電子材料工学

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電子材料工学
科目番号 3042 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子システム工学科(2018年度以前入学者) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 澤岡昭著 「電子・光材料 基礎から応用まで」 第2版 森北出版
担当教員 長岡 史郎

到達目標

電気電子情報関連技術を支える種々のデバイスの実現の鍵を握る電気・電子材料、すなわち導電材料、絶縁材料、半導体材料、磁性材料さらには超伝導体や有機高分子材料の基本的な物理的特徴について、これまで学習してきた電磁気学、応用物理、半導体工学における固体物理に関する知識をもとに、その基本的な項目を具体的な物理的イメージを描きながら理解する。そして、これらの材料が実際にどのように応用されているかを理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
原子内の電子配列が説明できる原子内の電子配列を理解し、説明もできる。原子内の電子配列が概ね説明できる原子内の電子配列が説明ができていない。
原子間の結合、原子配列が説明できる。原子間の結合、原子配列を理解し、説明できる。原子間の結合、原子配列を概ね説明できる。原子間の結合、原子配列が説明できない。
金属の導電現象が説明できる。金属の導電現象を理解し、説明ができる。金属の導電現象を概ね説明できる。金属の導電現象が説明できるない。
電体の電気的性質について説明できる。電体の電気的性質について理解し、説明できる。電体の電気的性質について概ね説明できる。電体の電気的性質について説明できない。
半導体材料の種類、特徴、用途について説明できる。半導体材料の種類、特徴、用途について理解し、説明できる。半導体材料の種類、特徴、用途について概ね説明できる。半導体材料の種類、特徴、用途について説明できない。
磁性体の性質について説明できる。磁性体の性質について理解し、説明できる。磁性体の性質について概ね説明できる。磁性体の性質について説明できない。
磁気記録への応用について説明できる。磁気記録への応用について理解し、説明できる。磁気記録への応用について概ね説明できる。磁気記録への応用について説明できない。
超伝導体の基本的性質を説明できる。超伝導体の基本的性質を理解し、説明できる。超伝導体の基本的性質を概ね説明できる。超伝導体の基本的性質を説明できない。
発光のメカニズムが説明できる。 発光のメカニズムを理解し、説明できる。発光のメカニズムを概ね説明できる。発光のメカニズムが説明できない。
光に関する簡単な計算ができる。光に関する簡単な計算ができ説明できる。光に関する簡単な計算が概ねできる。光に関する簡単な計算ができない。
材料評価方法について説明できる。 材料評価方法を理解し、説明できる。 材料評価方法について概ね説明できる。 材料評価方法について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この科目は,企業で電子材料工学を研究していた教員が,その経験を活かし,導電体,絶縁体,磁性材料ならびに超伝導体及び有機高分子材料について、これまで学んできた固体物理学に関する知識をもとに講義を進める。
これらの材料が有する物理的特徴をふまえ,それらの応用について述べる。さらに,それらの特徴を生かすため現実的なデバイスでどのように利用されているかを講義する。
授業の進め方・方法:
教科書を基に,例題を取り上げながら講義する。講義で学んだことは,さらに演習・レポートにより復習し習熟度を高める。
注意点:
常に原点にもどり、粘り強く、学習すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
電気・電子材料の物性
この授業で学習する内容を理解する。
2週 電気・電子材料の物性 電気・電子材料の物性とはなにか説明できる。
D1:1,2
3週 原子構造 ボーア模型
水素原子
ボーア模型を説明できる。
4週 原子内の電子配列
イオン結合
原子内の電子配列を説明できる。
結合力であるイオン結合を説明できる。 D1:1,2, D3:1,2
5週 共有結合
ファンデル・ワールス力
共有結合、ファンデル・ワールス力を説明できる。
6週 水素結合 金属結合
結晶 結晶の種類と結晶構造
水素結合、金属結合を説明できる。
7週 結晶の種類と結晶構造
回折、反射 ミラー指数
結晶の種類と結晶構造を説明できる。
8週 回折、反射 ミラー指数 回折、ミラー指数を説明できる。
2ndQ
9週 回折、反射 ミラー指数 回折、ミラー指数が計算できる。
10週 答案返却、問題解説
逆格子
11週 逆格子
熱力学と統計力学
逆格子を説明できる。
12週 統計の種類とその分布関数 統計の種類を説明できる。
分布関数を使った計算ができる。
13週 帯理論 金属内の自由電子 帯理論を説明できる。
金属内の自由電子を説明できる。
14週 帯理論 
帯構造からみた導体、絶縁体および半導体
帯理論によるバンドの形成を説明できる。
15週 帯構造からみた導体、絶縁体および半導体 絶縁体、導体、半導体の違いを説明できる。
16週 答案返却、問題解説、出欠及び前期総合成績確認
後期
3rdQ
1週 帯構造からみた導体、絶縁体および半導体 絶縁体、導体、半導体の違いを説明できる。D2:1,2 D3:1,2
2週 導電・抵抗材料 金属中の電気伝導 導電・抵抗材料とはなにか説明できる。
金属の電気伝導を説明できる。
抵抗値の計算ができる。D2:1,2 D3:1,2
3週 金属の化学組成と電気伝導
金属接触面における電気伝導
金属接触面における電気伝導について説明できる。D2:1,2
4週 導電抵抗材料 演習 導電抵抗材料に関する計算ができる。
D2:1,2 D3:1,2
5週 金属導電材料の特性 金属導電材料の特性について説明できる。
D2:1,2
6週 超伝導材料 超伝導現象 超伝導状態と磁界 超伝導体の反磁性  超伝導現象と材料、超伝同状態における磁気特性について説明できる。D2:1,2
7週 超伝導材料 セラミック系超伝導材料 ジョセフソン効果 セラミック系超伝導材料について説明できる。
ジョセフソン効果について説明できる。
D2:1,2 D3:1,2
8週 答案返却、問題解説、出欠確認
4thQ
9週 磁性材料:各種磁性 各磁性について説明できる。D2:1,2
10週 磁性材料:磁区と磁化 磁区と磁壁、磁気的エネルギー、磁区構造、磁化について説明できる。 D2:1,2
11週 磁性材料:磁性材料特性 磁気記録への応用について説明できる。
D2:1,2 D3:1,2
12週 オプトエレクトロニクス(OE)材料
OE材料の基礎及び発光デバイス材料
発光受光デバイス用材料について説明できる。
D2:1,2 D3:1,2
13週 発光デバイス、光ファイバ、光ディスク材料 発光デバイス、光ファイバ、光ディスクについて説明できる。D2:1,2 D3:1,2
14週 半導体における熱電効果
熱抵抗効果、電圧抵抗効果、磁気抵抗効果
一般的な材料分析、電気特性の評価兵法について説明できる。D2:1,2 D3:1,2
15週 答案返却、問題解説、出欠及び総合成績確認 光学的特性評価、機械的特性評価について説明できる。D2:1,2 D3:1,2
16週 答案返却、問題解説、出欠及び総合成績確認

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前2
原子の構造を説明できる。4前3,前14
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前3,前14
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4前11,前13,前14
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4前2,前11,前13,前15,後1
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前4,前13,前15,後1
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前2,前4,前13,前15,後1
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4後12,後13
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4後12,後13
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後12,後13

評価割合

試験発表レポートノート合計
総合評価割合70101010100
基礎的能力60551080
専門的能力1055020