到達目標
1.基本的な振動問題(単振動,減衰振動)を,運動方程式をたてて解くことができる。
2.運動(並進運動・回転運動)する観測者の立場から,慣性力を用いて運動方程式をたてることができ,基本的な力学問題を解くことができる。
3.二体(多体)系の力学問題を,重心の運動と重心周りの運動という観点から,取り扱うことができる。
4.基本的な剛体の運動を,運動方程式をたてて解くことができる。
上述の到達目標の各項目において,大学初年度レベルの教科書および自作プリント教材を用いて,微積分・ベクトルを使い体系的に専門基礎としての力学を体得することにより,物理の基本的な考え方(物の見方)と問題解決方法を身に着ける。「法則を体系的に理解して種々の問題に応用する」という物理の典型的な学習法を身につける。
到達目標の具体的な記述表現とレベルとの対応を以下に記す。
1. “知る・学ぶ(知識・記憶レベル)”と記した項目については,項目に関して得た知識を基に,定性的な説明ができる。
2. “理解する・計算できる(理解レベル)”と記した項目については,基本公式から計算(または作図)によって,定量的に現象を説明できる。
3. “演習を行う・応用できる(適用レベル)”と記した項目については,体得した手法を具体的な問題に適用して問題を解決できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 振動問題(単振動,減衰振動)を運動方程式を立てて,体系的に取り扱う手法を体得している。この手法を具体的な振動問題に適用して必要な物理量を算出できる。また,他分野(交流回路等)との数学的同等性を議論できる。 | 振動問題(単振動,減衰振動)を運動方程式を立てて,体系的に取り扱う手法を体得している。この手法を基本的な振動問題に適用して必要な物理量を算出できる。 | 振動問題(単振動,減衰振動)を運動方程式を立てて,体系的に取り扱う手法の理解が十分でなく,振動問題に関する基礎的な物理量を算出できない。 |
評価項目2 | 運動(並進運動・回転運動)する観測者の立場から,慣性力を用いて運動方程式をたてることができ,基本的な力学問題を解くことができる。 | 運動(並進運動・回転運動)する観測者の立場から,慣性力を用いて運動方程式をたてることができ,簡単な力学問題を解くことができる。 | 運動(並進運動・回転運動)する観測者の立場から,慣性力を用いて運動方程式をたてる手法の理解が十分でなく,簡単な力学問題に適用できない。 |
評価項目3 | 二体系の力学問題を,重心の運動と重心周りの運動という観点から,取り扱うことができる。この考え方を多体系に拡張して,質点系の基本的な物理量を算出することができる。 | 二体系の力学問題を,重心の運動と重心周りの運動という観点から,取り扱うことができる。この考え方を用いて二体系の基本的な物理量を算出できる。 | 二体系の力学問題を,重心の運動と重心周りの運動という観点から,取り扱う手法の理解が十分でなく。この考え方を用いて二体系の基本的な物理量を算出できない。 |
評価項目4 | 剛体力学に関して,体系立った知識を体得して,法則を具体的な問題に応用して必要な物理量を算出できる。 | 剛体力学に関して,個別に知識を獲得して,法則を用いて基礎的な物理量を算出できる。 | 剛体力学に関して,知識の修得が十分でなく,基礎的な物理量を算出できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
1.基本的な振動問題(単振動,減衰振動)を,運動方程式をたてて解くことができる。
2.運動(並進運動・回転運動)する観測者の立場から,慣性力を用いて運動方程式をたてることができ,基本的な力学問題を解くことができる。
3.二体(多体)系の力学問題を,重心の運動と重心周りの運動という観点から,取り扱うことができる。
4.基本的な剛体の運動を,運動方程式をたてて,解くことができる。
上述の到達目標の各項目において,大学初年度レベルの教科書および自作プリント教材を用いて,微積分・ベクトルを使い体系的に,専門基礎としての力学の知識と手法を体得することを目指す。
また,具体的な演習問題を解くことにより,物理の基礎的な考え方(物の見方)と問題解決方法を身に着けるとともに,「法則を系統的に理解して種々の問題に応用する」という物理の典型的な学習法を身につけることを目指す。
授業の進め方・方法:
授業では,事前に配布した授業計画に基づき,教材の予習および既習の関連項目の復習等の事前学習を義務付ける。前半(50%)を学習内容の解説や例題演習の模範解答等の講義にあてるので,ノートテイク・質問等を通してその時その場での理解を目指す。後半(50%)は学生自身が問題演習を行い学習項目の定着を図る。問題演習は,教科書や自作プリントの問題を各自で解答することを原則として,班別での学習支援(教え合い・学び合い)を通して主体的な学びになるように努める。判らない項目は質問を受け付けるので,予習・授業・復習の繰り返しで,着実に力を付ける。教科書の演習問題および自作プリントの演習課題を自力で解答ができるレベルを合格ラインとする。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
定期試験の成績を70%,平素の学習状況等(課題の提出・平常試験等)を30%の割合で総合的に評価することを原則とする。学年の成績評価は後学期中間と後学期末の各期間の評価の総合評価とする。技術者がみにつけるべき専門基礎として,上記の到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
半年間の週毎の授業計画プリントを最初の授業時に配付する。授業計画をもとに,事前学習として教科書の該当部分の予習を義務付ける。事後学習として,授業時に配付するプリントに教科書の問題の解答を添付するので,教科書の問題は各自が解いて答え合わせをする。プリントの問題も各自で解いて,解答を参照して自分の理解度を確認する。到達目標毎に4回の演習課題を課すので提出して点検を受ける。解答で答え合わせした後,疑問については質問を受ける。
【履修上の注意】
1年生の「物理Ⅰ」と2年生の「力学基礎」および「物理Ⅱの運動量」の学習内容は応用物理Ⅰの学習の基礎になる。3年前学期に履修する「物理Ⅲの質点力学」の学習内容の理解は,応用物理Ⅰの学習の必須の前提です。使用する教科書も同じで,応用物理Ⅰと併せて学習することで,質点力学から剛体力学までの力学の基礎を学習する。上記の科目の修得が不十分で応用物理Ⅰの履修に困難を感じる学生は,その都度気軽に相談して下さい。諦めず,継続は力です。
4年生で開講される応用物理Ⅱ(選択科目)の力学部分のベースとなる内容を学習して身につけるので,是非,応用物理Ⅱも選択して下さい。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
