生物有機化学

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 生物有機化学
科目番号 4L014 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 創造工学科(環境生命コース) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 後期:1
教科書/教材 P.Y.Bruice著、大船泰史・香月勗・西郷和彦・富岡清監訳、ブルース有機化学概説第3版(化学同人)
担当教員 小林 正幸

到達目標

1.有機化合物の構造と名称を互換でき、その特徴がわかる。
2.種々(質量、赤外、核磁気共鳴)のスペクトルから化合物の構造を特定できる。
3.生体分子(炭水化物、タンパク質、脂質、核酸)の構造を理解し、その意味を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化合物の構造と名称を互換でき、有機化合物の構造と特徴を関連付けて説明できる。有機化合物の構造と名称を互換でき、有機化合物の構造と特徴を概ね関連付けて説明できる。有機化合物の構造と名称を互換できない。
評価項目2種々のスペクトルから化合物の構造を特定できる。種々のスペクトルから化合物の構造を概ね特定できる。種々のスペクトルから化合物の構造を特定できない。
評価項目3生体分子(炭水化物、タンパク質、脂質、核酸)の構造、機能を理解する。生体分子(炭水化物、タンパク質、脂質、核酸)の構造、機能を概ね理解する。生体分子(炭水化物、タンパク質、脂質、核酸)の構造、機能を理解しない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化学、生物化学において、構造情報は非常に重要です。本科目では、有機化学や生物化学で必須な分子の構造の情報に力点を置いて授業を行います。基本となる有機化合物の名称と構造を一致させることは非常に重要であり、有機化学、生物化学の学修を復習しながら、定着を行います。また、構造は分子の持つ機能と密接に関係しており、そのことを理解します。
「4.質の高い教育を皆に(SDGs)」
授業の進め方・方法:
教科書の「Bruice有機化学概説第3版」に準拠し、講義形式で進めます。「概要」に記載しましたが「分子の構造」に力点を置くため、「ブルース有機化学概説第3版」としては全章を網羅することになります。授業進行では章が前後するので注意して下さい。授業中に教科書の問題、章末の演習問題、配布プリントの問題を解いて理解度を向上させます。時間的制約からすべてを授業中に解くことはできないため、自主的にこれらの問題を解いて理解を深めておいてください。
IUPAC名は重要ですが、慣用名は分子の歴史や社会における利用の頻度を考えると軽んじることはできないのが現状です。物質の慣用名と構造を一対一に対応できることは重要です。これまでの学修(有機化学1、2)で修得済みのIUPAC名と慣用名を互換できることは非常に重要です。1回目の授業で有機化合物の慣用名をリストアップしたものを配布しますので、これをしっかりと覚えて、自由に使うことができるようになっておくこと。このリストアップしたものの修得度および授業の学修内容の理解度(学修単位のための事前、事後の学習)をチェックするため授業内にテストを実施します。
教科書を指定するので購入するとともに、予習復習をしっかりすることが必要である。板書もしますが、資料配布も行います。
注意点:
テスト80%(中間および期末試験80%)と授業中の試験20%(ポートフォリオ)で評価します。
3年、4年前期で学んだ有機化学I,II、生物化学I, II、生物工学基礎の理解が必要です。理解度が低い学生は、これらの学修の理解度をあげげておいて授業にのぞんでください。また、これらの科目の復習の側面を多く持つことから、積極的に本科目の予習に取り組んで理解度をあげて受講して欲しい。有機化合物の構造における水素原子の重要性の観点から水素原子を省略する骨格構造を原則使用しません。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
一般化学の復習(1)

