半導体工学

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 半導体工学
科目番号 3021 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子システム工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:高橋清 著「森北電気工学シリーズ4 半導体工学 第3版」 森北出版
担当教員 矢木 正和

到達目標

 量子力学や統計力学の基本を理解し,半導体を含む固体の熱や光との相互作用や半導体デバイスの動作などを定性的に説明できるようになることを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
量子力学や統計力学の基本事項量子力学や統計力学の基本を理解し,波動方程式による帯理論の導出の考え方を説明できる。量子力学や統計力学の基本を知っており,エネルギー帯図を用いて絶縁体,半導体,導体を説明できる。量子力学や統計力学の基本を知っておらず,エネルギー帯図を用いて絶縁体,半導体,導体を説明できない。
半導体の種類と電気伝導の基本事項半導体の種類について理解しており,それらの電気伝導について十分説明できる。半導体の種類を知っており,それらの電気伝導の概要を説明できる。半導体の種類を知っておらず,それらの電気伝導の概要を説明できない。
p-n接合,ダイオード,トランジスタの基本事項p-n接合についてよく理解しており,ダイオード,トランジスタの特性について,定性的に説明できる。p-n接合について理解しており,ダイオード,トランジスタの特性について,定性的に概ね理解している。p-n接合について理解しておらず,ダイオード,トランジスタの特性について,定性的に理解できていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 半導体工学は,物質内の電子の振る舞いや光との相互作用を学べる非常に興味深い科目であり,現代の科学技術発展の基盤となっている分野である。この授業では,半導体のみならず固体の様々な物理現象を感覚的に理解し,半導体物性や半導体デバイスの動作を俯瞰できるよう配慮して講義する。
授業の進め方・方法:
 この授業では,半導体のみならず固体の様々な物理現象を感覚的に理解し,半導体物性や半導体デバイスの動作を俯瞰できるよう配慮して講義する。各種モデルやグラフの意味するところを中心に説明し,極微の世界に興味を持てる内容としたい。教科書に沿って板書中心に進める。
注意点:
オフィスアワー:木曜日8限目(他の校務で不在の場合も多いため,授業の時などに来室の日時を相談してください。適宜,対応します。)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
量子力学入門: 粒子と波動
半導体工学を学ぶ上で必要な量子力学の基本事項について知っている 。 D1:1,2
2週 量子力学の起こり,電子の粒子性と波動性 半導体工学を学ぶ上で必要な量子力学の基本事項について知っている 。
3週 シュレディンガー波動方程式,束縛粒子 半導体工学を学ぶ上で必要な量子力学の基本事項について知っている 。
4週 状態密度関数,固体の帯理論,ボーアの水素原子模型 半導体工学を学ぶ上で必要な量子力学の基本事項について知っている 。
5週 結晶のエネルギー帯,導体・半導体・絶縁体のエネルギー帯構造 エネルギー帯図を用いて絶縁体,半導体,導体を説明できる D1:1-3
6週 波動方程式による帯理論の導出: クローニッヒ・ペニーモデル 波動方程式による帯理論の導出の考え方を知っている。
7週 ブロッホの定理,許容帯中の固有関数の数 波動方程式による帯理論の導出の考え方を知っている。
8週 単元素半導体と化合物半導体,実効質量 単元素半導体と化合物半導体を知っている。実効質量を説明できる。
2ndQ
9週 例題,演習問題 結晶のエネルギー帯に関する基本的な問題が解ける。
10週 統計力学の基礎: エネルギー分布則,フェルミ・ディラックの分布関数 半導体工学を学ぶ上で必要な統計力学の基本事項について説明できる。   D1:1-3
11週 半導体の電気伝導機構: 歴史的経緯,電気伝導現象,光導電効果 半導体の電導機構等,キャリアの振る舞いに関する基本事項について説明できる。    D1:1-3
12週 なだれ効果,ツェナ(トンネル)効果,不純物半導体 半導体の電導機構等,キャリアの振る舞いに関する基本事項について説明できる。   D2:1-3
13週 常温の熱エネルギー,化合物半導体の伝導形制御 温度から熱エネルギーを導出できる。化合物半導体の伝導形制御について説明できる。
14週 まとめ,復習
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説
後期
3rdQ
1週 試験の返却と解答
表面効果
表面効果について説明できる。
2週 真性半導体中のキャリア濃度,フェルミ準位 真性半導体中のキャリア濃度やフェルミ準位について説明できる。   D2:1-3
3週 不純物半導体中のキャリア濃度,フェルミ準位 不純物半導体中のキャリア濃度やフェルミ準位について説明できる。   D2:1-3
4週 キャリアの生成・再結合,直接遷移型・間接遷移型 キャリアの生成・再結合や直接遷移型・間接遷移型について説明できる。
5週 再結合の割合,再結合中心と捕獲中心 再結合中心と捕獲中心について説明できる。
6週 半導体の光吸収と発光: 基礎吸収,励起子吸収 半導体による光吸収の概要について知っている。
7週 伝導吸収,バンド間遷移による発光,励起子発光,DA対発光 半導体による発光の概要について知っている。
8週 p-n接合: 熱平衡状態,順バイアス,逆バイアス p-n接合(ダイオード)の基本事項について説明できる。   D2:1-3
4thQ
9週 整流性の定性的説明 ダイオードの整流性について定性的に説明できる。   D2:1-3
10週 逆方向降伏現象,接合容量,トンネルダイオード 逆方向降伏現象,接合容量,トンネルダイオードについて説明できる。   D2:1-3
11週 トランジスタ トランジスタの基本事項について説明できる。   D2:1-3
12週 DVD: 脅威の半導体産業 半導体産業の概要について,俯瞰的に理解している。
13週 DVD: トランジスタの誕生 トランジスタ誕生までの開発の歴史を知っている。
14週 まとめ,復習
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前4
原子の構造を説明できる。4前4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前3
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4前5,前6,前7,前10
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前12
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前5,前12
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3後8,後9

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
専門的能力10000000100
0000000