社会科学Ⅱ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 社会科学Ⅱ
科目番号 B3005 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD 基礎教育・一般科目 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『歴史総合』(帝国書院)、『最新世界史図説 タペストリー』(帝国書院)  
担当教員 松浦 真衣子

到達目標

世界の歴史を学ぶ中で、今日まで続く諸課題はいかにして生まれたのか、その原因を探求する力を身につける。国際社会における多様な政治・文化・慣習などを尊重し、今後必要とされる技術者としての倫理を自分の言葉で表現できる。歴史の中で構築された国際社会と日本の結びつきを前提に、あらゆる立場の人々を豊かにする技術・制度とは何かを考えることが出来る。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1今日まで続く諸課題はいかにして生まれたのか、歴史的な流れの中で把握し、その原因を自分の言葉で表現できる。今日まで続く諸課題はいかにして生まれたのか、歴史的な流れの中で把握できる。今日まで続く諸課題を歴史的な流れの中で把握できない。
評価項目2国際社会に多様な政治・文化・慣習があることを理解し、多様性を尊重する技術者倫理とは何か、自分の言葉で表現できる。国際社会に、多様な政治・文化・慣習が存在することを理解し、尊重できる。多様な政治・文化・慣習が存在することが理解できない。
評価項目3歴史の中で構築された国際社会と日本の結びつきを前提に、あらゆる立場の人々を豊かにする技術・制度とは何か、自分の言葉で表現できる。国際社会と日本が結びついていく過程を、歴史の流れの中で理解することが出来る。国際社会と日本が結びついていく過程を、歴史の流れの中で理解することが出来ない。

学科の到達目標項目との関係

(A) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する。授業では様々な歴史上の資料を活用しながら、社会的事象を比較したり、因果関係を追究し、国際社会で活躍する技術者に相応しい教養を培う。
授業の進め方・方法:
提出物、定期テストなどにより成績をつけていく。
2年生の社会科学Iで使用した『歴史総合』(帝国書院)、『最新世界史図説 タペストリー』(帝国書院)を使用する。
*進度および感染状況により、シラバスの内容を一部変更する可能性があります。
注意点:
(成績評価の基準・方法)
試験の成績を60%,平素の学習状況等(課題・レポート・ノート等を含む)を40%の割合で総合的に評価する。学期毎の成績評価は前期は前期中間と期末、後期は中間と期末の評価の平均で評価する。学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,後学期中間の評価は前学期末,後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。

(事前・事後学習)
事前学習として普段から新聞やニュースをチェックし、現代社会の動きを確認すること。また、事前に指定した教科書の該当部分を熟読すること。
事後学習として授業内で指定した課題を提出すること。次回の授業で回答を配布するので、自ら答え合わせをし、理解している部分としていない部分を確認すること。

