制御工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 制御工学Ⅰ
科目番号 201119 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 教科書:西村正太郎編,制御工学,森北出版(ISBN: 978-4-627-70600-6),およびプリント
担当教員 山崎 容次郎

到達目標

1.フィードバック制御と計測の概要,ラプラス変換の役割と伝達関数,ブロック線図について説明できる。
2.制御系のステップ応答特性が説明でき,ラウス・フルビッツの安定判別法を用いた制御系の安定性が説明できる。
3.制御系のベクトル軌跡,ボード線図や周波数特性,ナイキストの安定判別法が説明できる。
4.制御系の定常特性や各種特性の評価ができ,ゲイン調整法などを用いた簡単な制御系設計について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1フィードバック制御と計測の概要。伝達関数が説明でき,ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いた計算ができ,ブロック線図で制御系を表現でせる。フィードバック制御と計測の概要,ラプラス変換の役割と伝達関数,ブロック線図について説明できる。フィードバック制御と計測の概要,ラプラス変換の役割,伝達関数,ブロック線図が説明できない。
評価項目2制御系のステップ応答特性が説明でき,ラウス・フルビッツの安定判別法を用いて制御系の安定性が判別できる。制御系のステップ応答特性が説明でき,ラウス・フルビッツの安定判別法を用いた制御系の安定性が説明できる。制御系のステップ応答特性や,ラウス・フルビッツの安定判別法を用いた制御系の安定性が説明できない。
評価項目3制御系のベクトル軌跡,ボード線図や周波数特性が説明でき,ナイキストの安定判別法により安定性が判断できる。制御系のベクトル軌跡,ボード線図や周波数特性,ナイキストの安定判別法が説明できる。制御系のベクトル軌跡,ボード線図や周波数特性,ナイキストの安定判別法が説明できない。
評価項目4制御系の定常特性や各種特性の評価ができ,ゲイン調整法などを用いて簡単なフィードバック制御系が設計できる。制御系の定常特性や各種特性の評価ができ,ゲイン調整法などを用いた簡単な制御系設計について説明できる。制御系の定常特性や各種特性の評価,ゲイン調整法などを用いた簡単な制御系設計が説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
「制御とは何か?」を理解し,制御系を伝達関数やブロック線図で表現でき,応答性や安定性について評価ができる能力を身につける。特に,基本要素のステップ応答や周波数応答,ベクトル軌跡などの基本的な特徴を理解するとともに,それら基本要素を含むシステムに対して簡単なフィードバック制御系が設計できる能力を身につける。
授業の進め方・方法:
制御工学の基礎概念の理解のため古典制御理論に力点を置いて学ぶ。また,制御理論は各項目が相互に関連しているので,配布プリントなどの演習問題を自ら積極的に解いたり,機械工学実験Ⅱ(制御工学実験)を通して理解を深めていくことが望ましい。
注意点:
試験期ごとに,定期試験を90%,課題レポートを10%として評価し,総合成績60%以上を合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 制御工学・計測制御のガイダンス,フィードバック制御の基礎と基本構成 制御工学・計測制御の概要,フィードバック制御の基礎を説明できる。
2週 システムの動特性の表現,伝達関数,1タンクシステム,2タンクシステム 伝達関数が説明でき,例題を通じて伝達関数の求め方が説明できる。
3週 ラプラス変換と逆変換,ラプラス変換と逆変換の例題演習 ラプラス変換と逆変換が説明でき,基礎的例題を計算することができる。
4週 比例要素,積分要素,1次遅れ要素とその標準形 比例要素,積分要素,1次遅れ要素とその標準形が説明できる。
5週 2次遅れ要素,むだ時間要素,微分要素 2次遅れ要素,むだ時間要素,微分要素が説明できる。
