酵素化学

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 酵素化学
科目番号 4L018 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 創造工学科(環境生命コース) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 Essential 細胞生物学第5版(南江堂) B.Albertsら著、中村桂子ら監訳、ブルース有機化学概説第3版(化学同人)P.Y.Bruice著、大船泰史ら監訳
担当教員 出口 智昭

到達目標

1.酵素の基本的な性質と反応特性について理解する.
2.タンパク質を含めた酵素の取り扱い,精製方法について理解する.
3.酵素を工業的に利用するための固定化技術やバイオリアクターについて理解する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1酵素の基本的な性質と反応特性を詳細に説明できること.酵素の基本的な性質と反応特性を説明できること.酵素の基本的な性質と反応特性を説明できない.
評価項目2タンパク質を含めた酵素の取り扱い,精製方法について詳細に説明できること.タンパク質を含めた酵素の取り扱い,精製方法について説明できること.タンパク質を含めた酵素の取り扱い,精製方法について説明できない.
評価項目3酵素の固定化技術やバイオリアクターについて詳細に説明で酵素の固定化技術やバイオリアクターについて説明できるこ酵素の固定化技術やバイオリアクターについて説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 生体内では食物の消化をはじめいろいろな化学反応が起こっており,その一つ一つの反応には酵素と呼ばれる触媒作用をもった特殊なタンパク質が関与している.生体内には様々な酵素が存在するが酵素は非常に高い基質特異性を有しているため,酵素自体はある特定の反応に対してのみ触媒作用を示す.また,酵素はpH,温度などの反応条件によってその活性が左右される.特に同じ反応を触媒する酵素であってもその酵素の起源によって最適な反応条件はそれぞれ異なる.酵素は生物によって生産されるタンパク質であり,安全性が高いため,現在では微生物や植物,動物から抽出,精製させた酵素が酵素製剤として食品工業をはじめとしていろいろなところで工業的に利用されている.このように酵素に関してその諸性質,取り扱い,生産,工業的利用などを理解することは重要である.
 本科目の目標は,まず酵素に関する基礎的性質および反応について理解できること.次に生体内での酵素の触媒反応および作用機構について理解できること.以上のような酵素の基礎的内容について理解した上で,酵素の工業的利用について,実際の工業的利用の例を基に一般的な製造方法,利用法などが理解でき,さらに応用できる発想力を身につけること目標としている.
授業の進め方・方法:
講義を中心(パワーポイントを利用)に授業を進める.
授業で使用するパワーポイントは基本的に授業の前週にClassroomにアップするので予習復習に活用してもらいたい.
理解度を高めるための事前・事後学習として課題等を実施します.
注意点:
配付する課題の一部には酵素に関する英文を和訳する内容もあるため,英語が苦手な学生は化学英語についても努力すること.
成績評価は試験90%,ポートフォリオ10%とする.ポートフォリオの評価は与えられた課題への解答内容により行う.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明.生体触媒に関する概要 生体触媒すなわち酵素についてその発見から命名,酵素の利用の歴史および発展について理解する.
2週 酵素の構造および機能 タンパク質および酵素の立体構造と酵素-基質複合体について理解する.
3週 酵素の性質 酵素の基本的な性質(基質特異性、最適温度、最適 pH、基質濃度)について理解する.補酵素や補欠因子の働きを例示できる.水溶性ビタミンとの関係を理解する.
4週 酵素の分類 化学反応による酵素の分類,命名法について理解する.
5週 酵素反応速度論 ミカエリスメンテンの式,Km,ラインウェーバー・バークのプロットについて理解する.
6週 酵素活性の調節 酵素反応の阻害形式など酵素活性の調節について理解する.
7週 酵素の製造方法 酵素の製造方法(酵素の原料,細胞の破砕,抽出法)について理解する.
8週 酵素の精製Ⅰ 酵素の精製法(塩析,各種カラムクロマログラフィー)と原理について理解する.
2ndQ
9週 後期中間試験
10週 テスト返却
酵素の精製Ⅱ
中間テストの範囲の内容で理解不足であったところ(テストで明確化されたところ)の内容を正確に理解する.精製酵素の評価(電気泳動)及び酵素精製表について理解する.
11週 固定化酵素 酵素の固定化の方法と原理,特徴について理解する.
12週 バイオリアクター バイオリアクターの原理,特徴について理解する.
13週 酵素の工業利用Ⅰ 酵素の食品工業への応用ついて理解する
14週 酵素の工業利用Ⅱ 酵素の医療分野(抗生物質,酵素阻害剤)への応用について理解する.
15週 前期末試験
16週 試験返却
酵素化学のまとめ
期末試験の範囲で理解不足であった点を認識する.理解できていた点でも別解法や多面的な理解を深める.酵素化学の概要を説明できること.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000100100
基礎的能力0000000
専門的能力90000100100
分野横断的能力0000000