熱工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 熱工学Ⅰ
科目番号 200308 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械電子工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 一色尚次,北山直方,「わかりやすい熱力学 第3版」,森北出版,ISBN 978-4-627-60013-3
担当教員 嶋﨑 真一

到達目標

目標1:熱力学の第一法則と第二法則を説明できる。
目標2:熱・仕事・内部エネルギー・エンタルピーやエントロピーなどの熱的諸量を理解し,計算ができる。
目標3:サイクルの意味を理解し,熱機関の効率について説明できる。
目標4:完全ガスの性質について理解し,状態方程式を用いた計算ができる。
目標5:ガスの状態変化にともなう熱的諸量の計算ができる。
目標6:p-V線図およびT-s線図と,熱的諸量の関係を説明できる。
目標7:各種のガスサイクルを理解し,その熱効率などの計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱力学の第一・第二法則熱力学の第一法則と第二法則を具体的な問題に当てはめて説明できる。熱力学の第一法則と第二法則を説明できる。熱力学の第一法則と第二法則を説明できない。
熱的諸量熱・仕事・内部エネルギー・エンタルピーやエントロピーなどの熱的諸量を理解し,計算ができる。熱・仕事・内部エネルギー・エンタルピーやエントロピーなどの熱的諸量を説明できる。熱・仕事・内部エネルギー・エンタルピーやエントロピーなどの熱的諸量を説明できない。
サイクルと効率サイクルの意味を理解し,熱機関の効率を計算することができる。サイクルの意味を理解し,熱機関の効率について説明できる。サイクルの意味と熱機関の効率について説明できない。
完全ガスの状態方程式完全ガスの性質について理解し,状態方程式を用いた計算ができる。完全ガスの性質と状態方程式の説明ができる。完全ガスの性質と状態方程式の説明ができない。
完全ガスの状態変化ガスの状態変化にともなう熱的諸量の計算ができる。ガスの状態変化について説明ができる。ガスの状態変化について説明ができない。
p-V線図とT-s線図p-V線図およびT-s線図と,熱的諸量の関係を説明できる。p-V線図およびT-s線図の説明ができる。p-V線図およびT-s線図と,熱的諸量の関係を説明できない。
各種のガスサイクル各種のガスサイクルを理解し,その熱効率などの計算ができる。各種のガスサイクルを理解し,その熱効率などの説明ができる。各種のガスサイクルとその熱効率などの説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-(2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
・ 熱力学の基本法則(第一法則と第二法則)を理解し,説明できる。
・ 熱,仕事,内部エネルギー,エンタルピーやエントロピーなどの熱的諸量を理解し,基本的な系において計算することができる。
・ 以上を通じて,熱機器を設計・製造・使用する際に必要な能力を養うことを目標とする。
授業の進め方・方法:
教科書の内容に沿って進めていきます。単に式を展開・導出して紹介するのではなく,その式の物理的意味を理解・イメージをできるように,基となる考え方や背景などを交えて解説します。授業中に問題演習を行う時間はあまり多く確保できませんので,自学自習が必要です。
注意点:
5年生で開講される熱工学Ⅱは,本科目の内容を理解していることが前提となりますので,注意してください。本科目の内容の理解が不十分であった場合は,熱工学Ⅱの授業についていくのは極めて困難となります。また,式の導出や展開に微積分の考え方を多用しますので,履修前に復習しておいてください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
熱力学の意義
熱力学で扱う物理量
熱力学の社会的意義を説明できる。
熱力学で扱う物理量を説明できる。
2週 熱力学で扱う物理量
熱と仕事の関係
熱力学で扱う物理量を説明できる。
熱と仕事の関係を説明できる。
3週 エネルギーと内部エネルギー
熱力学の第一法則
物体のする仕事
内部エネルギーと仕事を説明できる。
熱力学の第一法則を説明できる。
4週 エンタルピー
エンタルピーによる熱力学の第一法則の表示
エンタルピーを説明できる。
熱力学の第一法則をエンタルピーを使って表現できる。
5週 熱力学の第二法則
サイクルと熱効率
熱力学の第二法則を説明できる。
サイクルの熱効率・動作係数を説明できる。
6週 可逆サイクルの熱効率
熱力学的温度
可逆サイクルの熱効率を説明できる。
熱力学的温度について説明できる。
7週 クラウジウス積分
エントロピー
クラウジウス積分を説明できる。
エントロピーを説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 完全ガスの従う法則
一般ガス定数
状態方程式,一般ガス定数を説明できる。
10週 ガス運動論による完全ガスの性質
ガスの比熱
温度と内部エネルギーの関係を分子の運動から説明することができる。
定積・定圧比熱を説明できる。
11週 完全ガスの自由膨張とジュール-トムソンの実験
混合ガス
ガスの膨張にともなうエンタルピー変化を説明できる。
混合ガスの物性値を計算できる。
12週 完全ガスの状態変化
ガスのする仕事と熱の出入り
完全ガスの状態変化について,p-v図を用いて説明できる。
絶対仕事と工業仕事を,p-v図と関連付けて説明できる。
13週 状態変化の計算 等圧・等積・等温・断熱変化における熱的諸量の計算ができる。
14週 カルノーサイクルの熱効率
連続仕事を取り出すための各種サイクル
カルノーサイクルの熱効率が計算できる。
オットー・ディーゼルなどの基本的なサイクルについて説明ができる。
15週 完全ガスのエントロピーの変化量
完全ガスのエントロピの一般式
状態変化にともなうエントロピー変化を計算することができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。4
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。4
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。4
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。4
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。4
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。4
気体の内部エネルギーについて説明できる。4
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。4
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。4
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。4
熱機関の熱効率に関する計算ができる。4
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4
熱力学の第一法則を説明できる。4
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4
熱力学の第二法則を説明できる。4
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4
サイクルをT-s線図で表現できる。4

評価割合

試験小テストまたはレポート合計
総合評価割合8020100
熱力学の第一・第二法則12315
熱的諸量12315
サイクルと効率12315
完全ガスの状態方程式8210
完全ガスの状態変化12315
p-V線図とT-s線図12315
各種のガスサイクル12315