建築環境工学

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 建築環境工学
科目番号 0055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 都市環境デザイン工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 改訂版 初めての建築環境 <建築のテキスト>編集委員会 学芸出版社/建築設計資料集成「環境」「人間」‐丸善
担当教員 松本 弘隆

到達目標

1.建築物を取り巻く環境について理解し、人間の感覚でその環境の快適性を判断できる
2.太陽の動きを理解し、日照計画、日射調整ができる。さらに、太陽位置図を読み取り日影図の作図ができる。
3.人間の視覚について理解し、自然採光及び人工照明を用いた照明計画ができる。
4.人間の聴覚について理解し、建物用途にあった室内音響計画ができる。さらに、騒音に対して対処できる。
5.壁体等の熱移動を理解し、熱貫流計算や温度勾配図の作図により建物の断熱・防湿性能を判断できる。さらに、空気線図を用いて空調使用時等の空気の状態を表すことができる。
6.清浄な室内空気環境のための換気方法や換気計画を理解し、必要換気量や換気回数を求めることができる。
7.環境に配慮した建築的方策を理解し、建築と関係した事象に対して適法が考えられる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自然環境、都市環境、室内環境について説明でき、人間の感覚に合わせた快適性の判断ができ、さらに快適な環境の提案ができる。自然環境、都市環境、室内環境について説明でき、人間の感覚に合わせた快適性の判断ができる自然環境、都市環境、室内環境について説明できない、もしくは人間の感覚に合わせた快適性の判断ができない。
評価項目2日照計画と日射調整を同時に考えられ、日影図の作図及び日影時間を読み取ることができる。日照計画、日射調整ができ、日影図の作図ができる。日照計画、日射調整ができない、もしくは日影図の作図ができる。
評価項目3自然採光と人工照明を併用する照明計画ができる。自然採光、人工照明を用いたそれぞれの照明計画ができる。自然採光、人工照明いずれかの照明計画ができない。
評価項目4音の基本的な性質を十分理解し、建物用途に合った室内音響計画ができる。さらに、騒音への対処法を説明でいる。音の基本的な性質を理解し、室内音響計画ができる。さらに、騒音への対処法を説明でいる。音の基本的な性質の理解が不十分で、室内音響計画ができない。または騒音への対処法が分からない。
評価項目5壁体等の熱移動を十分理解し、5層以上の複層壁における断熱・防湿性能を判断できる。さらに、断熱性能向上や内部結露への対応策について説明できる。壁体等の熱移動を理解し、3層以上の複層壁における断熱・防湿性能を判断できる。壁体等の熱移動の理解が不十分で、3層までの複層壁における断熱・防湿性能を判断できない。
評価項目6換気方法や換気設備について十分理解し、温度差換気及び風力換気における換気量の計算と必要換気量の計算を複合した換気計画ができる。換気方法や換気設備について理解し、温度差換気及び風力換気における換気量の計算ができる。さらに、必要換気量の計算等による換気計画ができる。換気方法や換気設備についての理解が不十分で、必要換気量等の計算による換気計画ができない。
評価項目7環境に配慮した建築的方策を十分理解し、建築と関係した事象に対して適法を選択的に用いた対処・計画ができる。環境に配慮した建築的方策を理解し説明できる。環境に配慮した建築的方策の理解が不十分で、説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
建築物およびその周辺の人間の生活環境が健康的で快適であるように調整しようとするための工学を学ぶことが目的である。自然の環境を理解したうえで人間を中心に据えて、人為的に環境をコントロールすることの意義、自然環境に与える影響を同時に考えるトレーニングを積むことが目標である。
授業の進め方・方法:
教科書「初めての建築環境」を、ベースに授業を進める。各省の「キーワード」、「基本的な式」「計算図表」を、スライド、補助配布資料等を使用しながら、「環境」と「実際の建築」とのかかわりを、「なるべく面白く説明する」を心がける。「演習」で、「計算図表」等を実際に使用し、また実際の「建築士試験問題」を解いてみることで理解をさらに深める。
注意点:
