電子情報システム工学実験実習Ⅰ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電子情報システム工学実験実習Ⅰ
科目番号 0037 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 生産デザイン工学科(情報システムコース) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 実験テキスト(担当教員作成)
担当教員 白濵 成希,吉野 慶一,中島 レイ,松久保 潤,福田 龍樹,才田 聡子,今地 大武

到達目標

1. 電気回路 ,電子回路 ,情報処理に関する実験に必要な装置 ,回路 ,ハードウェア ,ソフトウェアなどの動作原理について理解できる.(C)①②③, (D)①②
2. 電圧計 ,電流計 ,デジタルマルチメーター ,オシロスコープなどの計測機器の使用方法を理解し ,適切にデータを取得することができる.(C)①②③, (D)①②
3. ブレッドボード ,電源電圧 ,ジャンパーピン ,抵抗 ,コンデンサ ,トランジスタ ,ダイオード ,IC ,マイコンボードなどを利用して実験に必要な回路を組むことができる.(C)①②③, (D)①②
4. プログラムを作成し適切に実験を行うことができる.(C)①②③, (D)①②
5. レポートの作成・指導・提出という一連の流れを通して ,データの整理・分析と視覚化 ,技術文章表現について学び技術に関する報告書を作成することができる.(C)①④, (D)③
6. 工場見学を通して社会人や技術者として必要な一般常識や礼儀,マナーについて考えることができる.(F)②③, (G)①②

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
実験の取り組み実験に必要な知識を有し,教員の助言なしに自分だけで実験を遂行できる.実験に必要な知識を有し,教員の助言があれば自分だけで実験を遂行できる.実験に必要な知識を有しておらず,教員が中心にならないと実験ができない.
実験内容の理解実験の背景にある原理原則を理解し,実験の目的を説明できる.実験の目的を理解し,実験の目的を説明できる.実験の背景にある原理原則を理解しておらず,実験の目的が説明できない.
レポート作成,データ処理レポート作成に必要なデータ処理に加え,読む立場を考えたレポートを作成できる.レポート作成に必要なデータ処理を行い,体裁の整ったレポートが作成できる.レポート作成やそれに必要なデータ処理を行えない.
実験機器,計測機器の扱い実験機器や計測機器を教員の助言なしに自分だけで扱える.実験機器や計測機器を教員の助言があれば扱える.実験機器や計測機器を教員の操作なしで扱えない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 (C)① 実験や実習を通じて、問題解決の実践的な経験を積む。
準学士課程の教育目標 (C)② 機器類(装置・計測器・コンピュータなど)を用いて、データを収集し、処理できる。
準学士課程の教育目標 (C)③ 実験結果から適切な図や表を作り、専門工学基礎知識をもとにその内容を考察することができる。
準学士課程の教育目標 (C)④ 実験や実習について、方法・結果・考察をまとめ、報告できる。
準学士課程の教育目標 (D)① 専門工学の基礎に関する知識と基礎技術を統合し、活用できる。
準学士課程の教育目標 (D)② 工学知識や技術を用いて、課題解決のための調査や実験を計画し、遂行できる。
準学士課程の教育目標 (D)③ 工学知識や技術を用いて、課題解決のための結果の整理・分析・考察・報告ができる。
準学士課程の教育目標 (E)② 日本語で論理的に記述し、報告・討論できる。
準学士課程の教育目標 (F)② 工業技術と社会・環境との関わりを考えることができる。
準学士課程の教育目標 (F)③ 技術者としての役割と責任を認識できる。
準学士課程の教育目標 (G)① 健やかな心身を持ち、社会性、協調性を身に付ける。
準学士課程の教育目標 (G)② 社会人として、技術者として必要な素養、一般常識や礼儀、マナーについて考えることができる。