(履修上の注意)
前半は『現代社会』をもとに『社会科学I(世界史)』で学習した内容を政治的観点から捉え直す。したがって『世界史』の内容を改めて確認しておくことが望ましい。また学年末にはこれまでの知識を総合的に組み込んだ小論文作成の課題に取り組む。
社会科学Ⅱの後半は『現代社会』で学習した内容が、国際的な観点から再度紹介される。改めて『現代社会』の復習をしておくことが望ましい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 
日露戦争が与えた影響
本授業の概要、注意点を説明する。
①日露戦争と日本の対外進出が,アジア各地の人々にどのような影響を与えたかについて理解している。
②辛亥革命が起こった原因を,政治体制に関する対立や日露戦争の影響を踏まえて考察し,表現している。
2週 ドイツの挑戦とバルカン半島の緊張 ①ドイツとロシアの対外政策の変更によって,バルカン半島で国際的な利害が対立していったことを理解している。
②ドイツの政策がヨーロッパ諸国の対立や同盟に与えた影響について考察し,表現している。
3週 総力戦となった第一次世界大戦 ①第一次世界大戦が総力戦化した構造を理解している。
②第一次世界大戦の特徴と戦争の被害が拡大した要因について考察し,表現している。
4週 ロシア革命と大戦の終結 ①ロシアで革命が発生した背景や経緯を理解している。
②ロシア革命の影響で「終わったもの」と「始まったもの」について考察し,表現している。
5週 ヴェルサイユ体制の成立 ①第一次世界大戦後,国際連盟が形成された経緯について理解している。
②ヴェルサイユ体制と国際連盟の課題について考察し,表現している。
6週 東アジアの民族自決の行方 ①朝鮮と中国における民族運動の高まりと,列強によるワシントン体制の成立について理解している。
②中国の人々にとって,ワシントン体制がどのようなものであったかを考察し,表現している。
7週 中東・インドの民族自決の影響 ①中東とインドの民族運動の経緯と現代まで続く課題について理解している。
②中東とインドにおける国民国家形成における課題について考察し,表現している。
8週 まとめ これまでの内容を復習する
2ndQ
9週 大衆社会の出現とアメリカの繁栄 ①大衆社会の成立と大衆文化の特徴について理解している。
②大量生産・大量消費やマスメディアの発達に伴う問題について考察し,表現している。
10週 日本における大衆社会の形成 ①日本における大衆の政治参加と大衆社会の形成について理解している。
②大正時代の日本におけるデモクラシーの達成点と課題について考察し,表現している。
11週 世界恐慌が与えた影響 ①世界恐慌への各国の対応が世界情勢に与えた影響と,ソ連のスターリン独裁の功罪について理解している。
②ブロック経済のねらいと,その国際的な影響と問題点について考察し,表現している。
12週 ファシズムの台頭と拡大 ①ドイツ・イタリアのファシズム勢力が大衆をひき付けた理由と経緯について理解している。
②ファシズム勢力に,大衆が同調したり,見過ごしたりした理由と課題について考察し,表現している。
13週 政党政治の断絶と満洲事変 ①満洲事変という事態を日本の大衆が支持するに至る経緯を,背景となった恐慌の苦難という観点から理解している。
②日本の大衆や政府が,軍部による満洲進出を止められなかった理由について考察し,表現している。
14週 日中戦争の始まり ①大衆の支持を背景に台頭した軍部が,政治的発言力を強めて軍備を増強し大陸侵略を目指すに至った経緯を理解している。
②日本がイギリス・アメリカとの協調をやめ,ドイツ・イタリアに接近した背景について考察し,表現している。
15週 第二次世界大戦の展開 ①ヨーロッパから,アジア・太平洋にも及ぶ戦争に発展する経緯について,理解している。
②日本が,中国だけでなくアメリカと戦争を始めた理由について考察し,表現している。
16週 まとめ これまでの内容のまとめ
後期
3rdQ
1週 戦局の悪化と被害の拡大 ①日本は侵略を正当化しつつ,アジア・太平洋に戦線を拡大したこと,ドイツ・イタリアが無条件降伏したことを理解している。
②日本が総力戦遂行のために国内外で行ったことについて,当時と現在の視点で考察し,表現している。
2週 第二次世界大戦の終結とその惨禍 ①日本がポツダム宣言を受諾するに至る経緯や被害の甚大さ,終戦後の日本とアジア諸国の関係にある深い傷あとについて理解している。
②なぜ第二次世界大戦では多くの犠牲者が出ることになったのか考察し,表現している。
3週 冷戦の始まり ①米ソ対立と東西冷戦という戦後の理想から現実への転換と,対立を克服しようとするヨーロッパの統合の試みについて理解している。
②冷戦がヨーロッパ諸国に及ぼした影響について考察し,表現している。
4週 日本撤退後の東アジア ①アジア諸国の独立運動が冷戦構造に組み込まれていく経緯について理解している。
②独立を達成した国が,なぜ東西勢力にくみしていくのかについて考察し,表現している。
5週 日本の改革と独立の回復 ①日本の民主化と,東西冷戦が日本に与えた影響について理解している。
②日本が独立回復の際に,全面講和ではなく多数講和を選択した理由について考察し,表現している。
6週 アメリカ・ソ連の緊張と緩和 ①スターリン批判以降の冷戦の緊張と緩和について,各国の国内の動向および相互の関係に着目して理解している。
②アメリカやソ連が核兵器を保有する理由とその負担について考察し,表現している。
7週 冷戦下における日本の復興 ①高度経済成長に至る経緯を,55年体制や冷戦に着目して理解している。
②日本が高度経済成長を達成することができた要因について,国内外の情勢と関連させて考察し,表現している。
8週 まとめ
4thQ
9週 第三勢力の形成と脱植民地化 ①第三勢力の形成と脱植民地化の動向について,冷戦との関係を踏まえて理解している。
②独立後のアジア・アフリカ諸国の状況を踏まえ,脱植民地化を進めるうえでの問題点を考察し,表現している。
10週 中東戦争とパレスチナ問題 ①パレスチナ問題と中東戦争が,国際社会にどのような影響を与えたかについて理解している。
②中東で20世紀後半に混乱が続いた要因について考察し,表現している。
11週 揺らぐアメリカと先進各国の変化 ①ベトナム戦争がアメリカ社会と国際社会に与えた影響を理解している。
②ニクソンショックが国際社会に与えた影響について考察し,表現している。
12週 「経済大国」日本の模索 ①1970~80年代の日米経済摩擦と,アジア諸国との関係回復について理解している。
②「経済大国」となった日本が抱える国際的な課題と求められる貢献について考察し,表現している。
13週 経済発展に取り組むアジア・南米諸国 ①東アジア・東南アジア・南米の国々がどのような形で経済発展を目指したのかについて,冷戦との関係を踏まえ理解している。
②経済発展に成功した国々の共通点について考察し,表現している。
14週 イスラーム復興と冷戦への影響 ①イラン=イスラーム革命革命とソ連のアフガニスタン侵攻について,事実に基づく知識および背景を理解している。
②なぜイラン=イスラーム革命の成功は,世界の人々に衝撃を与えたのかについて考察し,表現している。
15週 冷戦後の世界 ➀グローバル化の進展や地域統合,ナショナリズムの強化について各地域を比較して考察し,その特質や問題点をみずからの言葉で表現している。
➁冷戦の終結とグローバル化の進展が,現代社会に与えた影響と課題について追究しようとしている。
16週 まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文社会科学社会地理歴史的分野世界の資源、産業の分布や動向の概要を説明できる。3前8,前9,前10,前11,前12,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。3前1
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。3後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前13,前14,前15,後1,後2,後13
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
工学基礎技術者倫理技術者倫理国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3前1,前2,前6,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
情報リテラシー情報リテラシー情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。3前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
分野横断的能力創造性・デザイン能力創造性創造性工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。2後6,後7,後11,後12,後13,後14,後15
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

試験レポート・課題など合計
総合評価割合60400100
基礎的能力60400100
専門的能力0000
分野横断的能力0000