講義の内容は、広範にわたる建築環境工学の概要を紹介するもので、幅広い分野にわたる事象に対して興味をもつことが重要である。光(日照・日射・人工照明)や音(騒音・遮音・音響)等が人間の知覚に与える影響や、断熱や遮熱技術等の省エネルギーのための建築的方策を学習することで、実際の建築物に適用できるようになることが望ましい。この点について適宜演習課題・宿題を課す。人間の根本的な知覚や自然の原理にまで立ち返って理解するように努める。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.気候・体感 □自然環境及び都市環境、室内環境について説明できる
□人間の体感に関係する温熱環境の要素、温熱環境指標について説明できる
2週 1.気候・体感 □自然環境及び都市環境、室内環境について説明できる
□人間の体感に関係する温熱環境の要素、温熱環境指標について説明できる
3週 2.日照・日射 □太陽位置図から太陽位置、太陽高度を読み取ることができる
□日影曲線を読み取り日影図が作図できる
□採光計画、必要窓面積の計算ができる
□日射調整計画について説明できる
4週 2.日照・日射 □太陽位置図から太陽位置、太陽高度を読み取ることができる
□日影曲線を読み取り日影図が作図できる
□採光計画、必要窓面積の計算ができる
□日射調整計画について説明できる
5週 2.日照・日射 □太陽位置図から太陽位置、太陽高度を読み取ることができる
□日影曲線を読み取り日影図が作図できる
□採光計画、必要窓面積の計算ができる
□日射調整計画について説明できる
6週 2.日照・日射 □太陽位置図から太陽位置、太陽高度を読み取ることができる
□日影曲線を読み取り日影図が作図できる
□採光計画、必要窓面積の計算ができる
□日射調整計画について説明できる
7週 2.日照・日射 □太陽位置図から太陽位置、太陽高度を読み取ることができる
□日影曲線を読み取り日影図が作図できる
□採光計画、必要窓面積の計算ができる
□日射調整計画について説明できる
8週 3.採光・照明 □採光と照明計画、照明の種類、グレアについて説明できる
□光と色の3原色、表色系について説明できる
□照度計算及び人工照明計画に必要な計算ができる
2ndQ
9週 3.採光・照明 □採光と照明計画、照明の種類、グレアについて説明できる
□光と色の3原色、表色系について説明できる
□照度計算及び人工照明計画に必要な計算ができる
10週 3.採光・照明 □採光と照明計画、照明の種類、グレアについて説明できる
□光と色の3原色、表色系について説明できる
□照度計算及び人工照明計画に必要な計算ができる
11週 3.採光・照明
4.音・騒音対策
□採光と照明計画、照明の種類、グレアについて説明できる
□光と色の3原色、表色系について説明できる
□照度計算及び人工照明計画に必要な計算ができる
□音の3要素等の音に関する基本事項について説明できる
□透過音、吸収音、反射音と透過損失について説明できる
□吸音、遮音と遮音材、室内音響計画について説明できる
□共鳴、吸音、残響時間について説明でき、残響時間の計算ができる
□騒音レベルと騒音対策について説明でいる
12週 4.音・騒音対策 □音の3要素等の音に関する基本事項について説明できる
□透過音、吸収音、反射音と透過損失について説明できる
□吸音、遮音と遮音材、室内音響計画について説明できる
□共鳴、吸音、残響時間について説明でき、残響時間の計算ができる
□騒音レベルと騒音対策について説明でいる
13週 4.音・騒音対策 □音の3要素等の音に関する基本事項について説明できる
□透過音、吸収音、反射音と透過損失について説明できる
□吸音、遮音と遮音材、室内音響計画について説明できる
□共鳴、吸音、残響時間について説明でき、残響時間の計算ができる
□騒音レベルと騒音対策について説明でいる
14週 4.音・騒音対策 □音の3要素等の音に関する基本事項について説明できる
□透過音、吸収音、反射音と透過損失について説明できる
□吸音、遮音と遮音材、室内音響計画について説明できる
□共鳴、吸音、残響時間について説明でき、残響時間の計算ができる
□騒音レベルと騒音対策について説明でいる
15週 試験答案の返却・解説 試験において間違った部分を自分の課題として把握する(非評価項目)
16週
後期
3rdQ
1週 5.断熱・防湿 □熱伝導及び熱伝達による壁体等の熱移動について説明できる
□熱貫流計算と温度勾配図の作図ができる
□空気線図を使って露点温度、除加湿計算ができる
2週 5.断熱・防湿 □熱伝導及び熱伝達による壁体等の熱移動について説明できる
□熱貫流計算と温度勾配図の作図ができる
□空気線図を使って露点温度、除加湿計算ができる
3週 5.断熱・防湿 □熱伝導及び熱伝達による壁体等の熱移動について説明できる
□熱貫流計算と温度勾配図の作図ができる
□空気線図を使って露点温度、除加湿計算ができる
4週 5.断熱・防湿 □熱伝導及び熱伝達による壁体等の熱移動について説明できる
