電気電子基礎

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気電子基礎
科目番号 0051 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「初めて 学ぶ 電気電子の基礎」加地正義、角政之 著(オーム社)/「電気基礎 上」川島純一、斎藤広吉 共著(東京電気大学出版局)/ 演習問題プリント
担当教員 田中 郁昭

到達目標

中学校の理科で学んだ静電気や電流と電磁石の知識をベースに電気 (電場) と磁気 (磁場) に関する基本的な現象について学習する。また、演習を通して その現象を定量評価するためのスキルを習得する。 以下に本科目の具体的な到達目標を示す。
項目1.電荷間に働く力が、電場を介して作用すること(近接作用)を理解し、重ね合わせの手法を用いて電場の強さを計算できる。
項目2.電気力線と電束の定義を理解し、帯電体から出ていく「電気力線の数」と「電束の強さ」を導出できる。
項目3.磁力線、磁束(磁束密度)の定義を理解し、ガウスの法則を説明できる。
項目4.磁場の発生要因が電流であることを理解した上で、直線電流、円電流、ソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できる。
項目5.コイル内部の磁場の変化によって生じる誘導起電力を理解し、その誘導起電力や磁束を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1なし電荷間に働く力が電場を介して作用することを認識し、重ね合わせの理により電場の強さを計算できる。電荷間に働く力が電場を介して作用することを認識していない。また、重ね合わせの理により電場の強さを計算できない。
評価項目2標準的到達レベルに加えて、電場と電位との関係について説明できる。また、一様な電場や点電荷周りの電場から電位を計算できる。電気力線と電束の定義を理解し、帯電体から出ていく「電気力線の数」と「電束の強さ」を導出できる。電気力線と電束の定義を理解できない。また、帯電体から出ていく電気力線の数や電束の強さを導出できない。
評価項目3標準的到達レベルに加えて、外部電場に置かれた物質中の電場と電位の様子を説明できる。また、誘電体を含む平行板コンデンサの電場と電気容量/静電容量の関係式を導出できる。磁力線、磁束(磁束密度)の定義を理解し、ガウスの法則を説明できる。磁力線、磁束(磁束密度)の定義が分からない。また、ガウスの法則を説明できない。
評価項目4標準的到達レベルに加えて、磁場の中で直線電流が受ける力をローレンツ力によって説明できる。また、順(逆)方向の平行電流同士が互いに及ぼす力を計算できる。磁力線と磁束線の定義を理解し「磁場に関するガウスの法則」を説明できるが、当法則を特定の条件下に対して適用し磁場の強さを計算できる。磁場の発生要因が電流であることを知らない。また、直線電流、円電流、ソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できない。
評価項目5標準的到達レベルに加えて、外部磁場の中で物質が常磁性体、反磁性体、強磁性体に変化することを説明できる。コイル内部の磁場の変化によって生じる誘導起電力を理解し、その誘導起電力や磁束を計算できる。コイル内部の磁場の変化によって生じる誘導起電力を理解していない。また、その誘導起電力や磁束を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気分野を支える電磁気学の初歩的教育を目的とした講義・演習を実施する。具体的には、電気と磁気によって引き起こされる現象が電場と磁場にを介して作用するという考え方(近接作用)を電気力線や磁力線の物理的意味を通して解説する。また、シリーズ化されている電磁気学Ⅰ~Ⅴを習熟するための基礎知識と位置付ける。
授業の進め方・方法:
・講義30分→演習20分→採点10分→解説・質問30分を目安に授業を進める。演習は理解を深めるため実施する。
・電場と磁場の理論体系には、数多くに類似点があることから、それらを対比しながら物理現象を説明する。
・電磁場を取り扱うためにはベクトルや微積分の知識が欠かせない。必要に応じてこれら数学についても解説する。
注意点:
・授業中の演習は自分で解き、理解できない箇所は、その場で質問し解決する。
・演習においては、ノート、参考書の閲覧、ならびにグループ討論を許可する。
・本科目は中間試験を行う。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 静電現象 帯電する仕組みを原子・分子の観点から説明でき、帯電時の電荷量保存則を理解している。
2週 電荷によるクーロンの法則 点電荷間に働くクーロンの法則を理解し、ベクトルとして表すことができる。
3週 点電荷周りの電場 電荷間に働く静電気力が、電場を介して作用することを説明できる(近接作用)。また、重ね合わせの手法を用いて電場の強さを計算できる。
4週 電気力線と電束 電気力線と電束の定義を理解し、帯電体を囲む球面から出ていく電気力線の数と電束の強さを導出できる。
5週 電場に関するガウスの法則 一般的に閉曲面から出ていく電場の強さを導出できる(ガウスの法則)。具体的に、球面、円筒、平面の形をした電荷分布に対してガウスの法則より電場の強さを計算できる。
6週 電場と電位 電場と電位との関係について説明できる。また、空間的に一様な電場や点電荷周りの電場における電位を計算できる。
7週 物質と電場 外部電場に置かれた物質中の電場と電位の様子を説明できる。また、誘電体を含む平行板コンデンサの電場と電気容量/静電容量の関係式を導出できる。
8週 中間試験 1週~7週までの授業内容の到達度を評価する。
2ndQ
9週 磁気に関するクーロンの法則 単磁荷の非存在を認識しながら 磁気に関するクーロンの法則を説明できる。また、磁荷間に働く力が磁場を介して作用することを説明できる(近接作用)。
10週 磁場に関するガウスの法則 磁力線、磁束線(磁束密度)の定義を理解し、単磁荷を囲む閉曲面(球面)から出でいく磁力線の数について説明できる(ガウスの法則)。
11週 電流がつくる磁場 磁場の発生要因が電流であることを理解した上で、直線電流、円電流およびソレノイドがつくる磁場の強さの式を導出できる。
12週 ローレンツ力 磁場の中で直線電流が受ける力をローレンツ力によって説明できる。また、順・逆方向の平行電流間に生じる力を計算できる。
13週 磁性体内での磁場 外部磁場の中で物質が常磁性体、反磁性体、強磁性体に変化することを説明できる。また、それら磁性体内で定義される”磁場の強さ”の意味を説明できる。
14週 電磁誘導の法則 磁場の中でコイルを動かす際に生じる誘導起電力について説明できる。また、その起電力や磁束密度を計算できる。
15週 答案返却と解説 期末試験の解説(非評価項目)
16週

評価割合

定期試験小テスト・課題その他合計
総合評価割合70300100
基礎的能力3010040
専門的能力4020060
分野横断的能力0000