材料力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 材料力学Ⅰ
科目番号 200103 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:臺丸谷政志・他「基礎から学ぶ材料力学」(森北出版)
担当教員 前田 祐作

到達目標

1.引張や圧縮を受ける部材の応力とひずみ,伸びを計算できる。
2.ねじりを受ける部材について,せん断応力とせん断ひずみを計算できる。
3.分布荷重や集中荷重を受ける部材について,自由体図を用いて断面力を計算できる。
4.断面2次モーメントと断面係数を計算し,曲げ応力を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
引張・圧縮使用用途に適した安全率から許容応力を計算し,引張りや圧縮を受ける部材の設計に利用できる。断面形状が一様でない部材や両端固定棒,組み合わせ棒が,引張や圧縮を受ける際の,応力やひずみを計算できる。引張りや圧縮を受ける部材における応力やひずみを計算できない。
ねじり動力を伝達する軸の,せん断応力やねじれ角を計算し,軸の設計に利用できる。ねじりを受ける中実軸や中空軸の,ねじれ角やせん断応力を計算できる。ねじりを受ける中実軸のねじれ角やせん断応力を計算できない。
曲げ(断面力)複数の集中荷重や分布荷重などを受ける梁のせん断力線図と曲げモーメント線図を作図できる。単一の集中荷重および等分布荷重を受ける梁のせん断力線図と曲げモーメント線図を作図できる。梁やその自由体における力のつり合い,モーメントのつり合いを説明できない。
曲げ応力I型やT型など,複雑な断面を持つ梁の曲げ応力が計算でき,梁の設計に利用できる。長方形や円などの断面の断面係数と,それら断面を持つ梁の曲げ応力の計算ができる。梁の断面係数を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現在使用されている家電製品や自動車などの機械製品は,いろいろな材料から作られた部品から構成されている。各部品は荷重により壊れたり,想定以上に変形してしまわないよう,【適切な材料の選択】と,【適切な形状の設計】が行われている。この科目では,部品の最適な設計を行う基礎として,“応力”を基本とした部品の負荷と変形を解析する手法を学ぶ。
授業の進め方・方法:
1.配布資料による,要点の解説。
2.グループワークにより関連する課題を実施。
3.小テストにより理解度を確認。
注意点:
小テストの実施や,授業の配布資料,試験範囲の電子掲示は,Office365を利用する。閲覧にはID,パスワードが必要。
https://kosenjp.sharepoint.com/sites/MEofNITKC

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1章 応力とひずみ
1.1 材料力学について
1.2 材料にかかる荷重;荷重の伝達
1.3 材料の変形
1.4 引張応力・圧縮応力とひずみ
1.7 荷重の種類
部材における変形の種類を説明できる。
単純引張における応力とひずみを計算できる。
2週 第1章 応力とひずみ
1.5 せん断変形の場合の応力とひずみ
1.6 断面の位置による応力の変化
せん断変形における応力とひずみを説明できる。
単純引張における任意断面の応力を計算できる。
3週 第2章 応力とひずみの関係
2.1 フックの法則
2.5 ポアソン比
フックの法則を用いて,応力やひずみ,伸びを計算できる。
ポアソン比を用いて,荷重に対して垂直な方向の変形を計算できる。
4週 第2章 応力とひずみの関係
2.2 応力-ひずみ曲線
2.3 応力-ひずみ曲線の形
2.4 使用応力と安全係数
応力-ひずみ曲線における,加工硬化や降伏応力,引張強さを説明できる。
許容応力と安全率を説明でき,部品の設計に利用できる。
5週 第2章 応力とひずみの関係
練習問題
断面が変化する部材に発生する応力を計算できる。
6週 第3章 いろいろな要因による応力の発生
3.1 熱応力
静定問題と,不静定問題の違いを説明できる。
温度変化によって材料に生じる応力とひずみを計算できる。
7週 第3章 いろいろな要因による応力の発生
3.2 自重による応力

