電気電子基礎

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電気電子基礎
科目番号 2102 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 参考図書:「電気基礎 上」川島純一、斎藤広吉 共著(東京電機大学出版局)/ 自作スライド、演習問題プリント
担当教員 田中 郁昭

到達目標

中学校の理科で学んだ静電気や磁石に関する物理現象を「電場」および「磁場」という新しい 概念から学習する。
項目1.電荷間に働く力が、電場を介して作用することを理解し(近接作用)、重ね合わせの手法を用いてその強さを計算できる。
項目2.帯電体より生じる電気力線と電束の物理的な意味を理解し、それらの「本数」や「強さ」を導出できる。
項目3.磁力線と磁束の物理的な意味を理解し、それらの「本数」や「強さ」を導出できる。
項目4.磁場を発生させる要因が電流であることを理解した上で、直線電流、円電流、ソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1なし電荷間に働く力が電場を介して作用することを認識し、重ね合わせの理により電場の強さを計算できる。電荷間に働く力が電場を介して作用することを認識していない。また、重ね合わせの理により電場の強さを計算できない。
評価項目2標準的到達レベルに加えて、電場と電位との関係について説明できる。また、一様な電場や点電荷周りの電場から電位を計算できる。電気力線と電束の物理的なイメージがもち、帯電体から入出力する電気力線の数や電束の強さを導出できる。電気力線と電束の物理的なイメージがもてない。また、帯電体から入出力する電気力線の数や電束の強さを導出できない。
評価項目3標準的到達レベルに加えて、外部磁場に置かれた物質中の磁場の様子を説明できる。磁力線、磁束の物理的なイメージがもち、それら磁力線の数と磁束密度の強さを導出できる。磁力線、磁束の物理的なイメージがもてない。また、それら磁力線の数と磁束密度の強さを導出できない。
評価項目4標準的到達レベルに加えて、直線電流、円電流、ソレノイドがつくる磁場の強さをアンペールの周回積分やビオ・サバールの法則から計算できる。磁場の発生要因が電流であることを理解しており、直線電流、円電流、ソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できる。磁場の発生要因が電流であることを知らない。また、直線電流、円電流、ソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できない。

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気分野を支える電磁気学の初歩的教育を目的とした講義・演習を実施する。具体的には、電気と磁気によって引き起こされる現象が「電場」と「磁場」を介して作用するという考え方(近接作用)を電気力線や磁力線といイメージを用いて解説する。また、シリーズ化されている電磁気学Ⅰ~Ⅴを習熟するための基礎知識と位置付ける。
授業の進め方・方法:
・講義40分→演習20分→採点10分→解説・質問20分を目安に授業を進める。演習は理解を深めるため実施する。
・電場と磁場の理論体系には、数多くに類似点があることから、それらを対比しながら物理現象を説明する。
・電磁場を取り扱うためにはベクトルや微積分の知識が欠かせない。必要に応じてこれら数学についても解説する。
注意点:
・授業中の演習は自分で解き、理解できない箇所は、その場で質問し解決する。
・演習においては、ノート、参考書の閲覧、ならびにグループ討論を許可する。
・本科目は中間試験を実施する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 静電現象(静電気力) 帯電する仕組みを原子・分子の観点から説明できる。また、帯電する時に生じる静電誘導、誘電分極では電荷量保存が成立していることを理解している。
2週 電場の強さ 2つの点電荷間に作用するクーロンの法則を理解し、静電気力をベクトルで表し、その強さを求めることができる。また、電荷間に働く静電気力が、電場を介して作用することを説明できる(近接作用)。また、重ね合わせの手法を用いて電場の強さを計算できる。
3週 電気力線と電束(1) 電気力線と電束の定義を理解し、帯電体を囲む球面から出ていく電気力線の数と電束の強さを導出できる。
4週 電気力線と電束(2) 一般的に閉曲面から出ていく電場の強さを導出できる(ガウスの法則)。具体的に、球面、円筒、平面の形をした電荷分布に対してガウスの法則より電場の強さを計算できる。
5週 電場と電位 電場と電位との関係について説明できる。また、空間的に一様な電場や点電荷周りの電場における電位を計算できる。
6週 物質と電場(コンデンサ―) 外部電場に置かれた物質中の電場と電位の様子を説明できる。また、誘電体を含む平行板コンデンサの電場と電気容量/静電容量の関係式を導出できる。
7週 コンデンサーの接続 コンデンサーの合成容量を求めることができる。また、コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーを求めることができる。
8週 中間試験 1週~7週までの授業内容の到達度を評価する。
2ndQ
9週 磁気に関するクーロンの法則 単磁荷の非存在を認識しながら 磁気に関するクーロンの法則を説明できる。また、磁荷間に働く力が磁場を介して作用することを説明できる(近接作用)。
10週 磁場の強さと磁束密度(1) 磁力線、磁束線(磁束密度)の定義を理解し、単磁荷を囲む閉曲面(球面)から出でいく磁力線の数について説明できる(ガウスの法則)。
11週 磁場の強さと磁束密度(2) 強磁性体を有するソレノイドの磁束について透磁率を用いて説明できる(ガウスの法則)。
12週 電流がつくる磁場(1) 磁場の発生要因が電流であることを理解した上で、直線電流、円電流およびソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できる。
13週 電流がつくる磁場(2) 磁場の発生要因が電流であることを理解した上で、直線電流、円電流およびソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できる。
14週 後期授業範囲の演習 9週~13週までの授業内容の到達度を小テストで評価する。また、状況に応じて解説する。
15週 答案返却と解説 期末試験の解説(非評価項目)
16週

評価割合

定期試験小テスト・課題その他合計
総合評価割合70300100
基礎的能力0000
専門的能力70300100
分野横断的能力0000