材料合成プロセス

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 材料合成プロセス
科目番号 0353 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 材料工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 プリント。参考図書:日本金属学会編、金属化学入門シリーズ第1巻 金属物理化学:日本金属学会編、金属化学入門シリーズ第2巻 鉄鋼製錬:日本金属学会編、金属化学入門シリーズ第3巻 金属製錬工学
担当教員 馬越 幹男

到達目標

1.鉄鋼製錬過程(製銑、製鋼、連続鋳造)の概略を理解し、説明できる。
2.鉄鉱石から鉄鋼を製造する場合の化学平衡に関する知識を身につけ、平衡温度、平衡濃度等に関する計算ができる。
3.酸化鉄の還元反応等に反応速度式を適用し、速度式を導出できる。
4.鉄鋼製錬過程のうち、製鋼過程、連続鋳造を理解し、説明できる。
5.主要な非鉄金属製錬の概略を理解し、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鉄鋼製錬過程の概略を説明できる。鉄鋼製錬過程の概略を理解できる。鉄鋼製錬過程の概略を理解していない。
評価項目2鉄鋼製錬における化学反応に関する熱力学的な内容を理解し、計算が出来る。鉄鋼製錬における化学反応に関する熱力学的な内容を理解出来る。鉄鋼製錬における化学反応を理解できない。
評価項目3未反応核モデルによる酸化鉄の還元速度式、溶鉄中の脱炭速度式を導出、説明できる。酸化鉄の還元速度式、溶鉄中の脱炭速度式を理解できる。化学反応速度、物質移動速度の基礎が理解できていない。
評価項目4製鋼過程、連続鋳造プロセスを理解し、説明できる。製鋼過程、連続鋳造プロセスを理解できる。製鋼過程、連続鋳造プロセスを理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料の素材製造は、地球上に存在する資源から有用な物質を取り出すことである。そのプロセスの基本は状態変化や化学反応である。この授業では素材製造の中でも、鉄鋼製錬および主要な非鉄金属製錬の基礎を物理化学的な側面から教授する。
授業の進め方・方法:
この科目は、学修単位であり、他の科目の授業の半分の回数で同程度の内容を実施する。そのため、自学自習を心がけ、課されたレポート作成に着実に取り組むこと。講義はプリントを併用して行う。この科目の基礎的内容は、熱力学、速度論であり、「物理化学」および「材料化学」の理解を欠くことはできない。そのためには、演習問題を自分で解くことが重要である。
関連科目:物理化学、材料化学
注意点:
定期試験とレポートの評価の合計が60点以上を合格とする。
到達目標に記載した項目の基礎的な内容と理解度とその基本的活用度を評価基準とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション-金属製錬および鉄鋼製錬の概要 金属製錬および鉄鋼製錬の概要を理解する。
2週 酸化物の自由エネルギー-温度図の利用 酸化物の自由エネルギー-温度図を理解し、利用できる。
3週 酸化鉄の還元平衡 酸化鉄の還元平衡を理解し、還元平衡図を作成できる。
4週 ブードワール反応と酸化鉄の還元平衡 ブードワール反応の熱力学を理解し、炭素が共存する場合の還元平衡図より、熱力学的に鉄が得られる条件を理解する。
5週 化学反応速度の基礎 逆反応が無視できる一次、二次反応の速度式およびアレニウスの式を理解し、計算問題を解ける。
6週 反応の素過程と未反応核モデル ある反応の素過程(物質移動、熱移動、化学反応速度)、律速段階を説明でき、トポケミカル反応に未反応核モデルが適用できることを理解する。
7週 酸化鉄の還元反応速度 FeO球のCOガス還元反応に未反応核モデルを適用して、還元反応速度を理解する。
8週 酸化鉄の還元反応速度の解析 未反応核モデルを適用したFeO球のCOガス還元反応速度を解析するための実験、データ解析によって律速段階を決める手法を理解する。
2ndQ
9週 製銑過程(高炉) 化学反応を中心に鉄鉱石から銑鉄を得る製銑過程を理解する。
10週 製鋼反応の熱力学 溶鉄中の脱炭反応、脱リン反応および脱硫反応の熱力学を理解する。
11週 脱炭反応速度 溶鉄ー気相間の脱炭反応速度式を理解し、転炉における脱炭反応速度を説明できる。
12週 製鋼過程(転炉) 転炉における鉄中の普通元素の挙動と転炉スラグ関わりを理解できる。
13週 脱酸と連続鋳造 製鋼過程で製造される溶鋼の脱酸の必要性、方法、および連続鋳造のプロセスを理解する。
14週 銅製錬 銅製錬の概略を理解する。
15週 アルミニウム、チタン、シリコン製錬 アルミニウム、チタン、シリコン製錬の概略を理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力3000001040
分野横断的能力100000010