到達目標
1.結晶構造やエネルギーバンド構造およびキャリヤの挙動と電気伝導の関係について説明できる.
2.半導体デバイスに関する最も基本的事項である「接合」,とくに伝導タイプの異なる半導体どうしの接合であるpn接合界面でおこる物理現象(特に電気的な現象)について説明できる.
3.バイポーラ・トランジスタの動作機構と接地形式について説明できる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 結晶構造やエネルギーバンド構造およびキャリヤの挙動と電気伝導の関係について詳細に説明できる. | 結晶構造やエネルギーバンド構造およびキャリヤの挙動と電気伝導の関係について説明できる. | 結晶構造やエネルギーバンド構造およびキャリヤの挙動と電気伝導の関係について説明できない. |
評価項目2 | pn接合界面でおこる物理現象と電気特性について詳細に説明できる. | pn接合の電気特性について説明できる. | pn接合の電気特性について説明できない. |
評価項目3 | バイポーラ・トランジスタの動作機構と接地形式について詳細に説明できる. | バイポーラ・トランジスタの動作機構と接地形式について説明できる. | バイポーラ・トランジスタの動作機構と接地形式について説明できない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
半世紀前にトランジスタが発明されて以来,電子工学は急速に発展した.これは半導体技術のめざましい進歩によるものであり,現在では1枚のシリコンチップに数百万個を超えるトランジスタをもつ集積回路や,数十GHzの周波数で高速に動作するトランジスタ,半導体レーザを用いた光通信,光ディスク,太陽電池などが開発され,これらの半導体素子を組み込んだ種々の電気器具や電子機器は私たちの生活に欠かすことのできないものになっている.このように現代社会においてエレクトロニクスは非常に重要な位置を占め,とりわけ半導体工学に関する知識は技術者として必要不可欠なものとなっている.
本科目では,半導体材料の性質とその性質を用いて動作する半導体デバイスの動作機構およびその特性の基本的事項について学習する.
授業の進め方・方法:
講義を中心に授業を進める.単元ごとに配付する演習問題により予習・復習を行うこと.
注意点:
化学および物理の基礎的な知識を有していること.また,2年次までに学習した電気回路・電磁気学の基本的な法則について理解し,計算等ができること.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
科目ガイダンス 原子と結晶(1) |
科目の目的・概要について説明できる. 原子の構造および原子内における電子のエネルギーについて説明できる.
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2週 |
原子と結晶(2) |
原子内における電子配置とパウリの排他律について説明できる.
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3週 |
結晶構造 |
結晶構造と結合形式について説明できる. 結晶内の方向および面の表現方法について説明できる.
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4週 |
エネルギーバンド構造(1) |
エレクトロンボルトの定義を説明し,単位換算等の計算ができる.
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5週 |
エネルギーバンド構造(2) |
エネルギーバンドの形成について概要を説明できる.
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6週 |
エネルギーバンド構造(3) |
金属・半導体・絶縁体のエネルギーバンド図について説明できる.
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7週 |
半導体のキャリヤ |
半導体の種類(真性半導体,不純物半導体)と特徴について説明できる. キャリヤ(電子・正孔)の基本的な性質について説明できる.
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験答案返却と解説 キャリヤ密度とフェルミ準位(1) |
到達度の確認. 状態密度,フェルミ分布およびキャリヤ密度の関係について説明できる.
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10週 |
キャリヤ密度とフェルミ準位(2) |
真性半導体や不純物半導体のエネルギーバンドについて説明できる.
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11週 |
キャリヤ密度とフェルミ準位(3) |
キャリヤ密度とフェルミ準位の関係について理解し,これらに関する計算ができる.
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12週 |
固体中の電気伝導(1) |
固体中のキャリヤのドリフトと電流の関係について説明できる. 固体中のキャリヤのドリフトと電流の関係を理解し,導電率や抵抗率などの計算ができる.
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13週 |
固体中の電気伝導(2) |
固体中のキャリヤの拡散と電流の関係について説明できる.
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14週 |
固体中の電気伝導(3) |
キャリヤの運動(ドリフト・拡散)と電流の関係について理解し,移動度や拡散定数を用いて電流などを計算することができる.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験答案返却と解説 pn接合とダイオード(1) |
到達度の確認. pn接合の概要と整流性について説明できる.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
pn接合とダイオード(2) |
空乏層の形成過程について説明できる.
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2週 |
pn接合とダイオード(3) |
pn接合の熱平衡状態におけるエネルギーバンド構造について説明できる.
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3週 |
pn接合とダイオード(4) |
pn接合の諸条件から拡散電位を計算することができる.
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4週 |
pn接合とダイオード(5) |
順方向電圧および逆方向電圧印加時におけるエネルギーバンド構造の変化とキャリヤ輸送の関係からpn接合の整流特性について説明できる.
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5週 |
pn接合とダイオード(6) |
pn接合の諸条件と空乏層の状態について理解し,空乏層幅と印加電圧の関係を導くことができる.
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6週 |
pn接合とダイオード(7) |
ブレークダウンのメカニズムについて説明できる.
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7週 |
pn接合とダイオード(8) |
pn接合に生じる容量成分について説明できる. pn接合の諸条件から等価容量を計算することができる.
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
試験答案返却と解説 バイポーラトランジスタ(1) |
到達度の確認. トランジスタの概念と役割について説明できる. バイポーラトランジスタの種類と構造について説明できる.
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10週 |
バイポーラトランジスタ(2) |
バイポーラトランジスタの動作原理について説明できる.
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11週 |
バイポーラトランジスタ(3) |
ベース接地回路動作について説明でき,電流増幅率,電圧増幅率などの計算ができる.
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12週 |
バイポーラトランジスタ(4) |
エミッタ接地回路動作について説明でき,電流増幅率や電圧増幅率などの計算ができる.
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13週 |
バイポーラトランジスタ(5) |
コレクタ接地回路動作について説明でき,電流増幅率や電圧増幅率などを求めることができる.
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14週 |
金属ー半導体接触 |
ショットキー接触について説明できる. オーミック接触について説明できる.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験答案返却と解説 |
到達度の確認.
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電子回路 | ダイオードの特徴を説明できる。 | 4 | 前13,前14,後1,後2,後3,後4 |
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。 | 4 | 後5,後6,後7,後13,後14 |
電子工学 | 電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。 | 4 | 前1 |
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。 | 4 | 前4 |
原子の構造を説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。 | 4 | 前2 |
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 4 | 前3,前5,前6,前9 |
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。 | 4 | 前12,前13,前14 |
真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 4 | 前7 |
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 4 | 前6,前7,前10,前11 |
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。 | 4 | 前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。 | 4 | 後9,後10,後11,後12,後13 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |