電子回路学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電子回路学
科目番号 HI1302 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 人間情報システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 使用教材:家村道雄,小山善文,帆足孝文,中原正俊,坂井栄治,奥高洋,西嶋仁浩「入門電子回路アナログ編」オーム社, 参考書:森本義廣,村上純,中野光臣「よくわかる電気・電子回路計算の基礎」日本理工出版会
担当教員 大田 一郎

到達目標

各種トランジスタの動作原理を理解するために半導体の基礎を理解できる.バイポーラトランジスタならびに各種FET等の能動素子の基本特性を理解し説明できる.信号増幅の意味を理解し、エミッタ接地トランジスタ増幅回路の働きを説明できる.周波数特性は,コンデンサと抵抗によって決まることを理解できる.差動増幅器を含むIC化されたオペアンプ回路を理解し概説できる.エミッタフォロア回路は,入出力インピーダンスの大きさを変換することを理解し概説できる.負帰還回路の働きを学ぶとともに,負帰還増幅回路が周波数特性や雑音特性に優れていることを理解し概説できる.CMOSの特性を理解し,論理回路を構成できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
半導体の基礎トランジスタを理解するために半導体の基礎を理解し説明できる.トランジスタを理解するために半導体の基礎を理解し概説できる.トランジスタを理解するために半導体の基礎を理解できない.
ダイオードの特性と応用回路ダイオードの特性を理解し説明できる. 整流、LEDなど応用回路について説明できる.ダイオードの特性を理解し説明できる. 整流、LEDなど応用回路について概説できる.ダイオードの特性を理解できない.
トランジスタの動作原理 トランジスタの接地方式 トランジスタの静特性と動特性トランジスタの基本性能と静特性,動特性を理解し説明できる.トランジスタの基本性能と静特性,動特性を理解し概説できる.トランジスタの基本性能と静特性,動特性を理解できない.
バイアス回路 hパラメータおよび等価回路 CR結合増幅回路 入出力特性と周波数特性 基本的なエミッタ接地トランジスタ増幅回路の働きを理解し説明できる. 周波数特性は,コンデンサと抵抗によって決まることを理解し説明できる.基本的なエミッタ接地トランジスタ増幅回路の働きを理解し概説できる. 周波数特性は,コンデンサと抵抗によって決まることを理解し概説できる.基本的なエミッタ接地トランジスタ増幅回路の働きを理解できない. 周波数特性は,コンデンサと抵抗によって決まることを理解できない.
差動増幅回路 演算増幅器 差動増幅器を含むIC化されたオペアンプ回路を理解し説明できる.差動増幅器を含むIC化されたオペアンプ回路を理解し概説できる.差動増幅器を含むIC化されたオペアンプ回路を理解できない.
負帰還増幅回路エミッタフォロア回路は,入出力インピーダンスの大きさを変換することを理解し説明できる. 負帰還回路の働きを説明でき,負帰還増幅回路が周波数特性や雑音特性に優れていることを理解し説明できる.エミッタフォロア回路は,入出力インピーダンスの大きさを変換することを理解し概説できる. 負帰還回路の働きを学び、その利点等を概説できる.エミッタフォロア回路は,入出力インピーダンスの大きさを変換することを理解できない. 負帰還回路の働きと、その利点を理解できない.
MOSFETの原理 CMOSによる論理回路CMOSの特性を理解し,論理回路を構成し説明できる.CMOSの特性を理解し,論理回路を構成できる.CMOSの特性を理解できず,論理回路を構成できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子回路では,電気回路の知識を基礎としてトランジスタによる増幅作用の概念を学ぶ.トランジスタを構成する半導体の特性を理解し,トランジスタの基礎について学習する.トランジスタによる基本的な増幅回路について動作原理を学び、等価回路等によって回路の計算を行い、増幅度等を得ることを学ぶ.オペアンプ,帰還回路の基本事項を理解する.デジタル回路につながるCMOSの基本特性とこれによる論理回路の構成についても学習する。
授業の進め方・方法:
本科目は、スライド資料を中心に講義を進め、教科書の図表や問題を用いた演習を行う.シラバスから分かるように授業の進行は、教科書の項目の順序ではないことに注意する.
ダイオード、トランジスタの基本動作の理解からスタートし、バイポーラトランジスタを用いた交流電圧増幅回路についてやや詳しく学習する。
また、実用上重要な演算増幅器の基本を学習し、これを用いた増幅回路を説明できるようになる。最後にデジタル回路につながるCMOSの基本特性とこれによる論理回路の構成について学習する。
中間試験、定期試験の他に演習に関連した知識確認の小テストを実施する.
注意点:
主としてハードウェア技術に直結するが,ソフトウェア技術・コンピュータ技術等のバックボーンとして電子回路の基本を身に付けることが望まれる.
規定授業時数は60時間である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,電気回路の復習 電圧・電流の制御、信号増幅の意味を理解し説明できる。電気回路の基礎であるキルヒホッフの電圧則・電流則を適用して簡単な計算ができる.
2週 半導体の基礎 半導体の基礎を理解し概説できる.
3週 ダイオードの特性 pn接合の特性を理解し説明できる.
4週 ダイオードの応用回路 LEDの点灯回路、整流回路等、ダイオードの応用回路について動作を説明できる.
5週 各種トランジスタの動作原理と基礎特性 バイポーラトランジスタの動作原理を理解し概説できる.
6週 各種トランジスタの動作原理と基礎特性 接合型FETとMOSFETの動作原理を理解し概説できる.
7週 トランジスタの静特性と接地方式 バイポーラトランジスタの静特性を理解し概説できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 トランジスタの増幅作用 トランジスタのエミッタ接地回路において直流負荷線を理解し説明できる.
10週 トランジスタによる電圧増幅 トランジスタのエミッタ接地回路において直流負荷線を利用して、電流増幅と電圧増幅の関係を説明できる.
11週 トランジスタによる電圧増幅 直流負荷線を用いて、動作点、交流信号増幅の説明ができる.
12週 バイアス回路 バイアス回路について理解し概説できる.
13週 バイアス回路 電流帰還バイアス回路を理解し、回路計算ができる.
14週 hパラメータおよび等価回路 hパラメータについて理解し、交流等価回路を作成できる.
15週 定期試験
16週 答案返却
後期
3rdQ
1週 CR結合増幅回路 CR結合増幅回路について理解し概説できる.
2週 CR結合増幅回路 CR結合増幅回路についてhパラメータを用いた交流等価回路を作成し、回路計算できる.
3週 入出力特性と周波数特性 入出力特性と周波数特性について理解し概説できる.
4週 差動増幅回路と演算増幅器 差動増幅回路の基礎と演算増幅器の特性について理解し概説できる.
5週 演算増幅器 反転増幅器等の基本回路を構成し計算できる.
6週 演算増幅器 反転増幅器等の基本回路を構成し計算できる.
7週 負帰還増幅回路の原理 負帰還増幅回路の原理を理解し概説できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 エミッタホロワ回路 エミッタホロワ回路の回路計算を理解し説明できる.
10週 接合型FET 接合型FETの特徴について理解し概説できる.
11週 MOS FET MOSFETの特徴について理解し概説できる.
12週 FETを用いた回路 接合型FET、MOSFETの接地方式ならびに基本的な増幅回路について理解し概説できる.
13週 CMOSの原理 CMOSの原理を理解し、その特徴を概説できる.
14週 CMOSを用いた論理回路 CMOSを用いたNAND, NOR等の論理回路の動作原理を説明できる.
15週 定期試験
16週 答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前3
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。5前6,前7,前13,前14,後1,後2
FETの特徴と等価回路を説明できる。1後12,後13,後14
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。4前9,前10,後3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4前11,前12
演算増幅器の特性を説明できる。4後4,後5,後6
電子工学真性半導体と不純物半導体を説明できる。2前3
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。2前3
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3前4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4前5,前6,前7
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。1後12
情報系分野その他の学習内容オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。3前1
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。4前2,前4,前5,前6,前7

評価割合

試験(中間・定期)小テスト合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000