自重により生じる応力とひずみを計算できる。
8週 第1章,第2章,第3章
練習問題
棒材の引張に関する各種問題を解くことができる。
2ndQ
9週 前期中間試験
10週 第3章 いろいろな要因による応力の発生
3.3 衝撃荷重によって生じる応力
引張変形が生じている部材に蓄えられている,ひずみエネルギーを計算できる。
11週 第3章 いろいろな要因による応力の発生
3.4 応力集中
3.5 内圧による応力の発生,圧力容器に生じる応力
応力集中を説明できる。
円孔,だ円孔を有する板材に生ずる最大垂直応力を計算できる。
圧力容器に生じる応力を計算できる。
12週 第4章 ねじり
4.1 ねじりによる丸軸の変形
ねじりモーメント(トルク)を説明できる。
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力の関係を説明できる。
丸棒および中空丸棒について,断面二次極モーメントを計算できる。
丸棒および中空丸棒について,極断面係数を計算できる。
極断面係数を用いて,せん断応力を計算できる。
13週 第4章 ねじり
4.1 ねじりによる丸軸の変形
ねじり剛性を説明できる
軸のねじれ角を計算できる。
14週 第4章 ねじり
4.2 動力を伝達する軸の場合
動力とトルクの関係を説明できる。
動力を伝える軸の強度設計ができる。
15週 第3章,第4章
練習問題
各種変形により生じる応力や,丸棒のねじりに関する各種問題を解くことができる。
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 第5章 曲げ
5.1 はり
5.2 はりの種類と支持の方法
梁の定義を説明できる。
任意の梁の支点に対して支点反力を定義し,図示することができる。
任意の分布荷重を集中荷重に読み替えることができる。
2週 第5章 曲げ
5.3 反力の計算
力のつり合いと,モーメントのつり合いから,任意の梁の支点反力を計算できる。
3週 第5章 曲げ
5.4 せん断力と曲げモーメント
梁の一部分に関する自由体図(Free Body Diagram)を作図できる。
自由体図における分布荷重を,集中荷重に読み替えることができ,作図できる。
自由体図の断面に,断面力であるせん断力と曲げモーメントを定義し,図示できる。
4週 第5章 曲げ
5.5 せん断力線図と曲げモーメント線図
梁から自由体図を作図し,力のつり合いからせん断力を計算できる。
各地点におけるせん断力を可視化した,せん断力線図(Shearing Force Diagram)を作図できる。
5週 第5章 曲げ
5.5 せん断力線図と曲げモーメント線図
梁から自由体図を作図し,モーメントのつり合いから曲げモーメントを計算できる。
各地点における曲げモーメントを可視化した,曲げモーメント線図(Bending Moment Diagram)を作図できる。
6週 第5章 曲げ
5.6~8,練習問題
梁の断面力に関する各種問題を解くことができる。
7週 第5章 曲げ
5.6~8,練習問題
複雑な荷重を受ける梁について,せんだん力線図と曲げモーメント線図を作図できる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 第6章 はりに生じる応力とたわみ
6.1 はりの変形
6.4 図心と断面2次モーメントの計算
梁の断面に関する断面1次モーメントを計算できる。
断面の図心の位置を計算できる。
10週 第6章 はりに生じる応力とたわみ
6.4 図心と断面2次モーメントの計算
長方形などの図形を組み合わせた断面の断面1次モーメントおよび図心の位置を計算できる。
11週 第6章 はりに生じる応力とたわみ
6.3 曲げモーメントと応力
6.4 図心と断面2次モーメントの計算
断面二次モーメントを定義式から計算できる。
12週 第6章 はりに生じる応力とたわみ
6.5 断面係数の意味
断面係数を用いて,はりに生じる曲げ応力とその分布を計算できる。
13週 第6章 はりに生じる応力とたわみ
6.6 はりのいろいろな断面形状
並行軸の定理を用いて,単純な図形あるいはその組み合わせによる断面の断面係数を計算することができる。
14週 第6章 はりに生じる応力とたわみ
6.6 はりのいろいろな断面形状
円形断面の断面2次モーメントを計算できる。
断面2次極モーメントおよび断面2次モーメントの違いと関係を説明できる。
15週 第6章 はりに生じる応力とたわみ
練習問題
曲げ応力に関する各種問題を解くことができる。
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4前1,前2,前6,前7,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4前2
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4前1,前2,前6,前7,前11,前12,後2,後3,後4,後5
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4前12,前13,前14,後2,後3,後4,後5
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4前12,前13,前14
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4後2,後3,後4,後5
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4後9,後10
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4前10
動力の意味を理解し、計算できる。4前14
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前10,前11,前12,前13,前14
応力とひずみを説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前10,前11,前12,前13,前14,後12,後14,後15
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4前3
許容応力と安全率を説明できる。4前4
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。4前6
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4前6
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。4前3,前5,前6,前7
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。4前12,前13,前14
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。4前12,前13,前14
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。4前13,前14
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。4後6,後7
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
部材が引張や圧縮を受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4前10
材料引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。2前4

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合8020100
引張・圧縮20525
ねじり20525
曲げ(断面力)20525
曲げ応力20525