□熱貫流計算と温度勾配図の作図ができる
□空気線図を使って露点温度、除加湿計算ができる
5週 5.断熱・防湿 □熱伝導及び熱伝達による壁体等の熱移動について説明できる
□熱貫流計算と温度勾配図の作図ができる
□空気線図を使って露点温度、除加湿計算ができる
6週 5.断熱・防湿 □熱伝導及び熱伝達による壁体等の熱移動について説明できる
□熱貫流計算と温度勾配図の作図ができる
□空気線図を使って露点温度、除加湿計算ができる
7週 6.二級建築士問題の演習 □これまでの該当分野に関する二級建築士レベルの問題を解くことができる
8週 7.換気 □必要換気量・換気回数、換気方式、換気計画、換気設備の概要等について説明できる
□自然換気の換気計算ができる
□クリーンルームの基礎と要求レベルへの対応方法について説明できる
4thQ
9週 7.換気 □必要換気量・換気回数、換気方式、換気計画、換気設備の概要等について説明できる
□自然換気の換気計算ができる
□クリーンルームの基礎と要求レベルへの対応方法について説明できる
10週 7.換気 □必要換気量・換気回数、換気方式、換気計画、換気設備の概要等について説明できる
□自然換気の換気計算ができる
□クリーンルームの基礎と要求レベルへの対応方法について説明できる
11週 7.換気 □必要換気量・換気回数、換気方式、換気計画、換気設備の概要等について説明できる
□自然換気の換気計算ができる
□クリーンルームの基礎と要求レベルへの対応方法について説明できる
12週 8.環境配慮・省エネ □環境に配慮した建築の考え方や省エネルギーの方法について説明できる
□自然エネルギー利用、パッシブデザイン、ヒートアイランド、エコロジカルプランニング等の環境と結びついた建築に関連する事項について説明できる
13週 8.環境配慮・省エネ □環境に配慮した建築の考え方や省エネルギーの方法について説明できる
□自然エネルギー利用、パッシブデザイン、ヒートアイランド、エコロジカルプランニング等の環境と結びついた建築に関連する事項について説明できる
14週 8.環境配慮・省エネ □環境に配慮した建築の考え方や省エネルギーの方法について説明できる
□自然エネルギー利用、パッシブデザイン、ヒートアイランド、エコロジカルプランニング等の環境と結びついた建築に関連する事項について説明できる
15週 試験答案の返却・解説 試験において間違った部分を自分の課題として把握する(非評価項目)
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野環境騒音の発生源と現状について、説明できる。4前14
建築系分野環境・設備風土と建築について説明できる。4前2
気候、気象について説明できる。4前2
気温、温度、湿度および気温と湿度の形成について説明できる。4前2
雨、雪による温度、湿度の関係について説明できる。4前2
ヒートアイランドの現象について説明できる。4後14
大気汚染の歴史と現象について説明できる。4後14
都市環境における緑の役割について説明できる。4後14
建設地と太陽位置について説明できる。4前7
日照および日射の調節方法について説明できる。4前7
日照時間および日照時間図について説明できる。4前7
日照と日射の使い分けについて説明できる。4前7
紫外線、赤外線、可視光線の効果の違いを説明できる。4前7
視覚と光の関係について説明できる。4前10
明視、グレアの現象について説明できる。4前10
採光および採光計画について説明できる。4前10
人工照明について説明できる。4前10
照明計画および照度の計算ができる。4前10
表色系について説明できる。4後7
色彩計画の概念を知っている。4後7
伝熱の基礎について説明できる。4後6
熱貫流について説明できる。4後6
室温の形成について理解している。4後6
温熱環境要素について説明できる。4後6
温熱環境指標について説明できる。4後6
湿り空気、空気線図について説明できる。4後6
結露現象について説明できる。4後6
空気汚染の種類と室内空気環境基準について説明できる。4後11
必要換気量について計算できる。4後11
自然換気と機械換気について説明ができる。4後11
音の単位について説明できる。4前14
聴覚の仕組みについて説明できる。4前14
音心理の三大特性、大きさとうるささ、音の伝搬、減衰、回折について説明できる。4前14
吸音と遮音、残響について説明できる。4前14
遮音材料の仕組み、音響計画について説明できる。4前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力8000(-20)020100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000