工業力学

科目基礎情報

学校 阿南工業高等専門学校 開講年度 平成27年度 (2015年度)
授業科目 工業力学
科目番号 0024 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科(平成25年度以前入学生) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 工業力学(森北出版)/工業力学(コロナ社)
担当教員 川畑 成之

到達目標

1.合力・分力、および力や偶力のモーメント求め、一点もしくは異なる点に作用する力のつり合い条件を計算できる。
2.物体の重心位置を求め、等速・等加速度運動、運動の法則、滑り摩擦、回転運動を理解し、物体の運動を解析できる。
3.仕事とエネルギー保存則の意味を理解し、動力および位置・運動エネルギーを計算できる。
4.運動量と衝突現象を理解し、運動量保存則を利用して向心衝突、斜め衝突、偏心衝突の運動を解析できる。
5.剛体の慣性モーメントを求め、回転運動を運動方程式で表し、滑車やてこ、斜面を用いる場合の運動を解析できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複数の、或いは複雑な物体から成る力学系について、正しく力の図示ができ、つり合い条件を計算できる。単一もしくは少数の物体から成る力学系に対し生じている力を図示し、つり合い条件を計算できる。単純な力学系に対して力の図示ができず、つり合い条件を求めることができない。
評価項目2複数の運動状態が複合している力学系に対し、正しい力学法則を適用して物体の運動を解析できる。比較的単純な運動状態にある力学系に対し、力学法則を適用して物体の運動を解析できる。単純な運動をしている力学系に対して状況に応じた力学法則を適用して運動を解析できない。
評価項目3複雑な力学系に対して正しいエネルギー保存則を適用し運動を解析できるとともに動力計算ができる。力学的エネルギー保存則を適用して単純な運動の解析ができるとともに動力計算ができる。エネルギー保存則を用いて代表的例題を解析することができない。
評価項目4運動量と衝突現象の原理を理解し、偏心衝突を含む複雑な衝突運動を正しく解析できる。運動量と衝突現象を理解し、標準的な2物体程度の向心・斜め衝突運動を解析できる。運動量保存則を適用して、例題レベルの物体衝突運動を解析できない。
評価項目5複雑な形状の物体の慣性モーメントを求めることができ、複雑な機構の運動を解析できる。標準的な形状の物体の慣性モーメントを求めることができ、各種機構の運動解析に適用できる。単純な形状の物体の慣性モーメントを求めることができず、各種機構の運動解析ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
工学の基礎の一つである力学は機械工学科引き続き学ぶ多くの応用力学への入門としての重要な基礎科目であるので、十分な理解が求められる。本講義では静力学と動力学における機械系の基礎的事項を理解し、工業的応用の初等的解法を修得する。また、継続して応用力学の知識を学習する習慣を身に付けることを目的とする。
授業の進め方・方法:
注意点:
3年生までの数学、および物理で学んだ内容を前提として活用するので、これらの内容をしっかり復習しておくこと。また、授業各回の課題の実施を含む自学自習が不可欠である。基本の概念はすでに修得しているものが大半であるが、実践的な工学問題への適用方法は多様であり、各自で繰り返し練習し、習熟することが肝要である。そのために演習問題等をできるだけ自力で多く解くことを求める。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 静力学の基礎 力をベクトルで表現し、合力・分力・モーメントを求めることができる。
2週 剛体に働く力 力のつり合い条件を理解し、応用としてトラス機構に作用する力を求めることができる。
3週 重心 物体の重心を求め、安定性を判別することができる。
4週 点の運動 速度・加速度を理解し、物体の平面運動を解析できる。
5週 運動と力 運動の3法則を理解し、慣性力を考慮した運動解析ができる。
回転運度に関する法則を理解し、向心力・遠心力を求めることができる。
6週 運動と力 運動の3法則を理解し、慣性力を考慮した運動解析ができる。
回転運度に関する法則を理解し、向心力・遠心力を求めることができる。
7週 剛体の運動Ⅰ 剛体の慣性モーメントを求めることができる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 剛体の運動Ⅱ 慣性モーメントを考慮して剛体の平面運動を解析できる。
剛体の回転運動を理解し、比較的複雑な力学系の運動を解析できる。
10週 剛体の運動Ⅱ 慣性モーメントを考慮して剛体の平面運動を解析できる。
剛体の回転運動を理解し、比較的複雑な力学系の運動を解析できる。
11週 運動量と力積 運動量保存則と角運動量保存則を理解し、力積を計算できる。
12週 衝突 向心衝突・斜め衝突・偏心衝突現象を理解し、各運動を解析できる。
13週 仕事とエネルギー 仕事とエネルギー保存則の関係を用いて物体の運動を解析し、動力の意味を理解して必要な動力を求めることができる。
14週 摩擦 静摩擦・動摩擦の滑り摩擦および、ころがり摩擦を理解し、摩擦を考慮した物体の運動の解析ができる。
15週 振動・機構の力学 基礎的な振動現象の解析ができる。
てこ・滑車・くさびを用いた各種機構の力学を理解し、各機構を含む系の運動を解析できる。
16週 答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4前1
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4前1
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4前1
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4前1
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4前1,前2
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4前1,前2
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4前3
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4前4
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4前4
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4前5
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4前5,前6
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4前5
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4前6
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4前6
仕事の意味を理解し、計算できる。4前13
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4前15
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。3前13
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。3前13
動力の意味を理解し、計算できる。3前13
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。4前14
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4前11
物体が衝突するさいに生じる現象を説明できる。4前12
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。3前9,前10
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。3前7
振動の種類および調和振動を説明できる。2前15
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。2前15

評価割合

定期試験小テストレポート・課題発表その他合計
総合評価割合7003000100
基礎的能力10000010
専門的能力600300090
分野横断的能力000000