教育方法等

概要:
電気・電子回路で用いられる回路要素の特性を理解し,その取扱いと応用について学ぶことを目的とする.併せて,基本的な測定器の取り扱い,実験についての手法を学ぶ.
情報処理に関する実験を通して専門科目に対する理解を深める.
授業の進め方・方法:
7-8班に分かれ,毎週ローテンションで各実験に取り組む.各実験は予習事項の確認・実験・まとめという順に行われる.工場見学を実施する.
注意点:
事前に指示された項目および課題を予習しておくことが実験着手の必須条件である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション、オームの法則 実験の進め方について理解する,電気回路における電位の概念を理解する.抵抗に加わる電圧と流れる電流の関係を調べ,オームの法則を理解する.直流安定化電源,デジタルマルチメータの使い方を習得する.
2週 レポート作成 レポートの構成,様式,図表,有効数字,考察などレポート作成の基礎について理解する.
3週 キルヒホッフの法則 電気回路で学んだキルヒホッフの法則を実験によって確認し,その理解を深める.
4週 レポート指導 前週の実験について担当教員の指導を繰り返しながら、この日までにレポートを完成させる.
5週 重ねの定理 回路の電圧,電流を測定して定理を実験により深く理解する.
6週 レポート指導 前週の実験について担当教員の指導を繰り返しながら,この日までにレポートを完成させる。
7週 定電圧源と定電流源 直流電源の特性と内部抵抗の関係を理解する.
8週 レポート指導 前週の実験について担当教員の指導を繰り返しながら,この日までにレポートを完成させる.
2ndQ
9週 ホイートストンブリッジ回路 ホイートストンブリッジ回路について測定を行い,原理を理解する.
10週 レポート指導 前週の実験について担当教員の指導を繰り返しながら,この日までにレポートを完成させる.
11週 加算器 2bit以上のデータに対する加算を実現するため,全加算器の仕組みを確認し、論理ゲートの数を減らしながら全加算器を実装する.
12週 レジスタ(1bit CPU) CPUが実装すべき命令のうち転送命令,演算命令の実装について理解を深める.
13週 Raspberry Pi基本演習 電子工作との親和性が高い教育用コンピュータであるRaspberry Piのセットアップを通してハードウェア構成を学ぶとともにLinux系OSであるRaspbianの操作に習熟する。
14週 2次方程式の解の計算 2次方程式について,判別式による場合分けと、公式により解を求めるプログラムを作成する.
15週 実験予備日またはレポート整理 止むを得ない理由で欠席した学生を対象にした実験予備日,未提出レポートのある学生はこの日までに提出する.
16週 実験予備日またはレポート整理 止むを得ない理由で欠席した学生を対象にした実験予備日,未提出レポートのある学生はこの日までに提出する.
後期
3rdQ
1週 オリエンテーション、オシロスコープ演習 前期の取り組みに関する改善点について考え,よりよい実験の取り組みについて理解できる.
オシロスコープの扱い方に習熟する.
2週 レポート指導 前週の実験について担当教員の指導を繰り返しながら,この日までにレポートを完成させる.
3週 交流回路の周波数特性 交流回路要素の周波数特性について実験を通して理解を深める.
4週 レポート指導 前週の実験について担当教員の指導を繰り返しながら,この日までにレポートを完成させる.
5週 RC回路の周波数特性 RC回路の周波数特性について実験を通して理解を深める.
6週 レポート指導 前週の実験について担当教員の指導を繰り返しながら,この日までにレポートを完成させる.
7週 工場見学 工場を見学し、創意工夫にふれ実際の生産現場に置ける心構えについて学ぶ.
8週 ダイオードの特性と整流回路・波形整形 ダイオードによる整流回路や波形整形回路の動作の測定を通して,ダイオードを用いた回路について理解を深める.
4thQ
9週 オペアンプ オペアンプの原理を理解し、増幅回路を作成して利得を計測できる。
10週 コンピュータ設計演習1 CPU内の各装置を動作させ、前期のシステムプログラミングで学んだコンピュータの動作原理を復習する。
11週 コンピュータ設計演習2 前期のシステムプログラミングで学んだ真理値表とカルノー図を使って論理回路を設計し、デコーダによって機械語からCPU内部の動作を制御する信号に変換できることを確認する。
12週 Raspberry Piを用いた入出力演習 ブレッドボード、ジャンパーワイヤー、抵抗、LED、タクトスイッチを用いた入出力を行い、電気・電子回路、プログラム制御について理解を深める。
13週 Androidアプリ作成 開発環境の基本操作とアプリ作成の基礎を理解し、要求仕様に従ってアプリを作成できる。
14週 レポート指導 レポート未提出実験について担当教員の指導を繰り返しながら、この日までにレポートを完成させる。
15週 実験予備日またはレポート整理 止むを得ない理由で欠席した学生を対象にした実験予備日、未提出レポートのある学生はこの日までに提出する。
16週 実験予備日またはレポート整理 止むを得ない理由で欠席した学生を対象にした実験予備日、未提出レポートのある学生はこの日までに提出する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3
安全を確保して、実験を行うことができる。3
実験報告書を決められた形式で作成できる。3
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。3
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。3
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。3
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。3
キルヒホッフの法則を適用し、実験結果を考察できる。3後11
分流・分圧の関係を適用し、実験結果を考察できる。3
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。2
重ねの理を適用し、実験結果を考察できる。2
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。2
共振について、実験結果を考察できる。1
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。3
論理回路の動作について実験結果を考察できる。3
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。2
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。2
ディジタルICの使用方法を習得する。2
情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。3
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。3
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。3
フローチャートなどを用いて、作成するプログラムの設計図を作成することができる。3
問題を解決するために、与えられたアルゴリズムを用いてソースプログラムを記述し、得られた実行結果を確認できる。3
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。3後11,後12
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。3後11,後12
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。3後11,後12
標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。3
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。3
要求仕様に従って標準的な手法によりプログラムを設計し、適切な実行結果を得ることができる。3

評価割合

レポート合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00