内燃機関工学

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 内燃機関工学
科目番号 202112 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学専攻(機械工学コース)(2023年度以前入学者) 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 小島 隆史

到達目標

1. 自動車用動力源としてよく用いられている火花点火機関と圧縮着火機関について,その基本的な構造と現象を理解し,説明できる。
2. 内燃機関サイクルの実用的な数値解析を通して内燃機関の構造と現象についての理解を深め,性能に及ぼす種々の因子について説明することができる。
3. 数値計算で得られた結果を正確に分析し,論理的に考察することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1自動車用動力源としてよく用いられている火花点火機関と圧縮着火機関について,その基本的な構造と現象を事例等を挙げながら分かりやすく説明できる。自動車用動力源としてよく用いられている火花点火機関と圧縮着火機関について,その基本的な構造と現象を資料等を参照しながら正しく説明できる。自動車用動力源としてよく用いられている火花点火機関と圧縮着火機関について,その基本的な構造と現象を資料等を参照しても正しく説明できない。
到達目標2内燃機関サイクルの実用的な数値解析を通して,性能に及ぼす種々の因子について計算結果を参照しながら論理的に説明することができる。内燃機関サイクルの実用的な数値解析を通して,性能に及ぼす種々の因子について計算結果を参照しながら正しく説明することができる。内燃機関サイクルの実用的な数値解析において,正しい計算結果を出力することができない。
到達目標3数値計算で得られた結果を多面的に分析し,論理的に考察することができる。数値計算で得られた結果を正しく分析し,論理的に考察することができる。数値計算で得られた結果を正しく分析できない,もしくは論理的に考察することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
自動車用動力源としてよく用いられている火花点火機関と圧縮着火機関について,その基本的な構造と現象について数値シミュレーションにより理解を深めながら学ぶ。
授業の進め方・方法:
エンジンサイクルシミュレーションの内容を5ステップに分けて課題を実施する。
各ステップにおいて必要な知識と関連する現象を講義した後,プログラムの作成と実行結果の分析を行い,課題レポートとしての提出を求める。
この科目は学修単位科目のため,自学自習時間に相当する課題を提示する。
注意点:
・シミュレーションプログラムの作成と計算結果の分析・考察については課題レポートにより到達度を評価し,内燃機関に関する基本的な知識については定期試験に代わる課題レポートにより評価する。
・学期を通じて課題レポートを70%,定期試験に代わる課題レポートを30%として評価する。
※自主学習については課題レポートの提出により確認する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,内燃機関工学概説,熱力学の基本法則,熱機関のサイクルと熱効率,熱機関の分類,内燃機関の歴史,内燃機関の理想サイクル 熱機関と内燃機関の分類と特徴を説明できる。
ガソリン機関とディーゼル機関の違いを説明できる。
内燃機関の歴史を説明できる。
2週 Step1 圧縮・膨張過程(非燃焼,断熱)のシミュレーション
ピストン・クランク機構,基礎式の導出,常微分方程式の数値解法
ピストン・クランク機構の関係式を導出できる。
体積変化に関する微分方程式を導出できる。
ルンゲ・クッタ法を説明できる。
圧縮・膨張過程(非燃焼・断熱)のシミュレーションプログラムを作成し始める。
3週 基礎式の導出
比熱,理想気体の状態方程式
シリンダ内圧力と温度に関する基礎式(微分方程式)を導出できる。
計算条件を決定し,圧縮・膨張過程(非燃焼・断熱)のシミュレーションプログラムを実行できる。
4週 計算結果の分析と考察 計算条件を決定し,圧縮・膨張過程(非燃焼・断熱)のシミュレーションプログラムを誤りなく実行できる。
圧縮・膨張過程(非燃焼・断熱)のシミュレーション結果を正しく評価し,論理的に考察できる。
5週 Step2 圧縮・膨張過程(非燃焼,熱損失あり)のシミュレーション
理論サイクルと実際のサイクルの違い
シリンダ内圧力と温度に関する基礎式(微分方程式)を導出できる。
燃焼室からの熱損失の計算方法を理解し,圧縮・膨張過程(非燃焼・熱損失あり)のシミュレーションプログラムを作成し始める。
6週 内燃機関用燃料(ガソリン,軽油)
炭化水素,オクタン価,セタン価
ガソリン機関とディーゼル機関に求められる燃料の特性とオクタン価,セタン価を説明できる。
計算条件を決定し,圧縮・膨張過程(非燃焼・熱損失あり)のシミュレーションプログラムを実行できる。
7週 燃焼の基礎
燃焼形態,総括反応式,理論空気量,混合気濃度の表示法,発熱量
燃焼の基礎的な事項を説明できる。
炭化水素燃料の総括反応式から理論酸素量と理論空気量を計算できる。
燃料・空気混合気の当量比および空気過剰率を求めることができる。
圧縮・膨張過程(非燃焼・熱損失あり)のシミュレーション結果を正しく評価し,論理的に考察できる。
8週 中間試験に代わる課題レポート
2ndQ
9週 Step3 圧縮・燃焼・膨張過程のシミュレーション
ガソリンエンジンの燃焼
混合気形成,燃焼室内流れの制御,燃焼分類,ノック現象,異常燃焼
ガソリンエンジンの混合気形成と燃焼形態について説明できる。
ガソリンエンジンのノック現象について説明できる。
ノックの概略周波数を計算できる。
ガソリンエンジンの異常燃焼について説明できる。
熱発生率をモデル化し,圧縮・燃焼・膨張過程のシミュレーションプログラムを作成し始める。
10週 ディーゼルエンジンの燃焼
燃料噴射ポンプ,コモンレールシステム,燃焼経過,ディーゼルノック
ディーゼルエンジンの混合気形成と燃焼形態について説明できる。
コモンレールシステムについて説明できる。
ディーゼルノックの発生プロセスと防止策を説明できる。
計算条件を決定し,圧縮・燃焼・膨張過程のシミュレーションプログラムを実行できる。
11週 吸排気
ガス交換,動弁機構,容積効率,充填効率,動的ガス交換
4サイクル火花点火機関の吸排気の特徴を説明できる。
4サイクル機関における容積効率(体積効率)および充填効率を計算できる。
吸気の脈動効果を得られる吸気管長さを計算できる。
圧縮・燃焼・膨張過程のシミュレーション結果を正しく評価し,論理的に考察できる。
12週 Step4 ガス交換過程および圧縮・燃焼・膨張過程のシミュレーション 吸排気過程のモデルを組込み,ガス交換過程および圧縮・燃焼・膨張過程のシミュレーションプログラムを実行できる。
13週 内燃機関の性能
動力計,軸トルク,軸出力,平均有効圧,燃料消費率,熱効率,性能曲線
内燃機関の性能試験結果から,軸トルク,軸出力,平均有効圧,燃料消費率,空気過剰率,体積効率,熱効率を求めることができる。
ガス交換過程および圧縮・燃焼・膨張過程のシミュレーション結果を正しく評価し,論理的に考察できる。
14週 Step5 サイクルの収束(サイクルシミュレーションの完成) シミュレーションプログラムのサイクルを収束させ,図示出力,図示平均有効圧,図示熱効率を求めることができる。
15週 サイクルの収束と性能の算出 シミュレーション結果を正しく評価し,論理的に考察できる。
16週 期末試験に代わる課題レポート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

課題レポート試験に代わる課題レポート合計
総合評価割合7030100
到達目標103030
到達目標240040
到達目標330030