6週 ブロック線図によるシステム構造の表現,直列結合,並列結合,FB結合,直結FB ブロック線図の作図法が説明できる。
7週 ブロック線図の等価変換,全システムの伝達関数 ブロック線図の等価変換と全システムの伝達関数が説明できる。
8週 過渡応答,インパルス応答,ステップ応答,基本要素のインディシャル応答1(比例要素,積分要素) インパルス応答,ステップ応答,インディシャルが説明でき,比例要素,積分要素の計算ができる。
2ndQ
9週 前期中間試験
10週 基本要素のインディシャル応答2(1次遅れ要素) 1次遅れ要素のインディシャル応答が説明できる。
11週 基本要素のインディシャル応答3(1次遅れ要素の続き)と部分分数とその一般的解法 部分分数を用いて,1次遅れ要素のインディシャル応答が計算できる。
12週 基本要素のインディシャル応答4(2次遅れ要素,特性方程式) 2次遅れ要素のインディシャル応答と特性方程式の説明できる。
13週 例題:直流サーボモータのステップ応答の調整,減衰係数,固有角周波数 例題:直流サーボモータのステップ応答を通じて,減衰係数と固有角周波数の説明ができる。
14週 安定性とその解析,安定論の基礎,安定のための条件 安定性の意味と基礎的理論,および安定のための条件が説明できる。
15週 ラウスの安定判別法とフルビッツの安定判別法,およびそれらの比較 ラウスの安定判別法とフルビッツの安定判別法を用いて安定判別ができる。
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 周波数応答と周波数伝達関数 周波数応答と周波数伝達関数の説明ができ,周波数伝達関数を求めることができる。
2週 ベクトル軌跡1(1次遅れ要素,2次遅れ要素) 1次遅れ要素と2次遅れ要素のベクトル軌跡を図示できる。
3週 ベクトル軌跡2(むだ時間要素),ボード線図1(積分要素,微分要素,作図演習) むだ時間要素のベクトル軌跡,積分要素と微分要素のボード線図を説明できる。
4週 ボード線図2(1次遅れ要素,1次進み要素積,むだ時間要素,作図演習) 1次遅れ要素,1次進み要素積,むだ時間要素のボード線図を説明できる。
5週 ボード線図3(1次遅れ要素+むだ時間要素,2次遅れ要素),共振周波数とピーク値 1次遅れ要素+むだ時間要素,2次遅れ要素のボード線図と,共振周波数とピーク値が説明できる。
6週 計測制御の概念と用語・単位,ナイキストの安定判別法と安定度 計測制御の概念と用語・単位,ナイキストの安定判別法と安定度を説明できる。
7週 ナイキスト軌跡の描き方,ボード線図による安定判別 ナイキスト軌跡の描き方が説明でき,ボード線図による安定判別ができる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 伝達関数による制御系の設計,FB制御の有意性,制御器の設計法の概要 伝達関数による制御系の設計,FB制御の有意性,制御器の設計法の概要が説明できる。
10週 制御系の設計仕様,定常特性の評価(定常位置偏差,定常速度偏差,定常加速度偏差) 定常特性に関する定常位置偏差,定常速度偏差,定常加速度偏差を説明できる。
11週 過渡特性の評価,ゲイン余裕と位相余裕,各偏差のまとめ ステップ応答に関して立ち上がり時間などの評価ができ,ゲイン余裕と位相余裕が説明できる。
12週 共振ピーク周波数とピーク値,帯域幅 2次遅れ要素に関して,共振ピーク周波数とピーク値,帯域幅が説明できる。
13週 2次系の過渡特性と周波数特性の関係 2次遅れ要素の標準形を基に,帯域幅,ピーク値,制定時間などの求め方が説明できる。
14週 制御系の設計法,サーボ系の設計法1(ゲイン調整による方法) 制御系の設計法の概要,サーボ系におけるゲイン調整に方法が説明できる。
15週 サーボ系の設計法2(位相遅れ要素による直列補償法),プロセス系の設計法,PID制御 サーボ系の位相遅れ要素による直列補償法と,プロセス系の設計法およびPID制御が説明できる。
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合0000000
評価項目122.500002.50
評価項目222.500002.50
評価項目322.500002.50
評価項目422.500002.50