材料学基礎

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 材料学基礎
科目番号 B2018 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 SD 基礎教育・一般科目 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材
担当教員 三嶋 尚史,藤田 陽師

到達目標

1. 材料の定義が理解でき、種類観点で材料の分類ができる。
2. 原子と元素の違いが理解でき,周期律表の規則性について理解できる。
3. イオン結合・共有結合・金属結合・水素結合の違いを理解し、それらが説明できる。
4.有機分子の電子式,構造式,簡略構造,骨格構造を区別して描くことができる
5. bccおよびfcc結晶格子を理解し、構造の計算ができる。
6. 代表的な金属材料・無機材料・有機材料の特徴を理解し、それらの調査ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1材料を構成する原子分子の状態も理解し、材料の構造について説明できる簡単に材料の構造について説明できる材料の構造を全く説明することができない
評価項目2種々の金属材料・無機材料・有機材料の特徴を理解でき、それらの材料を調査して、新材料について考えることができる代表的な金属材料・無機材料・有機材料の特徴を理解でき、それらの材料を調査できる金属材料・無機材料・有機材料を特徴が分からない

学科の到達目標項目との関係

(B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
材料学基礎は「新素材・生命コース」への概論的な導入科目として位置付けられているが、その他のコースにも大きく関連した内容を含んでいる。さまざまな分野で用いられている材料の基礎について学習する。
授業の進め方・方法:
本授業はコース共通科目であり、2人の教員が2クラスずつ授業を行う。
前期は一方向的な講義形式の授業進行であるが、後期にはこれまで学んできた材料について各自での調査、グループで討論、グループで発表、互いに評価を行う。
注意点:
試験の成績を70%,平素の学習状況等(課題,小テスト,発表等を含む)を30%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均、学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,通年科目における後学期中間の評価は前学期中間、前学期末、後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ◆授業ガイダンス
1.材料とは
◆材料の定義
材料の定義について理解することができる。
2週 1.材料とは
◆材料の分類(種類別分類)
身の周りにある材料を種類観点で分けることができる。
3週 2.材料のための化学の基礎(1)
◆原子の電子配置
◆周期律表
原子の電子配置を示すことができる。周期律表にある元素を規則性を理解して覚える。
4週 2.材料のための化学の基礎(1)
◆イオンとは何か
◆主要なイオン
イオンを説明することができる。イオンの電子配置を示すことができる。
5週 2.材料のための化学の基礎(1)
◆化学結合
◆分子と固体
イオン結合、共有結合、金属結合、水素結合を説明することができる。
6週 2.材料のための化学の基礎(1)
◆結晶と格子①
結晶と非晶質の違いを説明できる。簡単な結晶構造を理解することができる。体心立方格子と面心立方格子の計算ができる。(結晶内の原子の個数)
7週 2.材料のための化学の基礎(1)
◆結晶と格子②
体心立方格子と面心立方格子の計算ができる。(原子半径と格子定数の相互計算,密度計算,充填率計算)
8週 3.無機材料
 ◆ガラス・セラミックス①
ガラス・セラミックスの作製方法や性質について知り、それらの特徴を説明できる。
2ndQ
9週 3.無機材料
 ◆ガラス・セラミックス②
ガラス・セラミックスの作製方法や性質について知り、それらの特徴を説明できる。
10週 3.無機材料
 コンクリート・セメント
コンクリート・セメントの作製方法や性質について知り、それらの特徴が説明できる。
11週 3.無機材料
 ◆無機材料関連の演習
無機材料に関連した化学量論計算問題を解くことができる。
12週 4.金属材料
 ◆製鉄と鉄鋼
製鉄のプロセスを理解し、説明ができる。鉄と鋼の違いが理解できる。
13週 4.金属材料
 ◆ステンレス鋼と鉄錆
いろいろなステンレス鋼を知る。鉄が錆びる現象を説明できる。
14週 4.金属材料
 ◆典型金属(Al, Cuなど)
アルミニウムや銅などの性質を理解し、その合金性質や用途についても知る。
15週 4.金属材料
 ◆金属材料関連の演習
金属材料に関連した化学量論計算問題を解くことができる。
16週
後期
3rdQ
1週 5.材料のための化学の基礎(2)
 分子の電子式,構造式,分子の構造
分子の電子式,構造式を描くことができる。
材料をつくっている分子の構造を知り、分子の結合を描く(示性式,簡略構造を書く)ことができる。
2週 5.材料のための化学の基礎(2)
分子の構造
6.有機化学と有機材料
 ◆有機材料の分類
 ◆有機材料の起源
骨格構造の意味を理解し,分子の構造を骨格構造を使って描くことができる。
有機材料が大きく低分子系と高分子系に分かれることが理解できる。有機材料の原料がどこからもたらされるかを理解できる。
3週 6.有機化学と有機材料
 ◆脂肪族炭化水素
 ◆構造異性体,幾何異性体
脂肪族炭化水素の分類ができる。分子式から異性体を見つけることができる
4週 6.有機化学と有機材料有機材料
 ◆脂肪族炭化水素と材料(天然ガス等)
脂肪族炭化水素がどのような材料として用いられているか説明できる
5週 6.有機化学と有機材料
 ◆アルコール,アルデヒド,ケトン,カルボン酸
アルコール,アルデヒド,ケトン,カルボン酸がどのようなものであるかを理解できる。どのような用途で使用される材料であるかを理解できる
6週 6.有機化学と有機材料
 ◆アルコール,アルデヒド,ケトン,カルボン酸
アルコール,アルデヒド,ケトン,カルボン酸の相互で起きる反応を理解し,化学量論計算ができる。
7週 6.有機化学と有機材料
 ◆油脂と界面活性剤
油脂とは何か説明できる。界面活性剤とは何か説明できる。乳化,ミセルについて理解できる。
8週 6.有機化学と有機材料
 ◆油脂と界面活性剤
油脂のけん化価を計算できる。
4thQ
9週 6.有機化学と有機材料
 ◆芳香族化合物
芳香族化合物とは何か理解できる
10週 6.有機化学と有機材料
 ◆芳香族化合物
芳香族化合物がどのような用途の材料に用いられるか説明できる。
11週 6.有機化学と有機材料
 ◆有機化合物の化学量論計算
有機反応を用いた化学量論計算ができる。
12週 7 材料調査研究(1) 各個人で興味をもった材料について調査する。個人調査した材料についてグループ討論する。
13週 7 材料調査研究(2) 個人調査した材料についてグループ討論する。グループで話し合い、一つの材料に絞って詳しく調べる。
14週 7 材料調査研究(3) グループで選ばれた一つの材料について,他者にわかるようにまとめる。
15週 7 材料調査研究(4) 選ばれた一つの材料についてまとめ、発表する。他のグループの調査について評価する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前4
イオン式とイオンの名称を説明できる。3前5,前6
イオン結合について説明できる。3前5,前6
イオン結合性物質の性質を説明できる。3前5,前6
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3前5,前6
共有結合について説明できる。3前8,前9,前10
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前8,前9,前10
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3前8
金属の性質を説明できる。3前8

評価割合

試験発表相互評価課題・小テストその他合計
総合評価割合7055200100
基礎的能力400010050
専門的能力305510050
分野横断的能力000000