到達目標
電磁界に関係した各種現象の自然科学的な理解とそれを工学に応用するための方法を修得する。本授業により,基礎方程式の導出過程および式の持つ物理的意味を理解し,電気電子工学,制御工学などの広範な分野への
応用力を養成する。具体的には以下の項目を目標とする。
①電荷間に働くクーロンの法則の理解
②電界に関するガウスの法則の理解
③電界と電束の概念の理解
④電位の概念および電位の計算方法の理解
⑤導体と誘電体の概念の理解
⑥静電界における電界のエネルギーと力の関係の理解
岐阜高専ディプロマポリシー:(D)
ルーブリック
| 理想的な到達レベル(優)の目安 | 標準的な到達レベル(良)の目安 | 未到達レベル(不可)の目安 |
評価項目1 | 3個以上の電荷間に働く力クーロンの法則を用いて正確に計算することができる。 | 2個の電荷間に働く力をクーロンの法則を使って計算することができる。 | 電荷間に働く力を計算することができない。 |
評価項目2 | 電界をガウスの法則を使って正確に計算することができる。 | 無限平面の電界をガウスの法則を使って計算することができる。 | 電界に関するガウスの法則を使って電界を計算することができない。 |
評価項目3 | 2つ以上の誘電体からなる場の電界と電束を正確に計算することができる。 | 1つの誘電体の内部の電界と電束をほぼ正確に計算することができる。 | 誘電体の電界と電束を計算できない。 |
評価項目4 | 電位の概念と定義を説明し電位を計算することができる。 | 電位の概念を理解している。 | 電位が何か説明できず電位の計算ができない。 |
評価項目5 | 導体と誘電体が何かを説明し導体内部の電界・電流密度・移動度を計算することができる。 | 導体と誘電体を説明することができる。 | 導体と誘電体の違いなどを説明できない。 |
評価項目6 | 静電界における電界のエネルギーと力に関する問題を公式などを使い正確に解くことができる。 | 静電界における電界のエネルギーと力について説明し公式を説明できる。 | 静電界における電界のエネルギーと力について説明できず公式も分からない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
電磁界に関係した各種現象の自然科学的な理解とそれを工学に応用するための方法を修得する。本授業により,基礎方程式の導出過程および式の持つ物理的意味を理解し,電気電子工学,制御工学,電子デバイスなどの広範な分野への応用力を養成する。
授業の進め方・方法:
授業は,教科書と板書,配布資料を中心に行なうので,各自学習ノートを充実させること。また,ドリル問題および演習問題を使って演習を行なう。授業後に演習問題のレポートを課すので,授業内容をよく復習してからレポート作成に取組むこと。演習問題のレポートは期日までに提出すること。
(事前準備の学習)電気基礎および物理Ⅰ、物理Ⅱの復習をしておくこと。
英語導入計画:Technical terms
注意点:
演習問題を使って演習を行なう。授業後に演習問題を次回授業までに解いておくよう指示するので,授業内容をよく復習してから演習問題に取組むこと。なお、成績評価には教室外学修(課題レポートなど)の内容も含まれる。“授業の内容を確実に身につけるために、予習・復習、演習問題レポートに取り組むことが必須である。“
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
電磁気学とは何か,電荷・電圧・電流,電磁気学が取り扱うデバイス |
電磁気学について,それが何か(どのように応用されるのか)を理解する.
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2週 |
電荷とは何か |
電磁気学の基本となる電荷について,それが何かを理解する.
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3週 |
クーロンの法則 |
静電界における力の発生源としてのクーロンの法則について理解する.
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4週 |
静電誘導 |
電荷が現れていない物体(導体)にも誘導で電荷が現れる現象(静電誘導)について理解する.
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5週 |
電界と電気力線,電位差と電位 |
電界を表す電気力線と世の中で電気と言って通常考える電位の基礎を理解する.また,電位の定義とボルトやエレクトロンボルトなどの意味を理解する.
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6週 |
等電位面と電位の傾き |
電位が同じ面(等電位面)と空間内の電位の傾きについて理解する.
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7週 |
ガウスの法則 電荷分布と電界,静電界の計算 |
ガウスの法則について理解する. 帯電体における電荷の分布とその周りの電界の特徴を理解する.
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8週 |
前期中間試験 |
ー
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2ndQ |
9週 |
導体系(電位係数,容量係数) |
導体系における電位と電荷の計算方法を理解する.
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10週 |
導電体と静電遮蔽
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導電体とは何でありどのような特徴があるかと導電体の応用としての静電遮蔽の仕組みを理解する.
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11週 |
静電容量
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静電容量とは何かを理解する.
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12週 |
コンデンサの接続
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静電容量を持つコンデンサの接続法と合成容量の計算方法を理解する.
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13週 |
静電界におけるエネルギーと力 |
静電界のエネルギーと力の計算方法を理解する.
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14週 |
静電界の基本問題(クーロンの法則等)に関する演習 (ALのレベルC) |
静電界の基本的な問題に関する解き方・計算方法をまとめる.
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15週 |
前期期末試験 |
ー
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16週 |
静電界における総合演習 (ALのレベルC) |
静電界のまとめとして各種静電界の計算方法を理解する.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
誘電体と比誘電率 |
誘電体とは何かを理解し誘電体を表すために役に立つ比誘電率とは何かを理解する.
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2週 |
誘電分極 |
誘電分極とは何かを理解する.
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3週 |
誘電体中のガウスの法則 |
誘電体内におけるガウスの法則を理解する.
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4週 |
誘電体境界面での境界条件 |
誘電体境界における境界条件について理解する.
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5週 |
誘電体の境界条件に関する演習 |
誘電体の境界条件を用いた計算方法を理解する.
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6週 |
誘電体中に蓄えられるエネルギーと力 |
誘電体中の静電エネルギーと力について理解する.
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7週 |
誘電体に関する演習 (ALのレベルC) |
誘電体の問題における計算方法を理解する.
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8週 |
後期中間試験 |
ー
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4thQ |
9週 |
電流 |
電流とは何かを理解する.
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10週 |
オームの法則と抵抗 |
電流と電流密度,電位差と電界および抵抗と抵抗率を用いたオームの法則について理解する.
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11週 |
ジュールの法則 |
電流が発生する熱エネルギーについて理解する.
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12週 |
電源と起電力 |
電気回路中の電源と起電力について理解する.
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13週 |
定常電流界 |
定常電流が流れる定常電流界について理解する.
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14週 |
電流に関する演習 (ALのレベルC) |
電流を取り扱う問題の計算方法を理解する.
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15週 |
後期期末試験 |
ー
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16週 |
これまでのまとめ |
電気の基礎をまとめる.
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 電気 | 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。 | 3 | 前1 |
電場・電位について説明できる。 | 3 | 前1 |
クーロンの法則が説明できる。 | 3 | 前3 |
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 3 | 前3 |
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | 後10 |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | 後10 |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | 後11 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電磁気 | 電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。 | 3 | 前3,後11 |
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。 | 3 | 前3 |
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。 | 3 | 前7 |
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。 | 3 | 前5,前6 |
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。 | 3 | 後1,後2,後3,後4 |
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。 | 3 | 前12,前13 |
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。 | 3 | 前13 |
静電エネルギーを説明できる。 | 3 | |
電子工学 | 電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。 | 3 | |
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。 | 2 | |
原子の構造を説明できる。 | 2 | |
評価割合
| 中間試験 | 期末試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 200 | 200 | 50 | 450 |
得点(学年) | 200 | 200 | 50 | 450 |