振動問題 1.単振動の微分方程式の解法 |
単振動の微分方程式の解法を身につける。固有振動数および位置,速度,加速度の時間変化を計算できる。
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2週 |
振動問題 2.減衰振動の微分方程式の解法 |
減衰力が働く振動問題の微分方程式の解法を身につける。固有周期,時定数および位置等の時間変化を計算できる。
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3週 |
慣性力 1.回転運動の極座標表示 物体の位置・速度・加速度,運動方程式 |
物体の運動方程式を極座標を用いて書くことができる。この手法を中心力による等速円運動の解析に応用できる。
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4週 |
慣性力 2.並進方向に運動する観測者 (慣性力=ーma) |
並進方向に運動する観測者の立場から,慣性力を考慮した運動方程式を立てることができる。簡単な力学問題に応用できる。
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5週 |
慣性力 3.回転運動する観測者 (遠心力,コリオリ力) |
回転運動する観測者の立場から,慣性力を考慮した運動方程式を立てることができる。簡単な力学問題に応用できる。
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6週 |
力学的エネルギー 1.仕事 |
定義に基づき,物体の移動経路に従い力を積分して仕事を計算することができる。
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7週 |
力学的エネルギー 2.保存力と位置エネルギー |
仕事の計算が積分経路に依らず始点と終点のみで決まる保存力に対応して位置エネルギーを定義して,力学問題に適用できる。
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8週 |
力学的エネルギー 3.力学的エネルギー保存の法則 |
運動方程式から力学的エネルギー保存の法則を導き,基本的な力学問題に適用できる。非保存力のエネルギー保存則も学ぶ。
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4thQ |
9週 |
二体系の力学 1.重心(質量の重み付き平均位置) 重心の運動量と全運動量 |
システムの平均的な運動を表す重心の定義を学び,重心の運動量と全運動量が等しいことを示し,重心の運動方程式を導ける。
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10週 |
二体系の力学 2.全角運動量保存の法則 |
二体系の運動方程式から全角運動量に対する運動方程式および全角運動量保存の法則を導き,二体系の回転運動に応用できる。
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11週 |
二体系の力学 3.重心の運動と重心周りの運動 |
全運動エネルギー,全角運動量および回転の運動方程式を重心の運動と重心周りの運動に分離することができる。
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12週 |
剛体の力学 1.剛体の慣性モーメント 平行軸の定理と薄板の定理 |
色々な剛体の慣性モーメントの積分計算ができる。薄板の定理,平行軸の定理を使うことができる。
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13週 |
剛体の力学 2.固定軸の周りの剛体の回転運動 |
固定軸のまわりの剛体の運動を運動方程式を用いて解くことができる。
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14週 |
剛体の力学 3.平面内の剛体の運動 |
剛体の平面運動の運動を運動方程式を用いて解くことができる。
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15週 |
剛体の力学 4.総合演習 |
剛体に関する色々な問題を運動方程式を利用して解くことができる。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。 | 3 | |
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 3 | |
慣性の法則について説明できる。 | 3 | |
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 3 | |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 3 | 後1,後2,後3 |
運動の法則について説明できる。 | 3 | |
仕事と仕事率に関する計算ができる。 | 3 | |
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | |
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。 | 3 | |
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。 | 3 | |
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | |
力のモーメントを求めることができる。 | 3 | |
角運動量を求めることができる。 | 3 | 後10 |
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。 | 3 | 後10 |
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。 | 3 | 後12 |
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。 | 3 | 後13,後14 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 70 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |