科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 化学
科目番号 0017 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 化学基礎(数研)/フォトサイエンス化学図録,リードライト化学基礎
担当教員 上土井 幸喜

到達目標

1. 物質の分類のしかたと目的とする物質を取り出す方法を理解し説明できる。
2. 原子の構造と元素の分類方法について理解し説明できる。
3. 原子・分子・イオンについて理解し,化学結合のしくみとその性質について説明できる。
4. 原子・分子・イオンの量について考えるための方法と,これらの粒子が組み換わる化学反応の表し方につ
いて理解し,計算ができる。
5. 酸と塩基の性質と中和反応について理解し,計算できる。
6. 酸化・還元反応について概念を理解し,計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 物質の分類のしかた,目的とする物質を取り出す方法の理解 物質の分類のしかた,目的とする物質を取り出す方法が十分に理解できている物質の分類のしかた,目的とする物質を取り出す方法がある程度が理解できている物質の分類のしかた,目的とする物質を取り出す方法が理解できていない
評価項目2 原子の構造と,元素の分類方法の理解 原子の構造と,元素の分類方法が十分理解できている原子の構造と,元素の分類方法がある程度理解できている原子の構造と,元素の分類方法が理解できていない
評価項目3 物質が,原子・分子・イオンといった粒子が更に化学結合をすることによって成り立っていること,この様々な化学結合の理解 物質が,原子・分子・イオンといった粒子が更に化学結合をすることによって成り立っていること,この様々な化学結合について十分理解できている物質が,原子・分子・イオンといった粒子が更に化学結合をすることによって成り立っていること,この様々な化学結合についてある程度理解できている様々な化学結合について理解できていない
評価項目4 原子・分子・イオンの量について考えるための方法と,これらの粒子が組み換わる化学反応の表し方の理解原子・分子・イオンの量について考えるための方法と,これらの粒子が組み換わる化学反応の表し方が十分理解できている原子・分子・イオンの量について考えるための方法と,これらの粒子が組み換わる化学反応の表し方がある程度理解できている原子・分子・イオンの量について考えるための方法と,これらの粒子が組み換わる化学反応の表し方が理解できていない
評価項目5 酸・塩基の性質と中和反応についての理解酸・塩基の性質と中和反応について十分理解できている酸・塩基の性質と中和反応についてある程度理解できている酸・塩基の性質と中和反応について理解できていない
評価項目6 酸化還元反応について,電子の授受に基づいた理解酸化還元反応について,電子の授受に基づいた理解が十分できていている酸化還元反応について,電子の授受に基づいてある程度理解できている酸化還元反応について,電子の授受に基づいた理解ができていない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 3-4 説明 閉じる

教育方法等

概要:
身の回りには様々な物質がある。その物質の構成や性質,変化を調べるのが化学である。まず,物質を分類し物質の成り立ちについて理解を深める。次に原子の構造を理解し,各元素の分類方法について学ぶ。また,物質は,原子・分子・イオンという小さな粒子からできていることを学習し,それらが結合して物質になるときの化学結合のしくみと性質について学ぶ。次に,原子・分子の質量を簡単に表す方法(物質量)および化学反応における量的関係について学ぶ。ここまで学習した後,酸・塩基の基本的な性質や,これらの中和反応について学ぶ。最後に,物質の燃焼,金属の酸への溶解,電池や電気分解などの身のまわりで起こる酸化・還元反応について電子の授受に基づいて説明できることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
教科書を中心に授業を進め,必要に応じて問題演習や演示実験を行う。化学を勉強することにより,つくり出されたさまざまな物質についての理解を深め,普段見慣れている物質や現象についてどうなっているのか,化学的な見方ができることを目標とする。

