技術倫理総論

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 技術倫理総論
科目番号 0085 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 都市環境デザイン工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕 なし 〔参考書・補助教材〕 授業時配布プリント等
担当教員 町 泰樹,井内 祥人,門松 経久,上小鶴 博

到達目標

科学技術は我々に多大な恩恵をもたらしてきた一方で、多くの問題もまた生み出してきた。現在、科学技術に携わる「技術者」にとって必要なものは、その功罪を知ること、そして「科学」や「技術」の根幹部分を問い直し、「技術者として倫理的に生きる」とはどのようなことであるかを、自分自身で考え決断する態度である。昨今、技術者に求められる社会的責任は大きく、そして多様化したものであるが、歴史的・思想的背景や法的責任、そして実際に起こった事例などを多角的に検討・分析するによって、あるべき技術者の概要を捉えてゆくことが本科目の目標である。また、最低限必要な、論文・レポート作成能力の育成も、本科目の大きな目標のひとつである。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 企業におけるユニバーサルデザインや環境への配慮の取り組みから、誇り高い技術者のあり方について理解する。誇り高い技術者のあり方について、自分の言葉で説明できる。誇り高い技術者のあり方に関する複数の説明文から、適切なものを選択することができる。誇り高い技術者のあり方について、一問一答式で答えることができない。
評価項目2 技術者と社会との関係性と、そこから生じる倫理的責任について理解する。技術者と社会との関係性と、そこから生じる倫理的責任について、自分の言葉で説明できる。技術者と社会との関係性と、そこから生じる倫理的責任に関する複数の説明文から、適切なものを選択することができる。技術者と社会との関係性と、そこから生じる倫理的責任について、一問一答式で答えることができない。
評価項目3 技術者が配慮すべき対象(人々や事柄)について、具体的な事例に即して理解する。技術者が配慮すべき対象(人々や事柄)について、自分の言葉で説明できる。技術者が配慮すべき対象(人々や事柄)に関する複数の説明文から、適切なものを選択することができる。技術者が配慮すべき対象(人々や事柄)について、一問一答式で答えることができない。
評価項目4 技術者倫理にかかわる具体的な事例をグループで収集し、発表できる。技術者倫理にかかわる具体的な事例をグループで収集・整理して、分かりやすく関心を引く発表ができる。技術者倫理にかかわる具体的な事例をグループで収集・整理して、発表ができる。技術者倫理にかかわる具体的な事例をグループで収集・整理できず、発表もできない。
評価項目5 技術士の観点から、技術者の関係する実務上の諸問題とその解決法を理解する。技術者の関係する実務上の諸問題とその解決法について、自分の言葉で説明できる。技術者の関係する実務上の諸問題とその解決法に関する複数の説明文から、適切なものを選択することができる。技術者の関係する実務上の諸問題とその解決法に関して、一問一答式で答えることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
〔本科目の位置付け〕 この科目は、「技術倫理」について、講義および演習形式で授業を行うものである。本科目はこれまでの人文科目(主に社会科科目)で学んだ基礎的教養をもとに、技術者としての自覚と責任を再認識するためのものであると同時に、専攻科2年次の「技術倫理」とも関連する科目である。また、全15週のうち、第12週から第14週の授業は、「(公益財団法人)鹿児島まちづくり土地区画整理協会」において、参事としてキャリアアップ研修や都市計画等のまちづくりへの参与・指導・助言をしていた者が担当する。
授業の進め方・方法:
〔学習上の留意点〕 講義内容を理解するために、毎回、前回の講義を参考に2時間程度の予習をし、授業時間での質問等に対応できるようにしておくこと。また、講義終了後は、復習として2時間程度の演習問題等の課題に取組むこと。疑問点があれば、その都度質問すること。
注意点:
本科目は学修単位(講義Ⅱ)の科目であり、週ごとの90分の講義に対して240分の自学自習が必要である。そのため、参考書や適宜配布するプリントを参考に毎回復習し、講義1回につき240分以上の自学自習を行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション 授業や事例研究の進め方について理解する。(非評価項目)
2週 誇り高い技術者とは?(1) 企業におけるユニバーサルデザインや環境への配慮の取り組みから、誇り高い技術者のあり方について理解する。
3週 誇り高い技術者とは?(2)
技術とは何か、技術者とはどういう人なのか?(1)
技術者と社会との関係性と、そこから生じる倫理的責任について理解する。
4週 技術とは何か、技術者とはどういう人なのか?(2)
5週 技術者は何に配慮すべきか? (1) 技術者が配慮すべき対象(人々や事柄)について、具体的な事例に即して理解する。
6週 技術者は何に配慮すべきか? (2)
7週 事例研究:資料作成 技術者倫理にかかわる具体的な事例を収集し、それを発表する準備を行なう。
8週 事例研究:発表(1) 技術者倫理にかかわる具体的な事例について、発表ができる。
2ndQ
9週 事例研究:発表(2)
10週 事例研究:発表(3)
11週 事例研究:発表(4)
12週 技術者と実務上の諸問題(1) 技術士の観点から、技術者の関係する実務上の諸問題とその解決法を理解する。※技術士の講義と演習形式の授業の組み合わせで実施する。
13週 技術者と実務上の諸問題(2)
14週 技術者と実務上の諸問題(3)
15週 試験答案の返却・解説 各試験において間違えた部分を自分の課題として把握する(非評価項目)。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力70300000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000