到達目標
1. 有機化合物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明でき、それらの化合物についてIUPACの命名法に基づき名前と構造の相互変換ができる。
2. 混成軌道に基づく結合様式の種類や分子の構造について説明できる。
3. 誘起効果を理解し、結合の分極を予測できる。
4. 有機化合物の異性体を理解し、構造式で記述できる。
5. ルイス構造を書くことができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | IUPACの命名法に基づき、授業で学習していない有機化合物の名前と構造の相互変換ができる。 | IUPACの命名法に基づき、学習した有機化合物の名前と構造の相互変換ができる。 | 有機化合物の名前と構造の相互変換ができない。 |
評価項目2 | 混成軌道に基づく結合様式や分子の三次元的構造について説明できる。 | 混成軌道について説明できる。 | 混成軌道に基づく結合様式や分子の構造について説明できない。 |
評価項目3 | 結合の分極について説明でき、さらに分極を用いて物質の物理的、化学的性質を説明できる。 | 結合の分極を予測できる。 | 結合の分極について説明できない。 |
評価項目4 | 指定された有機化合物群の中から異性体の関係にあるものを判別できかつ、任意の有機化合物の異性体の構造式を記述できる。 | 指定された有機化合物群の中から異性体の関係にあるものを判別できる。 | 指定された有機化合物群の中から異性体の関係にあるものを判別できない。 |
評価項目5 | ルイス構造式を書くことができ、共鳴についても説明できる。 | ルイス構造式を書くことができる。 | ルイス構造式を書くことができない。 |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程の教育目標 A① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 A② 自主的・継続的な学習を通じて、基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
教育方法等
概要:
プラスチック、医薬・農薬、香料、燃料等として利用され、また生命科学の現象を理解するための基礎となる有機化合物の構造とその性質・反応について、「有機化学 II〜Ⅳ」と合わせて系統的に学ぶ。前半では有機化合物の基本構造と IUPAC名および有機化学を学ぶ上で必要な化学結合、分極、混成軌道の概念を中心に講義する。後半は、共鳴の概念について学び、立体構造や電子の存在位置から、既知の有機化合物の化学的・物理的性質を説明、あるいは未知・新規の有機化合物の性質を予想するための基本的手段について講義する。
授業の進め方・方法:
内容の理解を深め、理解度を自己評価させるために、授業中に演習・小テスト (確認テスト) を実施する。また、自学を促すための課題(レポート)を出し提出を求める。WebClass上に講義資料、自習問題や演習解答等を置くので自学自習の助けにして欲しい。
注意点:
基本的に放課後はいつでも質問を受け付けます。授業中の質問も歓迎します。講義資料を多数配布するのでバインダを用意すると良い。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、有機化合物の特徴、身近な有機化合物 |
有機化合物の特徴を説明できる。身近に存在する有機化合物の構造式と名称を記載でき、その性質について説明できる。
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2週 |
官能基 |
官能基の名称と構造の相互変換ができる。
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3週 |
原子構造、原子軌道と電子配置 |
原子の構造について説明できる。基底状態の電子配置について記載することができる。
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4週 |
化学結合 |
共有結合、イオン結合、金属結合、配位結合の違いを説明できる。四面体炭素原子や共有結合の表示方法を把握し、ルイス構造式や線結合構造式で分子を書くことができる。
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5週 |
混成軌道(1) |
基底状態の電子配置から、共有結合形成のための軌道の混成について説明できる。
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6週 |
混成軌道(2)、σ結合とπ結合 |
混成軌道の成り立ちによる有機化合物の三次元構造の違いを説明できる。σ結合、π結合について説明できる。
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7週 |
極性共有結合と誘起効果 |
共有結合の極性について、極性の原因を説明でき、その方向、表示をすることができる。誘起効果について説明できる。
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8週 |
酸と塩基(1) |
酸と塩基の概念について説明することができる。任意の化合物について酸および塩基としての強さを分極および共鳴の概念を用いて説明することができる。
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2ndQ |
9週 |
酸と塩基(2) |
ルイスの酸塩基の定義について説明できる。
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10週 |
アルカン(1) 構造と異性体 |
アルカンの異性体について理解し区別できる。
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11週 |
アルカン(2)IUPAC命名法 |
IUPAC命名法に従って、構造と構造式の相互変換ができる。アルカンのIUPAC名と構造式の相互変換ができる。異性体について説明することができる。
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12週 |
アルカン(3)アルカンの性質立体配座 |
アルカンの三次元構造を構造式のくさび形表記、Newman投影図を用いて記載できる。
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13週 |
シクロアルカン(1) |
シクロアルカンの物理的・化学的性質について説明できる。シクロアルカンのIUPAC名と構造式の相互変換ができる。異性体について説明することができる。
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14週 |
シクロアルカン(2) |
シクロアルカンの三次元構造を構造式のくさび形表記、Newman投影図を用いて記載できる。
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15週 |
演習 |
復習や演習により、理解を深めることができる。
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16週 |
前期末定期試験 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 3 | |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 3 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 2 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 2 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 2 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 2 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 2 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 3 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 1 | |
評価割合
| 前期中間試験 | 前期末定期試験 | 小テスト | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 0 | 50 | 20 | 30 | 100 |
専門的能力 | 0 | 50 | 20 | 30 | 100 |