注意点:
*4回の定期試験の結果を90%,課題レポート等の結果を10%で評価する。
*合格点に満たない者には,再試験を実施することがある。
教科書,問題集,参考書を十分に活用する。予習・復習と問題演習を繰り返していく。
〇自学について
(事前学習)
授業計画の授業内容および到達目標を確認の上,教科書の該当箇所に目を通しておくこと。
(事後学習)
教科書から要点をノートに整理してまとめる等によって,内容の深い理解に努めること。
配布プリントや教科書の演習問題に取り組むことで,実践力を養うこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 [人間生活の中の化学]化学とその役割 代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。
2週 [物質の探求、純物質と混合物]化合物と元素、物質の三態 単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。純物質と混合物の区別が説明できる。混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。水の状態変化が説明できる。物質の三態とその状態変化を説明できる。ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。
3週 [原子の構造と元素の周期表]原子の構造 原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。同位体について説明できる。放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。
4週 [原子の構造と元素の周期表]元素の周期律と元素の性質 原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。価電子の働きについて説明できる。
5週 [化学結合]イオン結合、共有結合 原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。イオン結合、共有結合について説明できる。
6週 [化学結合]金属結合 原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。
7週 [化学結合]化学結合の物質の分類・用途 金属の性質を説明できる。
8週 〔前期中間試験〕 これまでの内容を理解し説明できる。
到達度の確認を行う。
2ndQ
9週 中間試験の返却と解説
[物質量と化学反応式]原子量・分子量・式量
原子の相対質量が説明できる。天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。
10週 [物質量と化学反応式]物質量1 アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。
11週 [物質量と化学反応式]物質量2 分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。
12週 溶液の濃度 電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。
13週 [化学反応式と量的関係]1 気体の体積と物質量の関係を説明できる。
14週 [化学反応式と量的関係]2 化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。
15週 [前期定期試験] これまでの内容を理解し説明できる。
16週 試験返却と解説、まとめ
答案の返却を行い解説する。
後期
3rdQ
1週 [酸と塩基]酸と塩基 酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。
2週 [酸と塩基]酸と塩基 電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。
3週 [酸と塩基]水素イオン濃度とpH pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。
4週 [酸と塩基]中和反応と塩の生成1 pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。
5週 [酸と塩基]中和反応と塩の生成2 pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。
6週 [酸と塩基]中和滴定1 pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。
7週 [酸と塩基]中和滴定2 pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。
8週 〔後期中間試験〕 これまでの内容を理解し説明できる。
4thQ
9週 後期中間試験の返却と解説
[酸化還元反応]酸化と還元1
到達度の確認を行う。
酸化還元反応について説明できる。
10週 [酸化還元反応]酸化と還元2 イオン化傾向について説明できる。
11週 [酸化還元反応]酸化剤と還元剤 金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。
12週 [酸化還元反応]金属の酸化還元反応 ダニエル電池についてその反応を説明できる。
13週 [酸化還元反応]酸化と還元、酸化剤と還元剤 鉛蓄電池についてその反応を説明できる。
14週 [酸化還元反応]金属の酸化還元反応 一次、二次電池の種類を説明できる。電気分解反応を説明できる。電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。ファラデーの法則による計算ができる。
15週 [後期定期試験] これまでの内容を理解し説明できる。
16週 試験返却と解説、まとめ 答案の返却を行い解説する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学化学化学と現代の社会課題との関連性について説明できる。3前1
物質が原子からできていることについて説明できる。3前2
単体と化合物について説明できる。3前2
同素体について説明できる。3前2
純物質と混合物の区別について説明できる。3前2
混合物の分離法について理解し、適切な分離法を選択できる。3前2
物質を構成する分子・原子が常に熱運動していることについて説明できる。3前2
水の状態変化について説明できる。3前2
物質の三態とその状態変化について説明できる。3前2
ボイル-シャルルの法則について説明でき、必要な計算ができる。3前2
気体の状態方程式について説明でき、必要な計算ができる。3前2
原子の構造(原子核・電子)や原子番号、質量数について説明できる。3前3
同位体・放射性同位体について説明できる。3前3
原子の電子配置について電子殻を用いて書き表すことができる。3前4
価電子の働きについて説明できる。3前4
イオン化エネルギーと電子親和力について説明できる。3前5
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前5
原子番号と価電子の数との関係について考えることができる。3前5
元素の性質について価電子と周期律から考えることができる。3前3,前4
イオンの化学式とイオンの名称について説明できる。3前5
イオン結合について説明できる。3前5
イオン結晶の性質について説明できる。3前5
共有結合について説明できる。3前5
極性と水素結合について説明できる。3前5
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3
自由電子と金属結合について説明できる。3前6
金属の性質について説明できる。3前5,前7
原子の相対質量と原子量について説明できる。3前9
物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3前9
分子量・式量について説明できる。3前10
気体の体積と物質量の関係について説明できる。3前11
化学反応式について反応物、生成物、係数を理解し、組み立てることができる。3前14
化学反応式を用いて化学量論的な計算ができる。3前15
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3前12
質量パーセント濃度について説明でき、質量パーセント濃度の計算ができる。3前12
モル濃度について説明でき、モル濃度の計算ができる。3前12
酸・塩基の定義(アレニウスの定義、ブレンステッド・ローリーの定義)について説明できる。3後1
酸・塩基の化学式と酸・塩基の価数について説明できる。3後2
電離度と酸・塩基の強弱について説明できる。3後2
pHについて説明でき、pHと水素イオン濃度の計算ができる。3後3,後4,後5,後6,後7
中和反応を化学反応式で表すことができる。3後4,後5,後6,後7
中和滴定の計算ができる。3後7
酸化還元反応について説明できる。3後9
イオン化傾向について説明できる。3後10
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3後11
一次電池についてその反応を説明できる。3
二次電池についてその反応を説明できる。3
電気分解反応について説明できる。3後12
ファラデーの法則による計算ができる。3後13
化学実験化学実験実験器具(電子天秤やガラス器具など)を目的と精度に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬(粉体及び液体)の取扱いができる。3
整理整頓により実験環境を適切に保ち、手順に従って安全に実験ができる。(物理実験と共通)3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷など)を説明できる。3
実験条件やデータなどを正確に記録できる。(物理実験と共通)3
実験結果を表やグラフなどに見やすく整理できる。3
適切な有効数字及び単位を用いて物理量を表すことができる。(物理実験と共通)3
観察・実験結果を座学などで学んだ内容と関連付けて説明できる。(物理実験と共通)3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力3000001040
専門的能力300000030
分野横断的能力300000030