無機材料学

科目基礎情報

学校 新居浜工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 無機材料学
科目番号 151405 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 環境材料工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 配布資料を用いる。
担当教員 平澤 英之,坂本 全教

到達目標

1. 電子物性についてミクロの観点から理解できる事。
2. 量子力学の基礎的な扱いについて理解できる事。
3. 電磁気学の基礎と電子応答の関係について理解できる事。
4. 半導体物性とその応用について理解できる事。

5. 電気伝導度および半導体の原理を理解できること。
6. 熱力学第1,第2,自由エネルギー変化が理解でき、計算が出来ること。
7. セラミックスの状態図を読めること。
8. 相転移理論を理解できること。
9. 単結晶の製造方法の原理および種類がわかること。
10. 焼結理論の基礎が理解できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電子物性について理解でき,応用問題が解ける。電子物性について理解でき、基礎問題が解けること。電子物性が理解できず、基礎問題が解けない。
評価項目2量子力学の基礎について理解でき、これらに関する応用問題が解けること。量子力学の基礎ついて理解でき、これらに関する基礎問題が解けること。量子力学の基礎について理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目3電磁気学と電子応答の関係について理解でき、これらに関する応用問題が解けること。電磁気学と電子応答に関する基礎問題が解けること。電磁気学と電子応答について理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目4半導体物性とその応用について理解でき、応用問題が解けること。半導体物性とその応用について理解でき、基礎問題が解けること。半導体物性とその応用について理解できず、基礎問題が解けない。
評価項目5電気伝導度および半導体の原理が理解でき、これらに関する応用問題が解けること。電気伝導度および半導体の原理が理解でき、これらに関する基礎問題が解けること。電気伝導度および半導体の原理が理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目6熱力学第1、第2、自由エネルギー変化が理解でき、これらに関する応用問題が解けること。熱力学第1、第2、自由エネルギー変化が理解でき、これらに関する基礎問題が解けること。熱力学第1、第2、自由エネルギー変化が理解できず、これらに関する基礎問題が解けない。
評価項目7セラミックスの状態図が理解でき、応用問題が解けること。セラミックスの状態図が理解でき、基礎問題が解けること。セラミックスの状態図が理解できず、基礎問題が解けない。
評価項目8相転移理論が理解でき、応用問題が解けること。相転移理論が理解でき、基礎問題が解けること。転移理論が理解できず、基礎問題が解けない。

学科の到達目標項目との関係

専門知識 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
無機材料学では,1~3年生で培った数学・理科の知識をベースにして,実学的な「固体物性」について学びを深める。
前期は電子物性を学んだあと,金属・半導体の各種物性(電気伝導率,熱伝導率,光反射率)およびバンド理論について学ぶ。
後期では材料物性に加えて,各種測定評価法の原理原則についても学ぶ。

これらはすべて,材料研究の応用に関する必須な知識であり,
確実な理解と知識の習得が肝要である。
授業の進め方・方法:
無機化学を発展させた科目であり,数学(微分・積分・三角関数),化学・物理および物理化学に関する3年生までの基礎知識が必須である。また,電子材料学および無機材料特論,エネルギー材料工学の基礎となる科目である。
各自十分予習、復習し、講義に備えること。
注意点:
正当な理由の場合を除き,授業を無断欠席しないこと。また,必ず期限どおりに課題を提出すること。

本科目の区分

Webシラバスと本校履修要覧の科目区分では表記が異なるので注意すること。
本科目は履修要覧に記載する「③選択必修科目」である。また,「学修単位科目」であるため,
課題および課題提出に伴う自学の時間が必須であることに注意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 無機化学の復習および電子物性の基礎①:電子移動度,緩和時間 1
2週 電子物性の基礎②:熱伝導,ウィーデマンフランツ則 1
3週 量子力学の基礎①:フェルミ空間,状態密度 1,2
4週 量子力学の基礎②:フェルミ物性の導出 1,2
5週 光学応答①:電磁気学の基礎 2,3
6週 光学応答②:金属光沢の電子物性からの説明
2,3
7週 中間試験 1,2,3
8週 前期中間の範囲の総復習 1,2,3
2ndQ
9週 半導体物性①:バンド理論の理解 4
10週 半導体物性②:キャリア密度の導出 4
11週 半導体物性③:不純物半導体 4
12週 半導体物性④:不純物半導体の温度応答 4
13週 半導体物性⑤:熱振動と再結合 4
14週 半導体の材料応用:太陽電池と光触媒 1,2,3,4
15週 期末試験 1,2,3,4
16週 前期末範囲の総復習 1,2,3,4
後期
3rdQ
1週 無機材料の物性(磁気特性) 3
2週 化学結合と物性 2
3週 材料工学とファインセラミックス 4, 5
4週 結晶構造と物性 8
5週 構造解析のメカニズム 8
6週 構造と欠陥 1, 8
7週 中間試験 1, 2, 3, 4, 5, 8
8週 試験返却と解説
1, 2, 3, 4, 5, 8
4thQ
9週 ショットキー欠陥・フレンケル欠陥 8
10週 単結晶の合成手法 9
11週 表面エネルギーと焼結 10
12週 焼結(2) 10
13週 状態図(1) 7
14週 状態図(2) 7
15週 期末試験 7, 8, 9, 10
16週 試験返却・総括 7, 8, 9, 10

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。4前1,前2,前3,前14
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。4前1,前2
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。4前1,前2,前5
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4前1,前2,前6
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4前1,前2,前3
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4前1,前2,前3
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。4前5
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。4前5
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。4
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。4前9,前10,前11,前12,前13,前14
真性半導体の伝導機構について説明できる。4前9,前10,前11,前12,前13,前14
力学パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。4前1,前2,前3,前4,前9,前10,前11
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前1,前2
イオン結合の形成と特徴について理解できる。4前1,前2,前9,前10,前11
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。4
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。4前6,前9,後13
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などに必要な材料合成法について説明できる。4後14,後15
金属材料点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。4前10,前11
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。4前12
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。4後5
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。4後6,後7
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。4後10,後11
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。4後5
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。4後5
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。4後6
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。4後6
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。4前14,前15
拡散係数の物理的意味を説明できる。4前14,前15

評価割合

試験課題演習合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力020000020
専門的能力800000080
分野横断的能力0000000