生物系基礎実験

科目基礎情報

学校 熊本高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 生物系基礎実験
科目番号 0131 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物化学システム工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 担当者作成の実習書を配布
担当教員 弓原 多代,富澤 哲

到達目標

1.□試薬や実験器具を適切に取り扱うことができる.
2.□微生物を観察し大まかな特徴を理解する.
3.□乾熱滅菌,火炎滅菌,オートクレーブによる滅菌操作およびクリーンベンチでの無菌操作ができる.
4.□培地の種類を理解し,調製することができる.
5.□微生物の増殖速度の測定することができる.
6.□タンパク質の性質を理解し,抽出し定量することができる.
7.□実験結果を図表などにわかりやすくまとめ,考察することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
微生物の単離手法の理解自然界から微生物をその対象に応じて単離するためには培地選定と前処理、適度の希釈操作が必要であることを十分理解できる。自然界から微生物をその対象に応じて単離するためには培地の選択が重要であることを理解できる。自然界から微生物をその対象に応じて単離するためには培地の選択がなぜ重要であるかが理解できない。
微生物の取り扱い手法の体得実験台上において微生物を汚染させることなく移植でき、十分な無菌操作法を体得している。クリーンベンチ内において微生物を汚染させることなく移植でき、十分な無菌操作ができる。クリーンベンチ内においても無菌操作ができない。
微生物の分類上に位置づけについての理解微生物のコロニー形状と顕微鏡観察から、細菌、放線菌、カビ、酵母のいずれに該当するかを正しく判定できる。微生物のコロニーの形状と顕微鏡観察から、細菌、カビ、酵母の違いを判断できる。微生物のコロニーの形状と顕微鏡観察からも細菌、カビ、酵母の違いを判断できない。
回分培養における細胞濃度の経時変化についての理解実験データより、微生物の増殖を5つ期に分別し、比増殖速度と世代時間について正しく説明できる。実験データより、微生物の増殖を5つ期に分別でき、それぞれの時期について正しく説明できる。実験データより、微生物の増殖を5つ期に分別でき、それぞれの時期について正しい説明ができない。
卵白よりアルブミン(タンパク質)を抽出する操作の理解タンパク質が塩析する原理や透析膜でタンパク質の粗精製ができる原理を正しく説明できる。塩濃度を変化させる意味、透析膜を使用する意味ついて正しく説明でき、実験操作中に目的物が析出しているか否か判断できる。塩濃度を変化させる意味、透析膜を使用する意味ついて説明できず、実験操作中に目的物が析出しているか否か判断できない。
タンパク質の性質とそれを利用した定量法の理解タンパク質の変性や呈色の原理について分子レベルで説明でき、理論値と実験で定量した値との差について説明できる。タンパク質の変性や呈色の原理について分子レベルで説明できる。検量線を正しく利用して、タンパク質の定量ができる。タンパク質の変性や呈色の原理について分子レベルで説明できない。検量線が書けず、タンパク質の定量ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
講義科目の「細胞生物科学」,「基礎微生物学」,「生化学Ⅰ,Ⅱ」および「生物工学実習」で学んだ内容の中から,生物工学の生物系分野で必要となる,生物材料および生体関連物質の取り扱いに関する基礎的な実験手法を習得させる.実験準備から実験結果のまとめと考察までの一連の実験手法の定着を図る.
授業の進め方・方法:
実験はグループ単位で実施する.実験準備から結果のまとめと考察までの一連の実験手法を習得できるようスケジュールを組んでいる.特に,基本的実験手法とその原理を体得し,観察力を育成することを目標とする.
注意点:
*当日に実施する実習書の該当箇所を前もって必ず精読し、実験内容を十分イメージして臨むこと。
*実験では自ら考え,自ら進んで実験する主体的な取り組みが必要である.説明を聞いてまた実習書を読んで分からない点は,積極的に質問し,正確な方法を身につけて欲しい.実験に際しては,各グループのチームワークが重要である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 微生物の単離(1) 実験の概説を理解し、正しく器具の点検を実施できる。
2週 微生物の単離(2) 培地調製、滅菌、寒天培地の作製を正しく実施することができる。
3週 微生物の単離(3) 試料採取、植種、培養を正しく実施することができる。
4週 微生物の単離(4) コロニー観察、スライド培養、平板塗沫を正しく実施することができる。
5週 微生物の単離(5) 顕微鏡観察を正しく実施することができる。
6週 微生物の単離(6) 顕微鏡観察、酵素活性試験を正しく実施することができる。
7週 微生物の単離(7) 実験結果の整理と後片付けを正しく実施することができる。
8週 レポート作製
4thQ
9週 細菌の増殖速度の測定(1) 実験の概説を理解し、実験準備ができる。
10週 細菌の増殖速度の測定(2) 振とう培養し、分光光度計により細菌濃度の計時変化を測定できる。
11週 細菌の増殖速度の測定(3) 測定結果を分析し、座学で学んだ細胞の増殖についての理解を深める。また、実験後の後処理を正しく実行できる。
12週 タンパク質の抽出・定量(1) 実験の概説を理解し、実験準備ができる。タンパク質の塩析、透析膜について説明できる。
13週 タンパク質の抽出・定量(2) 加熱、酸、有機溶媒を加えることで、タンパク質が変性する理由を説明できる。
14週 タンパク質の抽出・定量(3) タンパク質の呈色反応を理解し、分光高度計を用いてタンパク質の定量試験を実行できる。
15週 レポート作製
16週 レポートの返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学についての基礎的原理や現象を、実験を通じて理解できる。3後1,後9,後12,後13
物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3後1,後2,後9,後12
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3後1,後2,後3,後4,後9,後10,後12
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後10,後11,後12
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3後11,後13
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3後11,後13
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。3後14
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4後5,後6,後7
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4後3,後4
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4後12
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4後14

評価割合

レポート発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力400000040
専門的能力600000060
分野横断的能力0000000