れと技術提案の意味を理解できる。
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8週 |
技術提案② 現場見学(安全教育、工事の説明、技術提案課題の提示) |
安全管理・品質管理の観点から実際の建設現場を見学し、その重要性と技術提案課題を理解できる。
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4thQ |
9週 |
技術提案③ 技術提案内容の検討と調査、提案書の作成 |
安全管理・品質管理などの観点から技術提案書を作成できる。
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10週 |
技術提案④ 技術提案内容の検討と調査、提案書の作成 |
安全管理・品質管理などの観点から技術提案書を作成できる。
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11週 |
技術提案プレゼンテーション
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個人の技術提案書に基づくプレゼンができる。
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12週 |
RCばりの曲げ載荷実験(準備・計画) |
RCばりの曲げ載荷実験で必要な物品やデータシートを理解し、段取りできる。
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13週 |
RCばりの曲げ載荷実験(実施) 実験結果の整理 |
RCばりの曲げ載荷実験を実施し、その結果を理解できる。 実験データを適切に整理できる。
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14週 |
RCばりの曲げ載荷実験 実験結果の評価・分析 |
要求された性能と実験結果から得た耐荷力・破壊形態を比較し、RCばりの性能を評価・分析できる。
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15週 |
実験結果に関するプレゼンテーション・ディスカッション |
RCばりの設計・製作・実験・評価に関するプレゼンとディスカッションができる。
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16週 |
まとめ |
成果物(設計・製作資料、プレゼン資料、技術提案書)の提出と指摘事項を修正できる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 5 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 4 | |
技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 4 | |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。 | 4 | |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。 | 4 | |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 4 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 4 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 4 | |
情報リテラシー | 情報リテラシー | 情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。 | 4 | |
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 4 | |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 4 | |