概要:
本科目ではソフトウェア,ハードウェア,ヒューマンの3分野のそれぞれについて実験を行う.
1. ソフトウェア実験では,プログラミングⅠ・プログラミングⅡで習得した知識を実践的に活用し,より複雑なアルゴリズムも理解できるようになることを目的とする.
2. ハードウェア実験では,3年生の専門教科として学ぶ電気回路・電子回路や,2年生までの教科として学んだ計算機工学に関連して,それらの授業で習得する知識を実験により検証し,より理解を深めることを目的とする.
3. ヒューマン実験では,ヒューマン情報技術に必要となるCG制作技術,人間の聴覚特性,福祉工学技術について理解することを目的とする.
授業の進め方・方法:
クラスを4つの班に分け,班毎に割り振られた授業項目を同時進行で実施する.
1. 各授業項目について,最初に説明時間を設けた後、各自実験を行う.
2. 説明は配布プリント等を基に行う.
3. 実験中は担当教員が適宜巡回し,質問に対応する.
4. 不明な点などについては積極的・自発的に質問させる.
5. 実験終了後,レポートを提出させて評価する.
注意点:
実験の目的は,座学で習った理論を頭で理解するだけでなく実際に自分で動かして理解することである.また,種々の課題を理解し,解き,報告書にまとめるという工学的な問題解決の流れを体得する科目でもある.実験科目は3年から卒業まで継続的に行われるので,3年生の実験においてしっかりと基礎を固めて欲しい.評価は,ソフトウェア実験(35%),ハードウェア実験(35%),ヒューマン系実験(30%)の総合点により算出する.ただし,分野別の評点が分野別満点の60%を下回るものが一つでもあった場合は,不合格とする.本科目は3単位科目であり規定授業時数は90時間である.
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンスおよび実験環境整備 |
実験の基本事項(実験時の注意点・レポート作成時の注意点等)を理解する.また,実験を進めるうえで必要な計算機使用環境を整える.
|
2週 |
(ソフト)テクニカル・ライティング |
実験でレポートを書く意義を理解できる.引用と転載について理解できる. 文書作成ソフトや作図ツールを用いて整ったレポートを作成できる.
|
3週 |
(ソフト)関数(1) |
適切な仕様に基づく関数を実装できる.
|
4週 |
(ソフト)関数(2) |
適切な仕様に基づく関数を実装できる.
|
5週 |
(ソフト)音信号処理(1) |
音の三要素(音量、音高、音色)と周期波形の振幅・周波数との関係を理解できる.プログラムで複数の音色・音量・音高の波形を生成し、楽曲の旋律を生成するプログラムを実装できる.
|
6週 |
(ソフト)音信号処理(2) |
音の三要素(音量、音高、音色)と周期波形の振幅・周波数との関係を理解できる.プログラムで複数の音色・音量・音高の波形を生成し、楽曲の旋律を生成するプログラムを実装できる.
|
7週 |
(ソフト)Androidアプリケーションの開発(1) |
Androidタブレットの各種センサ値を利用したアプリケーションを実装できる.
|
8週 |
(ソフト)Androidアプリケーションの開発(2) |
Androidタブレットの各種センサ値を利用したアプリケーションを実装できる.
|
2ndQ |
9週 |
(ソフト)GUIアプリケーション開発(1) |
GUIの基本的なコンポーネントを用いたアプリケーションを実装できる.
|
10週 |
(ソフト)GUIアプリケーション開発(2) |
GUIの基本的なコンポーネントを用いたアプリケーションを実装できる.
|
11週 |
(ソフト)GUIアプリケーション開発(3) |
CUIアプリケーションをGUIアプリケーション化できる.
|
12週 |
(ハード)回路製作・測定の基礎(1) |
実験書の回路図に従い,実験機材を用いて回路の製作および測定することができる。各実験機材の使用方法を理解し測定できる.
|
13週 |
(ハード)回路製作・測定の基礎(2) |
直流回路を組み立て,キルヒホッフの法則に基づく現象を測定できる.
|
14週 |
(ハード)単相交流の電力・力率の測定 |
交流回路における電力,力率を測定し現象を説明できる.
|
15週 |
報告書の作成 |
各実験の報告書を適切にまとめられる.
|
16週 |
報告書の作成 |
各実験の報告書を適切にまとめられる.
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
(ハード)トランジスタの静特性・増幅器の設計,製作(1) |
トランジスタの静特性を測定することができる.
|
2週 |
(ハード)トランジスタの静特性・増幅器の設計,製作(2) |
トランジスタ増幅回路の設計,製作ができる.
|
3週 |
(ハード)トランジスタの静特性・増幅器の設計,製作(3) |
トランジスタ増幅回路の入出力特性・周波数特性を測定できる.
|
4週 |
(ハード)OPアンプ |
OPアンプの入出力特性・周波数特性を測定できる.
|
5週 |
(ハード)論理回路(1) |
論理式を簡単化し,組み合わせ回路を実装できる.
|
6週 |
(ハード)論理回路(2) |
論理式を簡単化し,組み合わせ回路を実装できる.
|
7週 |
(ハード)論理回路(3) |
順序回路を設計,実装できる.
|
8週 |
(ヒューマン)音響 |
測定器具を用いて音の物理的な音響特性を測定できる.また音源方向に関する人の耳の知覚特性を測定できる.
|
4thQ |
9週 |
(ヒューマン)福祉 |
高齢者・身体障害者の身体特性を体感する装置を用い,移動する際の健常者との違いを説明できる.
|
10週 |
(ヒューマン)ナチュラルユーザインタフェース(1) |
Leap Motionセンサを用い,人の指の座標をリアルタイムに取得するプログラムを実装できる.
|
11週 |
(ヒューマン)ナチュラルユーザインタフェース(2) |
Leap Motionセンサを用い,人の指の座標をリアルタイムに取得するプログラムを実装できる.
|
12週 |
(ヒューマン)画像処理とコンピュータビジョンの基礎(1) |
Processing言語を用いて静止画の色変換,座標変換を行うことができる.
|
13週 |
(ヒューマン)画像処理とコンピュータビジョンの基礎(2) |
Processing言語を用いて動画像をリアルタイムに取得することができる.
|
14週 |
(ヒューマン)画像処理とコンピュータビジョンの基礎(3) |
Processing言語を用いて動画像から特定の色領域をリアルタイムに抽出することができる.
|
15週 |
報告書の作成 |
各実験の報告書を適切にまとめられる.
|
16週 |
報告書の作成 |
各実験の報告書を適切にまとめられる.
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 角を弧度法で表現することができる。 | 3 | |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 3 | |
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | |
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。 | 3 | |
一般角の三角関数の値を求めることができる。 | 3 | |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 2 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 2 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 2 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 2 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 2 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 2 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 2 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 2 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 2 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 2 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 2 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | プログラミング | 与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。 | 3 | |
ソフトウェア生成に必要なツールを使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。 | 3 | |
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。 | 3 | |
計算機工学 | 基本的な論理演算を行うことができる。 | 4 | |
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。 | 4 | |
論理式の簡単化の概念を説明できる。 | 4 | |
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。 | 4 | |
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。 | 4 | |
組合せ論理回路を設計することができる。 | 4 | |
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。 | 3 | |
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。 | 3 | |
与えられた順序回路の機能を説明することができる。 | 3 | |
順序回路を設計することができる。 | 3 | |
その他の学習内容 | オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。 | 3 | |
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。 | 3 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 情報系分野【実験・実習能力】 | 情報系【実験・実習】 | 与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。 | 3 | |
ソフトウェア生成に利用される標準的なツールや環境を使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。 | 3 | |
ソフトウェア開発の現場において標準的とされるツールを使い、生成したロードモジュールの動作を確認できる。 | 3 | |
フローチャートなどを用いて、作成するプログラムの設計図を作成することができる。 | 3 | |
問題を解決するために、与えられたアルゴリズムを用いてソースプログラムを記述し、得られた実行結果を確認できる。 | 3 | |
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。 | 4 | |
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。 | 4 | |
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。 | 4 | |
標準的な開発ツールを用いてプログラミングするための開発環境構築ができる。 | 4 | |
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。 | 4 | |
要求仕様に従って標準的な手法によりプログラムを設計し、適切な実行結果を得ることができる。 | 4 | |