エネルギー変換工学

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 エネルギー変換工学
科目番号 0216 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械知能システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書 ターボ機械-入門編-,ターボ機械協会編および資料配布,教材 流体力学の基礎(1),中林ら,コロナ社,「エネルギー変換工学」西川兼康・長谷川修 理工学社
担当教員 宮本 弘之,山下 徹

到達目標

1.遠心ポンプの作動原理と理論的性能を理解するために角運動量の理論を適用し,すべり現象を理解できる。
2.軸流ポンプの作動原理と理論的な性能を理解するための翼列理論を適用できる。
3.ターボ機械に生じる損失と効率や特性曲線について理解できる。
4.蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラの種類や構造について理解し説明できる。
5.熱計算を行ない,熱効率やボイラ効率などの性能を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1遠心ポンプの作動原理と理論的性能を理解するために角運動量の理論を適用し,すべり現象について十分に理解し,明確に説明することができる。遠心ポンプの作動原理と理論的性能を理解するために角運動量の理論を適用し,すべり現象を理解できる。遠心ポンプの作動原理と理論的性能を理解するための角運動量の理論やすべり現象の理解が不十分で,明確に説明できない。
評価項目2軸流ポンプの作動原理と理論的な性能を理解するための翼列理論を十分に理解し,明確に説明することができる。軸流ポンプの作動原理と理論的な性能を理解するための翼列理論をある程度理解し,多少の不足はあるが説明することができる。軸流ポンプの作動原理と理論的な性能を理解するための翼列理論の理解が不十分で,明確に説明することができない。
評価項目3ターボ機械に生じる損失と効率や特性曲線について十分に理解し,明確に説明することができる。ターボ機械に生じる損失と効率や特性曲線についてある程度理解し,多少の不足はあるが説明することができる。ターボ機械に生じる損失と効率や特性曲線について理解が不十分で,明確に説明することができない。
評価項目4蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラの種類や構造について十分に理解し,明確に説明することができる。蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラの種類や構造についてある程度理解し,多少の不足はあるが説明することができる。蒸気動力プラントの機器構成やシステムの特性およびボイラの種類や構造についての理解が不十分で,明確に説明することができない。
評価項目5熱計算を行なうに必要な知識を有し,熱効率やボイラ効率などを計算する上での手順を的確に提示し,計算することができる。熱計算を行なうに必要な基礎的知識を一部不完全であるが有し,熱効率やボイラ効率などを計算する上で,多少の誤りはあるが手順を提示することができる。熱計算を行なうに必要な知識が不十分で,熱効率やボイラ効率などを計算する上での手順を提示することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 3-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 6-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目は,実際に使われている流体力学と熱力学を基盤としたエネルギー変換機器の特長と性能についての知識習得を目的としている。流体分野では,エネルギー授受に「運動している羽根や翼の作用力を利用する」ターボ形のポンプを中心に取り扱い,熱分野では,燃料の燃焼エネルギーからタービン軸動力までの蒸気動力サイクルを中心に取り扱うことで,熱流体に関連するエネルギー変換機器の効率・性能を定量的に考察し,機器の設計・評価に活かす力を身につけさせる。
この科目は企業で事業用ボイラの設計を担当していた教員が,その経験を活かし,熱機関の種類や特性,設計に必要な知識について講義形式で授業を実施するものである。
授業の進め方・方法:
前後半の2部構成とし,前半は流体機械,後半は蒸気動力をキーワードに講義を行なう。流体機械ではポンプの流体力学的背景(角運動量の理論と翼列理論)と基本的な性能および特性について解説を行ない,後半の蒸気動力では蒸気動力プラントの種類と特性および性能計算としての熱勘定について解説,および他の熱エネルギー変換機器についての解説を行なう。
注意点:
熱・流体エネルギー分野の職種では実務に直結する重要な科目です。職務上での設計力・考察力を身に付けるために,基本的な作動原理,力学的法則と性能の関係,運転上の諸現象と対策などを十分に理解して下さい。また,オフィスアワーなど授業時間外の質問に対応しますので活用して下さい。
講義後は,①配布プリントから要点をノートに整理してまとめる②教科書や図書館に置いてある参考書を読む③問題集の練習問題を解く,等の自学によって,内容の深い理解に努めること。
講義後に,説明された内容を総括し理解を深めること。また,教科書や参考書の演習課題等は,まず自力で取り組むことが大切です。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体機械とは,エネルギ変換・伝達の仕組み 流体機械によるエネルギ変換・伝達の仕組みが理解できる。
2週 ターボ機械の定義・種類・構成要素 ターボ機械の定義・種類・構成を理解できる。
3週 遠心ポンプの流れ(速度線図と角運動量の理論) 遠心ポンプの速度線図が描けて角運動量の理論が適用できる。
4週 軸流ポンプの流れ(翼列理論の応用) 軸流ポンプの速度線図が描けて翼列理論に応用できる。
5週 羽根車内部の損失と効率 羽根車内部の損失要因、および効率との関係が理解できる。
6週 遠心ポンプの特性曲線 遠心ポンプの特性を理解して典型的な特性曲線が描ける。
7週 軸流ポンプの特性曲線 軸流ポンプの特性を理解して典型的な特性曲線が描ける。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 熱エネルギー変換工学の意義と熱機関の歴史,蒸気動力システム 現代のエネルギー事情と熱動力変換の歴史,蒸気動力システムについて説明できる.
10週 蒸気動力プラントとガスタービン 蒸気動力プラントとガスタービンの特徴について熱力学的サイクルの視点から説明できる.
11週 複合発電,コジェネレーション 複合発電の種類および,コジェネレーションの意義について説明できる.
12週 ボイラと燃焼計算 ボイラの種類や構造,特徴について説明できる.基礎的な燃料の燃焼計算ができる.
13週 熱サイクル計算 蒸気表や熱力学第一法則からエンタルピー等の変化量を求め,蒸気動力プラントの出力や熱効率が計算できる.
14週 まとめと補足および課題演習
15週 前期定期試験
16週 前期末試験の返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前13
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4前13
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4前10,前13
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4前10,前13
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4前10
サイクルをT-s線図で表現できる。4前10,前13
電気・電子系分野電力電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00