気体電子工学

科目基礎情報

学校 久留米工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 気体電子工学
科目番号 3E10 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:金田輝男著「気体エレクトロニクス」コロナ社
担当教員 平川 靖之,宮﨑 浩一

到達目標

1.真空中の電子の運動を理解・説明できる。
2.電子ビームの基本的性質を理解し、工学的な応用を説明できる。
3.気体中の分子や電子の運動を解析して挙動を把握し、放電現象を説明できる。
4.コロナ、グロー、アーク放電の基礎を理解し、工学的に応用できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電子の性質と電子放出現象を、その関係を含めて説明できる。電子の性質を理解でき、電子放出現象を説明できる。電子の性質と電子放出現象を説明できない。
評価項目2電子ビーム応用技術に使われている原理を説明できる。電子ビームの発生方法と応用技術を説明できる。電子ビームの発生方法もしくは応用技術を説明できない。
評価項目3気体中の分子や電子の運動を解析して挙動を把握し、放電現象を説明できる。気体中の分子や電子の運動や放電現象を説明できる。気体中の分子や電子の運動や放電現象を説明できない。
評価項目4コロナ、グロー、アーク放電の基礎を理解し、工学的に応用できる。コロナ、グロー、アーク放電の基礎を理解し、その工学的応用について説明できる。コロナ、グロー、アーク放電を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電磁気学および基礎的な量子論に基づいて真空中の電子の挙動を把握し、電子物理学について理解する。次に、気体分子運動論に基づいて気体中の分子や電子の挙動を把握し、放電現象(コロナ放電、グロー放電、アーク放電)について理解する。さらに、これらの工学的応用技術を修得する。
授業の進め方・方法:
教科書に沿って講義を行う。
前期:毎回、予習用のプリントを配布し、授業終了時に回収、評価の対象とする。また、必要に応じて演習問題等の課題を課す。
後期:毎回、演習プリントを配布し、授業中に記入、授業終了時に回収し、評価の対象とする。また、必要に応じて演習問題等の課題を課す。
注意点:
試験点数配分:中間試験50%、期末試験50%を原則とする。
評価基準:60点以上を合格とする。
再試験は原則行わないが、必要があれば学年末に1回のみ実施する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 気体エレクロトニクス概論 気体エレクロトニクスの歴史
2週 静電気の基本則(クーロンの法則) クーロンの法則を使って点電荷に働く力を計算できる。
3週 静電気の基本則(ガウスの定理) ガウスの定理を使って、電荷と電界との関係を説明できる。
4週 トムソンの実験 電子の比電荷を説明できる。
5週 ミリカンの実験 電子の電荷を説明できる。
6週 電子の波動性 電子の波としての性質があることを説明できる。
7週 放射と吸収 物質における放射と吸収の関係を説明できる。
8週 熱放射 熱放射を説明できる。
2ndQ
9週 原子の構造と仕事関数 原子の構造を理解・説明でき、仕事関数を説明できる。
10週 熱電子放出 熱電子放出の現象を説明できる。
11週 光電子放出(光電効果) 光電子放出の現象を説明できる。
12週 二次電子放出 二次電子放出現象を説明でき、光電子増倍管の原理を説明できる。
13週 真空技術 真空ポンプ、真空計の種類を説明できる。
14週 電子レンズ 電子レンズの原理を説明できる。
15週 電子ビームの基礎と応用技術 電子銃とその応用技術を説明できる。
16週
後期
3rdQ
1週 気体放電・プラズマとその応用技術 気体放電とプラズマについて、現象とその応用について説明できる。
2週 気体分子の速度分布関数と平均速度 気体分子の速度分布関数を使って、様々な平均速度を計算できる。
3週 衝突断面積と平均自由行程 衝突断面積と平均自由行程の定義を説明でき、平均自由行程の計算ができる。
4週 衝突による粒子のエネルギー変化 粒子が弾性衝突した際の衝突損失係数を計算できる。
5週 電離 衝突電離、光電離、熱電離について説明でき、電離可能な電子の速度や光の波長について計算できる。
6週 励起、再結合 励起、準安定状態、ペニング効果、表面再結合、空間再結合について説明できる。
7週 荷電粒子の輸送現象 荷電粒子の電界によるドリフトや密度勾配による拡散、移動度、拡散係数について説明できる。
8週 暗流 気体に電圧を印加した際に流れる暗流について説明できる。
4thQ
9週 タウンゼントの火花条件 α作用とγ作用について説明でき、これらの現象により電極間の電流を求め、タウンゼントの火花条件について説明できる。
10週 パッシェンの法則 火花電圧がガス圧と電極間隔の積の関数になることを導出でき、これを放電管の設計に応用できる。
11週 コロナ放電の基礎と応用 コロナ放電とこの放電が起こる条件、応用について説明できる。
12週 グロー放電の形式 グロー放電の生成、電圧電流特性、発光状態および各部分で起きている現象について説明できる。
13週 両極性拡散 両極性拡散現象と両極性拡散係数について説明できる。
14週 陽光柱のと電子密度・電子温度 陽光柱の電子密度および電子温度の決定機構について説明できる。
15週 アーク放電の基礎 アーク放電の電圧電流特性、放電維持機構について説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。4前2
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。4前2,前3
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。4
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前4,前5
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前9,前14,後5,後6,後14
原子の構造を説明できる。4前9
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前9

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ提出プリント等合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力0000000
専門的能力70000030100
分野横断的能力0000000