流体力学

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 流体力学
科目番号 0082 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学科(機械創造システムコース) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「流体力学(第2版)」、杉山 弘、遠藤 剛、新井隆景 著、森北出版
担当教員 島本 憲夫

到達目標

1.理想流体の複素ポテンシャルを説明でき、記述された流れを説明できる。
2.流体の運動方程式を記述でき、諸条件により簡略化して解を求めることができる。
3.圧縮性流体の特徴が説明でき、流体の物理量が計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1理想流体の複素ポテンシャルを説明でき、記述された流れの流線を求めることができる。理想流体の複素ポテンシャルを説明できる。理想流体の複素ポテンシャルを説明できない。
評価項目2流体の運動方程式を記述でき、諸条件により簡略化して解を求めることができる。流体の運動方程式を記述でき、簡略化された方程式の解を求めることができる。流体の運動方程式を記述できない。
評価項目3圧縮性流体の特徴が説明でき、流体の物理量を求める応用問題の計算ができる。圧縮性流体の特徴が説明でき、流体の物理量を求める基本問題の計算ができる。圧縮性流体の物理量を求める計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 A① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SA① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する共通基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB① 共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。

教育方法等

概要:
本授業では、流体力学が数学的に解析される学問であることを理解させることを目的とする。水や空気などの流体は日常生活や工学の広範囲の分野において重要である。流体力学は、非粘性と粘性、非圧縮性と圧縮性の特徴で分類され、これらの特性に応じた流体の力学を学習する。授業では、第4学年で習得した水力学の知識を基礎として、基礎式の導出過程および式の持つ物理的な意味について考えていく。
授業の進め方・方法:
数学的な取り扱いが多い学問であるため、数学の基礎知識を確認しながら授業を進めていく。基礎方程式が示す物理的な意味を理解できるよう、可能な限り平易な事例で説明する。
注意点:
偏微分とテイラー展開を復習しておいてほしい。授業で行う式展開を各人でも行えるように復習に取り組んでもらいたい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
流体の基礎と物理量の復習
学習の目的と学習のスケジュールを理解し、説明できる。
単位系と流体に関する物理量(密度、比重量、比重)が説明でき、計算ができる。
圧縮性と非圧縮性の違いを説明できる。
2週 流体に作用する力:圧力、せん断応力、ニュートンの粘性法則 流体に作用する圧力、せん断応力が説明でき計算できる。
ニュートンの粘性法則が説明でき、流体に作用するせん断応力を計算できる。
3週 流体の運動方程式:
流体運動の記述方法、流体の加速度(実質微分)
流体の記述方法(オイラー法とラグランジュ法)について説明できる。流体の加速度(実質微分)の導出を説明できる。
4週 流体の運動方程式:オイラーの運動方程式 ニュートンの運動方程式から理想流体のオイラーの運動方程式の導出を説明することができる。
5週 流体の運動方程式:連続の式、流線 連続の式の導出を説明することができる。流線の意味が説明でき、流線の式を導出できる。
6週 流体の変形と回転、渦と渦度 流体の変形(伸縮、せん断、回転)を説明できる。渦度と循環を説明できる。渦(自由渦、強制渦、ランキン渦)を説明でき、渦度を計算できる。
7週 演習問題による復習 第1週~第6週までの復習問題
8週 中間試験
2ndQ
9週 答案返却
理想流体の流れの導入、複素関数論の基礎
理想流体の特性(非圧縮性、非粘性)を説明できる。流体で用いる複素関数の計算ができる。
10週 理想流体の流れ:速度ポテンシャルと流れ関数、複素ポテンシャル 速度ポテンシャルと流れ関数を説明できる。複素ポテンシャルを説明でき、速度ポテンシャルと流れ関数を導出できる。
11週 理想流体の流れ:複素ポテンシャルによる流れの表現 複素ポテンシャルで記述された代表的な流れ(一様流れ、噴出し吸込み、円柱周りの流れ)を流線を用いて説明できる。
12週 粘性流体の流れ:境界層、はく離、円柱周りの流れ 粘性流れでの境界層、はく離、円柱周りの流れを説明できる。
13週 粘性流体の流れ:円管内流れの層流と乱流での速度分布 円管内の粘性流れについて層流・乱流での速度分布を説明できる。対数法則と指数法則に基づいた速度分布の計算ができる。
14週 演習問題による復習 第9週~第13週までの復習問題
15週 期末試験
16週 答案返却
前期学習内容のポイント整理
前期学習内容での重要点を整理し、説明できる。
後期
3rdQ
1週 粘性流体の流れ:流体力学の基礎方程式(連続の式、ナビエストークス方程式) 流体に作用する力をナビエストークス方程式の各項で説明できる。流体の質量保存則を連続の式で説明できる。
2週 粘性流体の流れ:ナビエストークス方程式の無次元化、ベルヌーイの式の導出 ナビエストークス方程式の無次元化式を導出できる。ベルヌーイの式の導出を説明できる。
3週 粘性流体の流れ:ナビエストークス方程式の厳密解による解析例 解析可能な例題についてナビエストークス方程式を簡略化し厳密解を求めることができる。
4週 粘性流体の流れ:境界層流れ(境界層方程式、排除厚さ、運動量厚さ) 境界層方程式を説明することができ、排除厚さ、運動量厚さを計算することができる。
5週 粘性流体の流れ:流れに平行な平板まわりの境界層 流れに平行な平板まわりの境界層(層流・乱流、速度分布)について説明できる。
6週 粘性流体の流れ:噴流、後流 噴流および後流について説明できる。
7週 演習問題による復習 第1週~第6週までの復習問題
8週 中間試験
4thQ
9週 答案返却
圧縮性流体の導入
非圧縮性流体と圧縮性流体の違いを説明できる。
10週 圧縮性流体:音速、マッハ数、亜音速・超音速 音速を計算できる。マッハ数を説明でき、計算できる。亜音速・超音速を説明できる。
11週 圧縮性流体:一次元圧縮性流れの基礎方程式(連続の式、運動方程式、運動量式、エネルギー式) 一次元圧縮性流れの基礎方程式(連続の式、運動方程式、運動量式、エネルギー式)の導出を説明できる。
12週 圧縮性流体:一次元等エントロピー流れ、ラバルノズル 一次元等エントロピー流れについてマッハ数との関係を説明できる。ラバルノズルを図示でき、超音速に加速できる理由を説明できる。
13週 圧縮性流体:衝撃波 衝撃波前後での物理量をマッハ数を用いて説明できる。
14週 演習問題による復習 第9週~第13週までの復習問題
15週 定期試験
16週 答案返却
後期学習内容のポイント整理
後期学習内容での重要点を整理し、説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4前1
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4前1
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4前2
定常流と非定常流の違いを説明できる。4前3
流線と流管の定義を説明できる。4前3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4前5
オイラーの運動方程式を説明できる。4前4
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4前4
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4前12
層流と乱流の違いを説明できる。4前13
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4前13
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4前12

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000