原子の構造、原子軌道、イオン結合と共有結合(オクテット則)、電気陰性度と結合様式の関係を理解・説明できること。
化合物の様々な構造表記(Lewis構造・Kekule構造・簡略構造)ができること。
2週 一般化学の復習(2)
有機化合物への招待(アルカン、アルケン、アルキン)
種々の有機化合物の原子軌道を理解・説明できること。簡単な炭素、窒素、酸素を含む化合物、イオン、ラジカルについて、混成軌道、結合長、結合強度、結合角を理解・説明できること。
Newman投影式、透視式、Fischer投影式を理解し、種々の化合物をこれらの表記法で書くことができること。
非共有結合性相互作用を理解し、有機化合物の特徴と関連付けて説明できること。
有機化合物(グループⅠ)の命名の基本的ルールを確認し、IUPAC名、慣用名から構造(簡略構造、透視式など)を記すことができること。また、構造式(簡略構造、透視式など)からIUPAC名、慣用名を記すことができること。
3週 異性体(原子の空間配置)、環状化合物
非局在化電子・芳香族性(ベンゼンとその誘導体)
シス・トランス異性体とEZ表記、鏡像異性体(エナンチオマー)とRS表記、メソ化合物を理解・説明できること。
非局在化電子を理解し、共鳴寄与体、共鳴混成体を理解・説明できること。芳香族性について理解・説明ができること。
有機化合物(グループⅡ)の命名の基本的ルールを確認し、IUPAC名、慣用名から構造式(簡略構造、透視式など)を記すことができること。また、構造式(簡略構造、透視式など)からIUPAC名、慣用名を記すことができること。
4週 ハロゲン化アルキル、アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオール
有機化合物(グループⅢ)の命名の基本的ルールを確認し、IUPAC名、慣用名から構造式(簡略構造、透視式など)を記すことができること。また、構造式(簡略構造、透視式など)からIUPAC名、慣用名を記すことができること。
5週 カルボニル化合物(カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、ニトリル、酸無水物)
有機化合物の構造決定(1)
有機化合物(グループⅣ)の命名の基本的ルールを確認し、IUPAC名、慣用名から構造式(簡略構造、透視式など)を記すことができること。また、構造式(簡略構造、透視式など)からIUPAC名、慣用名を記すことができること。
質量分析法が理解・説明できること。質量スペクトルから有機化合物の構造が特定できること。
6週 有機化合物の構造決定(2) 分光法(赤外分光法、紫外可視分光法)が理解・説明できること。
赤外(IR)スペクトルから有機化合物の構造が特定できること。
7週 有機化合物の構造決定(3) 核磁気共鳴分光法が理解・説明できること。
1H-NMRスペクトルから有機化合物の構造が特定できること。
質量、IR、1H-NMRスペクトルを総合して、化合物の構造を特定できること。
8週 中間試験
4thQ
9週 テスト返却と解説
炭水化物の有機化学(1)
中間テストの内容で理解不足であったところ(テストで明確化されたところ)の内容を正確に理解する
炭水化物の分類、立体配置(DL表記、アノマー)について理解・説明できること。
10週 炭水化物の有機化学(2) 単糖の反応、ヘミアセタールを理解し、鎖状構造と環状構造(Haworth投影式、イス型配座)を記すことができること。
グリコシド結合(二糖、多糖)、糖誘導体について理解・説明できること。
11週 アミノ酸、ペプチド、タンパク質の有機化学 アミノ酸(DL表記、酸塩基、等電点)、ペプチド結合、タンパク質(階層構造、決定法)について理解・説明できること。
タンパク質の構造と機能について理解・説明できること。
12週 ビタミンの有機化学
代謝の有機化学
ビタミン、補酵素について理解・説明できること。
脂肪、炭水化物、タンパク質の異化、同化について理解・説明できること。
13週 脂質の有機化学 脂肪酸、トリグリセリド、セッケンとミセル、ホスホグリセリド、脂質二重膜について理解・説明できること。
14週 核酸の化学 ヌクレオシド、ヌクレオチドについて理解・説明できること。
核酸の一次構造、二次構造について理解・説明できること。
DNAの複製、転写、翻訳について理解・説明できること。
遺伝子工学について理解できること。
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説 期末テストの範囲の内容で理解不足であったところ(テストで明確化されたところ)の内容を正確に理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000